出張や旅行などで海外に行く場合は、日本円をその国の通貨に変えなければいけません。ここで重要なのが、どこで両替をするかです。銀行や空港など、両替をする場所はたくさんありますが、場所によっては手数料やレートなどで損をする可能性があるので注意してください。
できる限り損をしたくない人におすすめなのが「FX」です。今回は、FXを使ってお得に外貨を両替する方法や、数ある中からFXを利用するメリット・デメリットなどについて説明します。注意点や税金など、覚えておきたいポイントもまとめたので参考にしてください。
日本円を外貨に両替する方法
以前までは、銀行で日本円を外貨に両替するのが一般的でした。しかし、発達した現代ではさまざまな方法で日本円を外貨に両替することができます。ここで知識を蓄えておけば、損をせずにお得に両替ができるでしょう。それでは、日本円を外貨に両替する5つの方法をメリット・デメリットとともに紹介します。
空港の両替施設
日本円は、空港で両替ができます。例えば、成田国際空港ならGPA(グリーンポート・エージェンシー)と呼ばれる施設で両替ができます。第1~第3旅客ターミナル内に全8ヶ所あるので、数も少なくありません。
メリットは、両替の手間がかからないことです。同じ空港内で飛行機の搭乗手続きと外貨の両替ができるので、非常に楽でしょう。デメリットは、レートがあまりよくないことです。決してお得とは言えないので、両替は少額に留めておいた方がよいでしょう。空港の両替施設は、利便性を重視したい人におすすめです。
銀行・ワールドカレンシー
日本円は、銀行やワールドカレンシーなどでも両替ができます。メリットは、安心感があることです。偽札を渡される心配がありませんし、為替レートをごまかされる心配もありません。1枚から両替も可能なので、気軽に利用できるでしょう。店舗によってはキャンペーンを開催しており、活用するとお得に両替ができます。
デメリットは、銀行によってレートが大きく異なることです。できる限り損をしたくない人は、事前にレートをチェックしておきましょう。なお、海外の銀行では不正をされるリスクがあるので十分注意をしてください。
金券ショップ
日本円は、金券ショップでも両替ができます。メリットは、対応がスピーディーなことです。銀行や空港の両替施設のように混むことが少ないので、急ぎで両替をしたい人にぴったりでしょう。また、銀行よりも営業時間が長く、利用しやすいのも金券ショップのメリットです。店舗によっては、20〜21時まで営業をしています。
デメリットは、偽造紙幣が紛れ込むリスクがあることです。金券ショップを利用する際は、知名度のある安心できるお店を選ぶようにしましょう。また、銀行や空港の両替施設に比べるとスタッフの対応が少々劣るのも金券ショップのデメリットです。
街頭両替機
海外旅行が一般的になってきたあたりから、街中に外貨の両替機が設置されるようになりました。街頭両替機のメリットは、ATMのように気軽に利用できることです。コンビニや繁華街の店先、観光地の駐車場など至るところに設置されているので、比較的見つけやすいでしょう。
また、24時間365日対応なのも街頭両替機のメリットです。場所によっては、金融機関の窓口よりも安い手数料で両替ができます。デメリットは、両替できる金額に上限があることです。その両替機によって異なりますが、大体10万円が上限です。
FX
FXとは、外国為替証拠金取引と呼ばれる投資の一種です。一般的に投資で使う人が多いですが、外貨両替用としても使えます。メリットは、安心感があって気軽に利用できることです。国からの登録を受けているFX会社であれば安心ですし、24時間対応のところを見つければいつでも使えます。よいレートで両替できることがあるのもFXのメリットでしょう。
デメリットは、少額の両替には向いていないことです。手数料が割高になることがあるので、まとめて両替するようにしましょう。また、両替できる通貨が限られているのもFXのデメリットです。
FXで日本円を外貨両替する方法は2種類ある
FXを使って日本円を両替する方法は、コンバージョンとデリバリーの2種類あります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の目的に合わせて活用してください。しかし、初めて名前を聞いた人もいるでしょう。疑問を解消するために、ここではコンバージョンとデリバリーについて説明します。
