FX初心者は、上達に向けて多くのプロトレーダーを分析しているでしょう。エントリーのタイミングや相場の見方などを参考にしている人は多いと思いますが、「トレードルール」に目を向けている人はどのくらいいるでしょうか。実は、エントリーのタイミングも相場の見方もトレードルールという土台があって初めて成り立ちます。

今回は、そんなトレードルールの作り方について説明します。考えるべきことや意識するべきことなどもまとめたので、参考にしてください。最後に、億を稼いだ有名トレーダーが決めていたトレードルールの一部を紹介します。

【前提条件】海外FXにトレードルールが必要な理由

海外FXに大きな制限はありません。好きな通貨ペアを使って好きな時間に取引ができます。しかし、「海外FXで取引をするならトレードルールを作ろう」とよく言われます。なぜ、わざわざ制限をかけなくてはいけないのでしょうか。その疑問を解消するために、ここではトレードルールが必要な理由について説明します。

90％の人が負けていく世界だから

海外FXは簡単に始められる投資です。しかし、簡単に稼げる投資ではありません。甘い気持ちで参入すると、高い確率で負けるでしょう。ではどうすれば負けにくくなるのか、そのひとつがトレードルールの作成です。トレードルールを1つ決めるだけで負ける確率をグッと下げられます。

トレードルールがないと勝ち続けられないから

トレードルールを作らずに勝ち続けている人は、単純に「運がよい人」です。しかし、その運で今後も勝ち続けられるほど海外FXの世界は甘くありません。実際、運で勝ち続けた人はどこかで大きな損失を負っています。数億円規模の損失を負った人も実際に存在します。成績を少しでも安定させるために、トレードルールは必ず作りましょう。

トレードルールの質が勝敗を左右する

海外FXで勝てる人と勝てない人の違いのひとつとしてよく言われるのが、「トレードルールの質」です。海外FXで勝てない人は複雑なトレードルールを作る傾向がありますが、海外FXで勝てる人はシンプルなトレードルールを作る傾向があります。

「シンプルだから適当」というわけではなく、取引で必要な「本質」のみを決めているというイメージです。また、シンプルな方が改善しやすく、相場に対応させやすいといったメリットがあります。

最低限決めておきたい３つのトレードルール

トレードルールは、たくさん決めればよいというものでもありません。必要な状況で必要な分のみあれば十分です。しかし、FX初心者はどのようなトレードルールを作ればよいのかまだ分からないでしょう。その疑問を解消するために、ここでは取引をするにあたって最低限決めておきたい3つのトレードルールを紹介します。

資金管理のトレードルール

そもそも投資に充てる資金がなければ、取引ができません。そのため、海外FXを行う上では資金管理が最も重要と言われています。しっかり資金管理を行うために、以下のようなトレードルールを決めましょう。

・含み損が総資産の何パーセントに達したら損切りするのか
・取引ロット数は総資産の何パーセントにするのか

エントリーのトレードルール

海外FXの取引は、エントリーから始まります。このエントリーするタイミングを間違えると、取引で勝てる可能性が一気に下がるので注意してください。これを防ぐために、以下のようなトレードルールを決めましょう。

・順張りと逆張りのどちらでエントリーするのか
・トレンドは上昇と下降のどちらを狙うのか

利確・損切りのトレードルール

利確・損切りなどの決済は取引のリスクをコントロールする大切な部分です。決済が上手い人は、大きく負けない、そして大切な利益を逃さない傾向があります。しっかり決済をするために、以下のようなトレードルールを決めましょう。

・エントリーから何pips取れたら利確するのか
・どのような相場になったら損切りするのか

「資金管理のトレードルール」で考えておくべきこと

資金管理のトレードルールを考える際は、投資資金の上限も決めておきましょう。あわせて、海外FXから撤退する条件も決めておくことをおすすめします。ここでは、各条件の詳細について説明します。

投資資金の上限金額

投資資金の上限を決めないと、有り金を全て使い果たす恐れがあります。実際、投資資金の上限を決めなかったために、生活費まで手を出して生活できなくなった人もいます。さらには、数百万円の借金を負った人も存在します。このような状態は決してよいとは言えません。投資資金の上限は必ず決めましょう。

FXから撤退する条件

いくら損失を出したらFXの世界から撤退するのかは必ず決めましょう。これは、FXによる破産を防ぐためです。これを決めないと、先ほどの段落と同じように、有り金を全て使い果たす恐れがあります。やみくもにFXをしても勝てません。一度冷静になるという意味も込めて、撤退ラインは必ず決めておきましょう。

「エントリーのトレードルール」で考えておくべきこと

エントリーのトレードルールを作る際は、エントリー条件とエントリーしない条件を明確にしておきましょう。取引で扱う通貨ペアも考えておくことをおすすめします。ここでは、そのようなエントリーのトレードルールで考えておくべきことについて説明します。

