FXの複利運用とは?メリットや注意点などを知って賢く使おう

一口に「資産運用」と言っても、現在はさまざまな方法があります。その中でよく取り上げられるのが「複利運用」です。昔からプロも使っている資産運用のやり方なので、気になる人はぜひ使ってみてください。しかし、いきなり始めると失敗する恐れがあります。

今回はその失敗を防ぐために、複利運用の特徴や注意点などについて説明します。どれほどの利益が期待できるのかというシミュレーションも行いましたので、ぜひ参考にしてください。

FXの単利運用と複利運用について

ここでは「単利運用」と「複利運用」の概要について説明します。非常に地味な部分ですが、基礎となる大事なところなのでしっかり覚えましょう。それほど難しくないので、数分もあれば理解できると思います。それでは、単利運用と複利運用について説明します。

単利運用とは

単利運用とは、一定の元手に利率を掛けて資産を増やしていく運用方法です。例えば、資産が毎月10%増えるとしましょう。元手は100万円です。その場合、資産は以下のように増えていきます。

・1ヶ月目:110万円
・2ヶ月目:110万円
・3ヶ月目:110万円
・4ヶ月目:110万円
・5ヶ月目:110万円
etc…

100万円に10%の利率がつくので、毎月10万円の利益が生まれます。単利運用はシンプルで分かりやすいのが特徴です。リスク管理や資産管理などもしやすいので、FX初心者向けです。

複利運用とは

複利運用とは、利益を再投資して資産を増やしていく運用方法です。先ほどと同じく、毎月10%資産が増えるとしましょう。その場合、資産は以下のように増えていきます。

・1ヶ月目:約110万円
・2ヶ月目:約121万円
・3ヶ月目:約133万円
・4ヶ月目:約146万円
・5ヶ月目:約161万円
etc…

利益を再投資していくので、単利運用のように毎月一定の利益が手に入る訳ではありません。複利運用は資産を早く・多く増やしたい人におすすめです。しかし、資産管理やリスク管理が少し難しいのが欠点です。状況を細かく把握していく必要があるので、手間がかかります。

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FXの単利運用と複利運用の計算方法!シミュレーションも

単利運用と複利運用は、計算式を使えば計算できます。比較的簡単な計算式なので、数学が苦手な人でも問題ありません。将来の失敗を防げる可能性が高まるので、時間に余裕がある人は計算をしてみてください。それでは、単利運用と複利運用の計算方法について説明します。

単利と複利の計算方法

まずは、単利運用をする際に使う計算方法を紹介します。

単利運用 = 元本 × 利益率 × 運用する期間

例えば、50万円の元手で1年間運用するとしましょう。利益率は5%と仮定します。その場合は、以下の計算式が成り立ちます。

50万円 × 5% × 1年 = 2万5,000円

今回の条件だと1年間で2万5,000円の利益が期待できます。次に複利運用する際に使う計算方法を紹介します。

複利運用 = 元本 × 利益率

単利運用と同じ条件で計算した場合、1年目の利益は2万5,000円です。単利運用と異なるのは、次からです。次は元本の50万円に1年目の利益2万5,000円を加えた52万5,000円を元本として計算していきます。計算式は以下の通りです。

52万5,000円 × 5% = 2万6,250円

2年目は、1年目よりも少し増えた2万6250円の利益が期待できます。

単利運用と複利運用で利益はどのくらい違うのか

すでに気付いている人もいると思いますが、単利運用と複利運用では得られる利益の大きさが異なります。単利運用と複利運用なら、どちらを選んだ方が資産は増えるのかと悩んでいる人もいるでしょう。そこで、実際にシミュレーションしてみました。今回は元手100万円・利益率10%/月と仮定して計算します。

単利運用 複利運用
1年目 110万円 110万円
2年目 110万円 121万円
3年目 110万円 133万1,000円
4年目 110万円 146万4,100円
5年目 110万円 161万510円
6年目 110万円 177万1,561円
7年目 110万円 194万8,717円
8年目 110万円 214万3,588円
9年目 110万円 235万7,947円
10年目 110万円 259万3,742円
利益の合計 100万円 159万3,742円

単利運用と複利運用を比較した場合、複利運用の方が利益は大きくなりました。理由は、利益を再投資するので元本が増えるからです。資産を増やしていくことを最優先するのであれば、複利運用を選んだ方がよいでしょう。

レバレッジを利用した場合のシミュレーション

先ほどは、レバレッジを掛けない状態でシミュレーションしました。次は、レバレッジを掛けるとどのくらい増えるのかシミュレーションしてみます。元手は10万円、掛けるレバレッジは1,000倍と仮定します。