コンバージョン
コンバージョンとは、外貨両替のことです。取引を行うことなく、そのまま日本円と外貨を交換できます。コンバージョンのメリットは、現物のキャッシュがある場合はデリバリーよりも手数料が安くなりやすいことです。お得に両替したい人は、コンバージョンを選択しましょう。
また、外貨両替窓口で両替をする手間が省けるのもコンバージョンのメリットです。慣れれば、スピーディーに両替ができるでしょう。デメリットは、通常のスプレッドに加えて外貨調達手数料がかかることです。スプレッドとは、売値と買値の価格差のことで実質的な取引手数料と言われています。
デリバリー
デリバリーとは、現物受け取りのことです。メリットは、購入した外貨をそのまま受け取れることです。例えば、FXで米ドルを購入したと仮定しましょう。通常であれば、タイミングを見て売却し、その損益を日本円として受け取ります。
しかし、デリバリーを行う場合は、米ドルを注文して終わりです。決済せずに、そのまま米ドルを受け取ります。差額決済をする必要がないので、損しにくい両替方法と言われています。また、よいレートで取引できることがあるのもデリバリーの特徴です。ただし、対応しているFX会社が少ないので注意してください。
コンバージョンとデリバリーどちらがいいの?
基本的にFXでの外貨両替は、コンバージョンで行うことをおすすめします。理由は、以下の3点です。
・対応しているFX会社が多い
・初めてでも使いやすい
・スピーディーに両替ができる
デリバリーは、すでにFXを行っている人が必要なときに外貨を受け取る手段のひとつとして活用することをおすすめします。
FX口座を開設して外貨両替をする方法
さまざまなメリットがあるため、外貨両替はFXで行おうと考えている人も多いでしょう。外貨両替が初めての人やFXを使った経験がない人でも簡単に手続きができるので、安心してください。今回は、多くのFX会社が導入しているコンバージョンを使うと仮定して外貨両替のやり方を分かりやすく紹介します。
ステップ1:FX口座を開設
まずは、FX口座を開設しましょう。FX口座の開設方法は以下の通りです。
1.FX取引所のホームページにアクセスし、「口座を開設する」をクリックする
2.名前や住所など、必要事項を入力する
3.免許証やパスポートなどの本人確認書類をWebでアップロードする
4.審査が終わるまで待つ
5.審査通過のメールが来たら、口座開設完了
海外FXの口座開設に必要な書類について詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXの口座開設に必要な書類とは。提出が必要な理由について
ステップ2:口座に日本円を入金
FX口座を開設できたら、その口座に外貨両替したい分の日本円を入金しましょう。通常入金だと少し時間がかかるため、急いでいる人はスピード入金のような機能を活用してください。ただし、スピード入金機能を導入していないFX会社も存在します。
また、FX会社によってはスピード入金が可能な銀行を制限しています。そのため、事前に確認をしておきましょう。なお、外貨両替は通常口座でのみ利用できます。
ステップ3:両替をする
外貨両替したい分の日本円をFX口座に入金したら、外貨への両替手続きを行いましょう。手続きの詳細は利用するFX会社によって異なりますが、大体は以下の流れで両替をすることができます。
1.FX会社の取引画面から「外貨両替」または「コンバージョン」を選択する
2.注意事項を読み「次へ進む」をクリックする
3.「支払通貨」「支払金額」「受け取り通貨」などを入力する
4.コンバージョンの内容を再確認し、問題なければ確定ボタンをクリックする
5.「コンバージョン(両替)完了」のようなメッセージが表示されれば、両替手続き完了
ステップ4:外貨の出金を依頼する
さまざまな方法で出金できますが、最も一般的なのは外貨預金口座に両替した外貨を送金し、銀行で出金する方法です。FX会社によっては、独自のお得な出金方法が用意されているので、条件が合えばそちらを活用してください。出金のやり方は、以下の通りです。
1.FX会社の取引画面を開く
2.両替した外貨を選択し、指定した外貨口座への振替手続きをする
3.「振替完了」のようなメッセージが表示されたら出金手続き完了