エントリーする条件

どのタイミングでエントリーするのかを必ず決めておきましょう。このトレードルールの目的は、トレードに一貫性を持たせるためです。一貫性のないトレードは、振り返りがしにくいという特徴があります。何がよくて何が悪かったのかが分からないままなので、上達する速度が遅くなります。

トレードに一貫性を持たせれば、取引が楽になります。なぜなら、毎回同じ場所でエントリーすればよいからです。エントリーするタイミングを決めて、トレードに一貫性を持たせるようにしましょう。

エントリーしない条件

どのような状況ではエントリーしないのかも必ず決めましょう。このトレードルールの目的は、無駄なエントリーを減らすためです。海外FXで負ける人は、常にポジションを保有している傾向があります。当然ではありますが、保有するポジションが多ければその分負ける確率も高くなります。

エントリーするタイミングを絞って、勝率の高い部分でのみエントリーするよう心がけましょう。

取引する通貨ペア

どの通貨ペアで取引をするのかは必ず決めましょう。このトレードルールの目的は、得意な通貨ペアを作るためです。FXには数十種類の通貨ペアがあるのですが、通貨ペアによって値動きの特徴が異なります。FX初心者が通貨ペアの特徴を全て覚えるのはほぼ不可能です。

また、いろいろな通貨ペアに手を出すと、どれも中途半端になる可能性が高いのでおすすめしません。まずは1つに絞って得意な通貨ペアを作りましょう。

取引時間

海外FXは24時間取引できますが、細かく分けると以下のように3つの時間に分けられます。

・東京時間：相場が穏やかな時間帯
・ロンドン時間：トレンドが発生しやすい時間帯
・ニューヨーク時間：相場の動きが激しくなりやすい時間帯

FX初心者には、相場の動きが読みやすい東京時間とロンドン時間をおすすめします。ニューヨーク時間は少しリスクが高めなので、ある程度FXに慣れてきたらチャレンジするようにしましょう。

「利確・損切りのトレードルール」で考えておくべきこと

利確・損切りのトレードルールを決める際は、利益確定する条件を考えておきましょう。あわせて損切りをする条件も考えておくことをおすすめします。ここでは、各ルールの詳細について説明するので、参考にしてください。

利益確定をする条件

どのタイミングで利益確定をするのかは必ず決めましょう。FX初心者によくあるのは、利益を欲張りすぎることです。もう少し上がるだろうと欲張った結果、チャートが大暴落したという事例が多々あります。利益は確定しないと意味がありません。損切りのタイミングとセットで利益確定のタイミングも必ず決めましょう。

損切りをする条件

どのタイミングで損切りするのかも必ず決めておきましょう。このトレードルールの目的は、無駄な損失を負わないためです。例えば、毎日10pipsずつ下がると仮定しましょう。このとき、30pips下がったら損切りをすると決めていた場合、損失は30pipsに抑えられます。

しかし、損切りのタイミングを決めていない場合、ズルズルと損失が蓄積され、気がついたら300pipsもの損失を負っていたという状況になる場合もあります。300pipsもの損失を負う前に、何度か勝てるチャンスはあったでしょう。そのようなチャンスを見逃さないためにも、損切りのタイミングは必ず決めてください。

スワップポイントの条件

FXでは、通貨ペアのポジションを1日以上保有していると金利が発生します。この金利のことをスワップポイントと言います。スワップポイントは、トレーダー側が必ず受け取れるものではありません。保有しているポジションによっては、トレーダーがFX取引所に毎日スワップポイントを支払う必要があります。

後者の状態だと日々損失が積み上がるので、いくらのマイナスになったら一旦ポジションを手放すのか決めておきましょう。なお、毎日のスワップポイントの金額はFX取引所の公式サイトから確認できます。

その他のトレードルール

これまで説明したトレードルールと比較すると少し重要度は下がりますが、余裕があれば決めておきたいルールがいくつかあります。例えば、トレードスタイルやトレードの記録などです。心身の条件まで決められる人は、決めておくことを推奨します。

トレードスタイル

どのようなトレードスタイルで取引するのかは必ず決めましょう。FXには、以下3つのトレードスタイルがあります。

・スキャルピング：小さな利益を積み上げていくタイプのトレードスタイル
・デイトレード：その日で取引を完結させるトレードスタイル
・スイングトレード：数日～数週間保有して大きな利益を狙うトレードスタイル

FX初心者におすすめのトレードスタイルは、デイトレードです。なぜなら、比較的ゆったりとトレードできると同時に、それなりの利幅を取れるからです。しかし、自分に合っているトレードスタイルかどうかは、その人の性格や目標などによって異なります。悩む場合は、一度すべてのトレードスタイルを試してみましょう。

トレードの記録

海外FXで取引をしたら、必ずその結果をメモ帳やアプリに記録しましょう。これは、取引の結果を振り返って次に生かすために必要です。勉強でいう復習にあたります。取引をした際は、以下のような内容を記録しましょう。