単利運用 複利運用
1年目 1億1,000万円 1億1,000万円
2年目 1億1,000万円 1億2,100万円
3年目 1億1,000万円 1億3,310万円
4年目 1億1,000万円 1億4,641万円
5年目 1億1,000万円 1億6,151万円
6年目 1億1,000万円 1億7,766万1,000円
7年目 1億1,000万円 1億9,487万1,700円
8年目 1億1,000万円 2億1,435万8,800円
9年目 1億1,000万円 2億3,579万4,700円
10年目 1億1,000万円 2億5,937万4,200円
利益の合計 1億円 1億5,937万4,200円

もちろん、この通り順調に増える訳ではありません。しかし、レバレッジをかけて元本を増やすと利益が大きくなることが分かっていただけたと思います。素早く資産を増やしていきたい人はレバレッジを活用しましょう。

「72の法則」も覚えておこう

FXでは、よく「72の法則」が使われます。72の法則とは、複利の力で元本を2倍にするためにはどのくらいの期間が必要なのかが分かる法則です。計算式は以下の通りです。

資産が2倍になるまでに必要な期間 = 72 ÷ 期間や回数などでの資産の増加率

例えば、1ヶ月4%の利益を得られるとしましょう。この場合、72÷4%で18という答えが出ます。つまり、18ヶ月で元本が2倍になると予想されます。72の法則は少し応用すると、逆算にも使えます。例えば、10年で資産を2倍にしたいと考えたとしましょう。

この場合、「72÷10」という計算式が成り立ちます。答えは、7.2です。つまり、年間7.2%の利益を得ていれば、10年後に資産が2倍になると予想されます。資産が2倍になるのを確約する計算方法ではありませんが、目安になるのでぜひ活用してください。

FXで年利20%は狙える?

今回設定した「年利20%」という数字は一般的な投資だとリスクが高い数値です。無謀と話す人もいるでしょう。しかし、FXでは決して不可能な数字ではありません。今回は分かりやすさを重視するために「単利運用」で説明します。利益確定と損切りのバランスを均等にした場合、勝率が約60%のときに元手は1.2倍(年利20%)になります。

勉強のテストで60点を取るイメージなので、FXの勉強をすれば勝率60%は決して不可能な数字ではないでしょう。一般的に無謀と言われている数値でも、可能になるのがFXの魅力です。

単利・複利運用するために必要な金額の計算方法

FXで単利運用・複利運用するには、取引数量の管理把握が必要です。取引数量のことをFXでは「ロット(Lot)」と言います。機会損失を防ぐために資金の増加に比例して、ロットも大きくしていかなければいけません。ロットは、通貨の大きさを区切ったものです。1,000通貨や1万通貨など、ある程度まとまった単位で表されます。

単位が小さいほど取引に小回りが利くとされています。このロットの計算式は非常にシンプルで、以下の計算式で求められます。

ロット = 取引量 ÷ 通貨単位

例えば、1,000通貨のものを5万通貨扱うとしましょう。この場合、5万通貨÷1,000通貨で50ロットとなります。ちなみに、ロットを求められれば投資口座に必要な「必要証拠金」も求められます。1ドル100円で1,000倍のレバレッジを掛ける場合、以下の計算式が成り立ちます。

100円 × 1,000通貨 × 50ロット ÷ 1,000 = 5,000

今回の例だと、用意すべき必要証拠金は5,000円です。

FXで複利運用をするメリット

FXで複利運用をするメリットは、「資金が増えるスピードが単利運用よりも早い」ことです。「少額からでも始めやすい」「スワップポイントでも利益を得られる」などのメリットもあります。ここではそのような、FXで複利運用をするメリットについて説明します。

資金が増えるスピードが単利運用よりも早い

単利運用は一定の元手に利率がかかりますが、複利運用は元本+得た利益に利率がかかります。そのため、単利運用よりも早く資産が増えます。実際、100万円の元手を利率10%/年で運用した場合、10年後には約59万円の差が生まれます。早く大きく資産を増やしたいのであれば、複利運用一択と言えるでしょう。

少額からでも始めやすい

単利は一定の元手に利率がかかるので、元手が大きくなければ資産は増えません。例えば、元手が1万円で利率10%/年であれば、1年で1,000円しか増えません。10年後も1年で増えるのは1,000円です。しかし、複利運用は元手+利益に利率がかかるので、初めの元手は少額でも構いません。時間の経過とともに、元手が増えていくからです。

