FXには、DD方式とNDD方式の2つが存在します。非常に名前が似ているので同じと解釈している人も一定数いますが、特徴が大きく異なるので注意しましょう。正しく理解せずにいると、取引で失敗して大きな損失を負うかもしれません。相性がよい取引手法も異なるので、注意してください。
今回はそのような失敗を防ぐために、DD方式とNDD方式の概要について説明します。FX初心者にはどちらがおすすめなのかも説明するので、参考にしてください。
DD方式とは?3つの特徴
DD方式の正式名称は、Dealing Desk(ディーリング・デスク)です。投資家とFX取引所が1対1で取引を行う方法を指します。まずは、このDD方式の特徴から理解しましょう。国内FX取引所と海外FX取引所のどちらが導入しているのかについても説明します。
ディーラーを通して約定する
DD方式では、トレーダーからの注文をFX取引所がディーラーを通して約定させます。簡単に説明すると、トレーダーはFX取引所から通貨ペアを購入するという仕組みです。このように、通貨ペアを購入するにあたってディーラーが介入するので、DD方式は透明性が低いと言われています。
リクオートする場合がある
DD方式の取引所では、トレーダーの注文が発注されない場合もあります。トレーダーが注文を出すレート帯によっては、業者が不利になる可能性があるからです。業者も利益を得なければ運営していけないので、あまりにも不利なレートの場合はディーラーからレートの再提示をされる場合があります。この現象を「リクオート」と言います。
DD方式は、FX取引所が取引に介入するだけではなく、投資家と業者の利益が相反しています。
主に国内のFX取引所が導入している
現在は、「国内FX」と「海外FX」の2つが存在します。国内FXとは日本国内で運営しているFX取引所で、海外FXとは海外で運営しているFX取引所のことです。DD方式は、国内FX取引所が導入している傾向にあります。しかし、不透明さのメリットに目をつけて導入しているわけではありません。
国内のFX市場ではスプレッドが狭い取引所が好まれる傾向にあるので、多くのFX取引所がDD方式を採用しています。
DD方式のメリット
DD方式のメリットは、「戦略が立てやすい」ことです。「スプレッドが狭い」といったメリットもあります。メリットを理解して、取引を有利に進めましょう。それでは、DD方式のメリットの詳細について説明します。
戦略が立てやすい
FX取引所にもよりますが、DD方式を採用している業者は大体スプレッドの「原則固定」を採用しています。原則固定とは、例外を除き、スプレッドが常に固定されていることです。毎回同じスプレッドで取引できるので、戦略が立てやすいというメリットがあります。
スプレッドが狭い
先ほども少し触れましたが、DD方式はスプレッドが狭い傾向にあります。スプレッドとは、買値と売値の差のことです。実質的な売買手数料とも言われています。取引所にもよるものの、DD方式を導入している業者のドル円のスプレッドは大体0.1〜0.5銭です。しかし、DD方式以外を導入している業者は、1.5銭〜2銭のスプレッドを設定しています。
当然、スプレッドは狭い方が勝ちやすいです。最重要視する必要はありませんが、一応確認はしておきましょう。
DD方式のデメリット
DD方式のデメリットは、「約定を拒否される恐れがある」ことです。「ディーラーの裁量で決められる場合がある」「スキャルピングとは相性が悪い」などのデメリットもあります。ここではそのような、DD方式のデメリットについて説明します。
約定を拒否される恐れがある
DD方式だとトレーダーの利益がFX取引所の損失になるので、FX取引所はなるべくトレーダーに利益を出してもらいたくないと考えています。そこで行われる可能性があるのが「約定拒否」です。業者にとって極端に不利なレート帯であれば、注文を通してもらえない場合があります。これがトレーダーにとってはストレスに感じる場合もあるでしょう。
ディーラーの裁量で決められる場合がある
DD方式は、取引にFX取引所が介入します。そのため、レートの変更やスリッページが意図的に行われる可能性もあります。スリッページとは、注文を出した価格と確定した価格に差があることです。小さな値動きの相場で利益を狙おうとしてこのようなことが起こると、戦略は合っていても損失が出る場合もあります。
スキャルピングとは相性が悪い
DD方式を採用しているFX取引所は、基本的にスキャルピングを禁止しています。スキャルピングとは、数秒から数十秒の間に取引を終わらせる超短期取引です。スキャルピングは小さな値幅を狙うので、スプレッドが狭いDD方式はトレーダーにとって好都合です。それなのに禁止する理由は、FX取引所のカバーが間に合わなくなるからです。
そのようになれば、業者は大きな損失を負う恐れがあります。スキャルピングを行いたい人は「NDD方式」を採用している海外FX取引所を利用しましょう。
損する可能性が高まる
何度も説明しているように、DD方式は取引にFX取引所が介入してきます。そのようになると、どうしてもFX取引所が有利な立場になります。レートを変更したり約定拒否をできたりするからです。
基本的には、業者が有利な立場でトレーダーは戦っていかなければなりません。相場や世の中の状況を確認するだけではなく、FX取引所の顔色も伺う必要があるので、人によってはかなりストレスが溜まるでしょう。
チャートの流れが不自然になる場合がある
FXの注文は取引市場で行われます。しかし、取引市場がチャートを作っているわけではありません。チャートを作っているのは、FX取引所です。DD方式を採用している取引所は、自社の利益のために一部チャートを操作する可能性もあります。そのタイミングで注文または取引をすると、トレーダーは高い確率で損をするでしょう。
DD方式とNDD方式の違い
FXの取引には、DD方式の他にNDD方式もあります。非常に名前が似ていますが、特徴が異なるので注意しましょう。「約定の行われ方」や「採用しているFX取引所」などが違います。ここではそのような、DD方式とNDD方式の違いについて説明します。