・取引の結果
・エントリーと決済の根拠
・取引をした相場の状況

余裕があれば、今回の取引で感じた感想を3文ほどで書いてみてください。これを繰り返すことで、徐々にトレードスキルが磨かれていきます。

心身の条件

どれだけメンタルが強い人でも気分の浮き沈みは必ずあります。FXで安定した成績を残したいなら、気分が沈んでいるときはなるべく取引をしないようにしましょう。冷静な判断で取引できない可能性が高いからです。

冷静さを失えば不適切なタイミングで売買をする回数が多くなり、しっかり利益を確保できる確率が低くなります。気分が沈んでいる際に取引をしても得られることは基本的にないので、休むことに専念しましょう。

億を稼いだ有名トレーダーが決めていたトレードルール

何ごとも上手くなりたいなら、上手い人の真似をするのが一番おすすめです。これはFXでも同じで、正しいトレードルールを作りたいなら実際に稼いでいるトレーダーのルールを真似しましょう。ここでは、数億円の利益を得た有名なトレーダーが公言しているトレードルールの一部を紹介します。

基本「順張り」でエントリーする

有名トレーダーTさんは、基本的に「順張りでエントリーをする」というトレードルールを決めていました。理由は、失敗する可能性が少ないかつトレンドに上手く乗れれば、大きな利益を得られるからです。主に、ロンドン市場オープン後の順張りを得意としていたようです。これにより、Tさんは数千万円の利益を得ました。

取引ロット数は投資資金の「10%」

有名トレーダーのGさんは、「投資資金の10%でエントリーをする」というトレードルールを決めていました。理由は、ナンピンすることを前提にトレードしていたからです。つまり、一度に1Lotかけるのではなく、0.1Lotのエントリーを10回行うというやり方をとっていました。この手法を徹底して、Gさんは数十万円の資金を数億円にしたと言われています。

1回の取引で負う最大損失額は投資資金の「3%」

有名トレーダーのFさんは、「1回の取引で負う損失額は投資資金の3%まで」というトレードルールを決めていました。例えば、投資資金が10万円なのであれば、3,000円の損失を負った瞬間に損切りをするというイメージです。この手法を徹底し、Fさんは現在もFXの世界で活躍しています。

「ナンピンを前提」とした投資シナリオを立てる

有名トレーダーのKさんは、「ナンピンを前提とした投資シナリオ」を立てていました。大まかなトレードルールはGさんと似ています。しかし、Kさんの場合は、さらにリスクを下げて「取引ロット数は投資資金の1%」と決めていたようです。

投資資金が100万円であれば、1万通貨で取引をするというイメージです。これによりKさんは、副業トレーダーながらほぼほったらかしで年100万円以上の利益を得ています。

「ニューヨーク時間」は取引しない

有名トレーダーのMさんは、「ニューヨーク時間は取引しない」というトレードルールを決めていました。理由は、相場が荒れやすいからです。Mさんは、ニューヨーク時間の相場を「大きなリターンを狙える相場ではあるが、大きな損失を負う相場でもある」と述べています。

この考えは今でも採用しているようです。このトレードルールを徹底し、Mさんは2020年に数千万円の利益を得ています。

海外FX初心者がトレードルールと同じくらい意識するべきこと

海外FXで取引をするにあたって、トレードルールを守ることは非常に大切です。しっかり守っていれば、大きく負けることはほぼないでしょう。余裕がある人は、それと同時に2つのことも意識してみてください。ここまで意識すれば、他のFX初心者よりも早く上達できるでしょう。それでは、意識するべきことを紹介します。

慣れるまでは少額で取引する

FX初心者は、「少額での取引」を意識しましょう。なぜなら、いきなり勝てるようにはならないからです。初めは勝つよりも負けることの方が多いと予想されます。その中、大金で勝負していては、再起不能になるほどの損失を負う恐れがあります。そのような事態を防ぐために、まずは少額から取引を始めましょう。

取引手法は絞る

FX初心者は、取引手法を絞りましょう。現在はたくさんの取引手法があるので、いろいろな手法を試したくなるかと思います。しかし、たくさんの手法に手をつけると、どれも中途半端な結果で終わる可能性が高いので注意してください。

有名なFXトレーダーほど、使っている取引手法は少ない傾向にあります。いろいろな手法を駆使して勝っているFXトレーダーはあまりいません。この事実から、取引手法は絞った方が勝ちやすいと言えます。

まとめ

今回は、海外FXで使えるトレードルールの作り方について説明しました。トレードルールとは、FXで取引をする際に活用する決まりごとのことです。これを決めることで大きな失敗をする確率を低くできるといったメリットがあります

。取引に一貫性が出て、振り返りや分析がしやすくなるのもトレードルールを作るメリットです。低いリスクで多くの経験を積めるため、素早い上達が期待できます。トレードルールの決め方は、それほど難しくありません。今回いくつかの基準を紹介したので、それを参考に自分なりのトレードルールを作ってみてください。