ステップ5:指定の場所で受け取る
外貨の出金依頼を済ませたら、指定した口座がある銀行に出向きましょう。その銀行の窓口で出金手続きを行い、外貨を受け取ってください。このときに確認したいのが、渡された金額です。日本だと正しい金額を渡してくれる可能性が高いですが、海外だと嘘をつかれる可能性があるからです。
出金依頼した金額と渡された金額が合わない場合は、すぐに窓口でそのことを伝えてください。大抵は、これで問題が解決します。
FXで外貨両替するメリット
FXで外貨両替を行うメリットは、手数料が安いことです。半額以下の手数料が適用されることも珍しくありません。FXを活用すれば、多くの外貨を受け取れるでしょう。また、「両替のレートを指定できる」「ロスカットを避けられる」などのメリットもあります。ここでは、そのような各メリットの詳細について説明します。
手数料が安い
手数料が安いのは、FXで両替をするメリットです。実際に、両替手数料を比較してみましょう。
両替をする場所 | 両替手数料の目安 |
---|---|
FX | 0.02〜0.1% |
クレジットカード | 16%前後 |
街の両替所 | 1.5〜9% |
空港やホテルなどの両替所 | 2.5%前後 |
外貨両替専門店 | 3%前後 |
金券ショップ | 2.5%前後 |
※表記した手数料は目安です。手数料を保証するものではありません。
両替手数料の相場は、2%前後です。10万円分の両替をする場合は、手数料として2,000円前後が取られます。しかし、FXの手数料相場は0.02~0.1%です。10万円分の両替をしても、手数料は20~100円しか取られません。手元に多くのお金を残したい人は、FXで両替をしましょう。
両替のレートを指定できる
両替のレートを指定できるのも、FXで両替をするメリットです。FXには、レートを指定して注文できる「指値注文」という注文方法があります。例えば、100円で指値注文を入れたと仮定しましょう。この場合は、まだ仮注文です。その後、レートが100円に達したとしましょう。このときに初めて、本注文が入ります。
このレートで両替をしたいという希望がある場合は、必ず指値注文を入れましょう。
ロスカットを避けられる
ロスカットを避けられるのも、FXで両替をするメリットです。ロスカットとは、一定以上の損失が出た場合に、自動で決済注文が入るトレーダーの救済機能です。ロスカットは、ポジションを保持している場合に起こります。そのため、ポジションを両替してキャッシュに替えてしまえば、ロスカットされることはありません。
FXで外貨両替するデメリット
非常に便利なFXの両替機能ですが、「複数の手数料がかかる場合がある」というデメリットがあります。場合によっては損をするので注意しましょう。また、「外貨をすぐ受け取れない場合がある」「FX口座を開設する手間がかかる」などのデメリットもあります。ここでは、各デメリットの詳細について説明します。
複数の手数料がかかる場合がある
複数の手数料がかかる場合があるのは、FXで両替をするデメリットです。具体的には、リフティングチャージ(外貨送金手数料)や外貨出金手数料がかかる場合もあります。そのときの状況にもよりますが、リフティングチャージは大体2,500円前後かかります。外貨出金手数料は、1,500円前後です。
しかし、リフティングチャージや外貨出金手数料を少なくするルートを設けているFX会社もあります。リフティングチャージや外貨出金手数料が安くならないか、一度公式サイトを確認してみてください。
外貨をすぐ受け取れない場合がある
外貨をすぐ受け取れない場合があるのは、FXで両替をするデメリットです。なぜなら、FX会社によって出金日数が異なるからです。例えば、最短3日で受け取れるFX会社もあれば、金曜日をまたがないと外貨を受け取れないFX会社もあります。今日・明日外貨がほしいという人は、他の方法で両替をしましょう。
両替にはFX口座が必要
別途、FX口座を開設しないといけないのは、FXで両替をするデメリットです。しかし、それほど手間がかかる作業ではありません。全てオンラインで完結しますし、遅くても1週間で口座を開設できます。手続きも難しくないので、強く心配する必要はありません。
外貨預金口座が必要な場合がある