実際、数千円から投資を始めて、今は数千万円の資産を築いている投資家もいます。FX取引所にもよりますが、数百円から複利運用に挑戦できます。

スワップポイントでも利益を得られる

一般的にFXは「売買差益」で利益を得るものと考えられています。しかし、利益を得る方法はひとつではありません。スワップポイントで利益を得る方法も存在します。スワップポイントとは、銀行口座でいう「金利」のようなものです。特定のポジションを24時間以上保有することで、毎日金利(スワップポイント)が振り込まれます。

複利運用は長期にわたって行う運用方法なので、売買差益とスワップポイントの両方が得られます。

FXで複利運用する際の注意点

FXで複利運用する場合は、「利益の使い道」に注意しましょう。「積み上げた利益が一度の取引でなくなるケースがある」「シミュレーション通りに増える訳ではない」なども覚えておいてください。ここでそのような、FXで複利運用する際の注意点について説明します。

利益の使い道が限られている

複利運用の力を最大限発揮させたいのであれば、可能な限り利益を再投資するのが好ましいとされています。そのため、目標の資産に達するまで、基本的に利益は再投資することになるでしょう。単利運用に比べて利益の使い道が限られるので、初めは資産が増えている実感が湧かないと思います。

積み上げた利益が一度の取引でなくなるケースもある

利益を再投資し続ける複利運用は成功すると大きな利益を得られます。しかし、失敗すると利益も含めて全てなくなります。単利運用はその都度利益を引き出すので、元手がなくなっても利益分だけは残ります。単利運用に比べて失敗したときのダメージが少し大きいのは、理解しておきましょう。

必ずシミュレーション通り資産が増えるわけではない

複利運用は、凄まじい力を秘めています。その魅力を引き出そうと、多くの人はよいケースを挙げて説明を行います。しかし、投資に100%は存在しません。リスクが低いと言われていても、失敗する場合もあります。複利運用に過度な期待を抱くのは危険です。必ず投資は余剰預金で行いましょう。もしくは、少額から始めることをおすすめします。

精神的な負荷や疲労を伴う場合がある

何度も説明している通り、複利運用は長期に渡る投資期間が必要です。人によっては10年以上ポジションを保有することになるでしょう。長期間ポジションを保有しているとさまざまな経済ショックの影響を受けます。得に「経済指標」や「要人発言」の影響は受けやすいでしょう。

時には含み損の状態が数ヶ月続くかもしれません。それにより、メンタル面で影響を受けてしまう場合があります。

無計画にレバレッジを上げすぎない

シミュレーションの段落で、レバレッジを高めると資産が大きく増えると説明しました。確かにその通りではありますが、レバレッジをあげるとリスクも高くなります。レバレッジは「投資資金」「利益」「損失」の3つにかかるからです。

レバレッジを1,000倍にすれば、損失も1,000倍になります。レバレッジは必ず計画的にかけましょう。無計画でレバレッジを高めるのは、投資ではなくギャンブルです。

損失にも複利がかかる

複利がかかれば、利益は凄まじいスピードで増えていきます。しかし、これは損失にも当てはまります。やり方を間違えれば、単利運用とは比にならない速度で損失が増えていきます。最終的な損失が多くなりやすいのも複利運用です。無理な投資だけは行わないようにしましょう。リスクのことも頭に入れ、安全な複利運用を心がけてください。

FXでの複利運用をおすすめしたい人・おすすめできない人

複利運用はおすすめできる資産運用方法です。しかし、全員に合う訳ではありません。合わない人が複利運用を行うと、失敗する可能性が高まるので注意しましょう。ここではそのような失敗を防ぐために、FXでの複利運用をおすすめしたい人とおすすめできない人を紹介します。

おすすめしたい人

以下の特徴に当てはまる人は、FXでの複利運用をおすすめできます。

・資産を早く大きく増やしたい人
・複利運用のリスクを許容できる人
・少額から挑戦してみたい人
・長期で運用しても問題がないお金がある人

おすすめできない人

以下の特徴に当てはまる人は、FXでの複利運用をおすすめできません。

・分かりやすくてシンプルな投資が好きな人
・可能な限り、リスクを取りたくない人
・長期で運用するほどのお金がない人

まとめ

今回は、FXの複利運用について説明しました。複利運用とは、利益を再投資して資産を増やしていく運用方法です。単利運用との違いは資産の増やし方です。単利運用は、一定の元手を使って資産を増やしていきます。複利運用の特徴は、単利運用よりも大きく資産が増えていくことです。

元手100%・利率10%/年で比較した場合、10年後は約59万円の差がついています。20年・30年と長く続ければ、数百万円・数千万円と差がついていくでしょう。少額から始められるのも複利運用の魅力です。ぜひ気になる人は、海外FXで複利運用に挑戦してみましょう。