外貨預金口座が必要になる場合があるのは、FXで両替をするデメリットです。基本的に空港での受け取りに対応していないFX会社を使う場合は、別途、外貨預金口座が必要です。手間を省きたい人は、空港での受け取りに対応しているFX会社を使いましょう。
FXで外貨両替すると税金がかかる場合も
1,000円を100円に両替しても税金はかかりません。この感覚で外貨両替をすると、思わぬ失敗をする可能性があるので注意してください。なぜなら、FXで外貨両替をした場合、金額によっては税金がかかるからです。現地で失敗をする前に、税金がかかるケースと税率についてしっかりと理解しておきましょう。
税金がかかるケース
両替で得た利益は雑所得として扱われます。雑所得の合計が20万円を超えたら、所得税と住民税を支払わなければいけません。しかし、すべてを合算して雑所得が20万円未満になれば、税金は発生しません。
例えば、両替で25万円の利益を得たとしましょう。しかし、FX取引で15万円の損失を負いました。この場合の合計雑所得額は10万円(25万円 − 15万円)です。このようなパターンでは、税金がかかりません。
税金の金額
税金の金額は、所得額によって異なります。所得税の税率は、以下の通りです。
課税所得 | 税率 |
---|---|
194万9,000円まで | 5% |
195万円から329万9,000円まで | 10% |
330万円から694万9,000円まで | 20% |
695万円から899万9,000円まで | 23% |
900万円から1,799万9,000円まで | 33% |
1,800万円から3,999万9,000円まで | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
住民税は、各市町村によって計算方法が異なります。大体10%ですが、詳細はお住いの市町村の公式サイトを確認してください。
FXで外貨両替する場合の注意点
日本円同士の両替は、基本的にいつでもできます。しかし、外貨両替はそうはいかないので注意をしてください。受付時間が決まっているからです。また、リフティングチャージと両替単位にも注意をしましょう。ここを知らずに両替をすると損をする可能性があります。それでは、各注意点の詳細について説明します。
受付時間に注意
FXで両替をする場合は、受付時間に注意をしましょう。その日の受付時間以降に出金依頼をすると、次の日の出金依頼として処理されるからです。つまり、出金日が一日遅れます。受付時間は、FX会社によって異なります。必ず受付時間を確認してから出金依頼をするようにしましょう。受付時間は、各FX会社の公式サイトから確認できます。
リフティングチャージに注意
FXで両替をする場合は、リフティングチャージに注意してください。大体リフティングチャージは、1,500~2,500円かかります。しかし、シティバンクを持っていると、リフティングチャージが発生しない場合もあります。少しでも手取りを多くしたい人は、シティバンクを作りましょう。
なお、出金額が21万円以上であればリフティングチャージがかかってもFX両替の方がお得です。21万円を銀行や空港で両替すると5,000円前後の手数料がかかるからです。しかし、FXで両替をすれば、手数料は1,500~2,600円(リフティングチャージ料含む)ほどで済みます。
両替単位に注意
FXで両替をする場合は、両替単位に注意してください。基本的に両替単位はFX会社によって異なります。1,000通貨分から受付しているFX会社もあれば、1万通貨分からしか受け付けないFX会社もあります。必ずFX会社の最低両替単位数を確認しましょう。
なお、国内FX会社よりも海外FX会社の方が、少ない単位から両替を受け付けています。両替単位が少ない人は、海外FX取引所を使うようにしましょう。
まとめ
今回は、FXを使った外貨両替について説明しました。外貨両替と聞くと、専門店での両替をイメージする人が多いでしょう。ここで両替をしてもよいのですが、安い手数料で両替をしたい人はFXを活用することをおすすめします。専門店の手数料は2.5〜3%が相場ですが、FXを利用した際にかかる手数料の相場は0.02〜0.1%だからです。10分の1以下で外貨両替することができます。
FXの両替手続きや出金依頼などは直感的で非常に簡単です。初めてFXを使う人でも外貨両替の経験がない人でも迷わず両替ができるので、ぜひFXを使ってみてください。