約定の行われ方が違う
NDD方式は、トレーダーの注文が直接インターバンクに届く方式です。一方で、DD方式はトレーダーの注文を一度FX取引所が預かります。そして、業者が取引ごとに判断して約定を行います。
DD方式だと少し不公平な取引を強いられる可能性があります。業者が約定を判断しなければ、注文は通らないからです。実際、業者が不利なレート帯での注文を通さないというFX取引所も存在します。
採用している取引所の違い
NDD方式は海外FX取引所が採用している傾向にあります。一方でDD方式は国内FX取引所が採用している傾向にあります。理由は、トレーダーの特徴が異なるからです。日本国内ではスプレッドの広さを気にする投資家が多いので、多くのFX取引所はスプレッドが狭いDD方式を採用します。
海外の投資家はアグレッシブな投資を好む傾向にあるので、たくさん取引してくれた方が儲かるNDD方式を採用するFX取引所が多いと言えます。
取引の透明性の違い
NDD方式は、取引において業者が介入しません。人の手が加わらないので、透明性は高いとされています。一方でDD方式は仕組み上、どうしても人の手が加わるので、透明性が低いとされています。透明性が低ければ、裏で何をしているのかが分かりません。そのような不安を抱えながら取引したくない人は、海外FX取引所を利用した方がよいでしょう。
スプレッドの違い
NDD方式を採用しているFX取引所はスプレッドが広い傾向にあります。スプレッドで利益を得ているからです。一方でDD方式はスプレッドが狭い傾向にあります。トレーダーの損失で利益を得ているからです。比較する取引所や通貨ペアにもよりますが、スプレッドが3〜5倍違うケースもあります。スプレッドが影響しやすい短期取引を行う場合は注意しましょう。
NDD方式の特徴も把握しておこう
これからFXをしていくなら、いつかはNDD方式にも触れるでしょう。そこで戸惑わないように、今から知識をつけておくことをおすすめします。それでは、「FX取引所が介入せずに注文が約定する」「有利なレートで約定できる」など、NDD方式の特徴について説明します。
FX取引所が介入せずに注文が約定する
NDD方式は、None Dealing Desk(ノン・ディーリングデスク)の略称です。FXにおける約定の方式を指します。NDD方式は、トレーダーの注文をインターバンクに直接流します。インターバンクとは、FXに関する注文が集まる場所のことです。取引にFX取引所が介入しないので、公平性の高い取引ができます。
有利なレートで約定できる
NDD方式は、ディーラーによる裁量の余地が全くありません。そのため、複数の金融機関が提示するレートの中から、最も有利なレートで取引できます。仮に裁量の余地があるとレートを変更されたり約定を拒否されたりする場合があります。それはトレーダーが不利になることを意味するので、気をつけましょう。
トレーダーが勝てばFX取引所は儲かる
DD方式は、トレーダーの損益とFX取引所の損益が相反しています。トレーダーが損をすればFX取引所は儲かる仕組みです。一方で、NDD方式を採用しているFX取引所はスプレッドが利益になっています。そのため、トレーダーがたくさん取引するほど儲かるという仕組みになっています。
この仕組みがあるため、NDD方式を採用しているFX取引所はトレーダーにメリットのあるボーナス・キャンペーンをたくさん出す傾向があります。
NDD方式が採用している2つの取引形態
NDD方式には、「STP取引」と「ECN取引」の2つの取引形態があります。それぞれ特徴が異なるので、注意してください。賢く選択して取引を有利にするために、ここでSTP取引とECN取引の特徴について理解しておきましょう。
STP取引
STP取引とは、Straight Through Processingの略称です。トレーダーが出した注文を一度取引所が預かり、それをインターバンクに流す取引形態です。DD方式に似た取引形態ですが、STP取引は人の手が介入することはありません。なぜなら、FX取引所を経由するだけだからです。
しかし、業者を経由するのでスプレッドが上乗せされる場合があります。短期取引を行う人は注意しましょう。海外FX取引所には、スタンダード口座があります。この口座は、大体STP取引が採用されています。
ECN取引
ECN取引とは、Electric Communications Networkの略称です。トレーダーが出した注文を直接インターバンクに流す取引形態です。約定力が高いという特徴があります。また、取引する度に発生するスプレッドが安い傾向にあります。
スプレッドをほぼゼロにしている業者も珍しくありません。その代わり、トレーダーは取引の度に手数料を支払わなければいけません。業者はこれを利益にしているからです。海外FX取引所では、スプレッドゼロ口座のようなものがあります。その口座は、大体ECN取引を採用しています。
DD方式の取引所でおすすめの取引手法
現在のFXには、たくさんの取引手法があります。しかし、全ての取引手法がDD方式で機能するわけではありません。相性がよい取引手法と相性が悪い取引手法が存在するので、注意しましょう。ここではDD方式と相性がよいおすすめの取引手法を紹介するので、参考にしてください。
長時間足を使ったトレンドフォロー
DD方式と「長時間足を使ったトレンドフォロー」は相性がよいと言えます。やり方は以下の通りです。
1.4時間足や日足を見て、大きなトレンドを確認する
2.そのトレンドと同じ方向にエントリーする
3.トレンドが終了したら決済する
トレンドフォローは王道の取引手法です。勝率が高いとして有名なので、ぜひ使ってみてください。
移動平均線を使ったゴールデンクロス・デッドクロス
DD方式と「移動平均線を使ったゴールデンクロス・デッドクロス」は相性がよいと言えます。やり方は以下の通りです。
1.チャートに移動平均線を表示する
2.短期移動平均線と長期移動平均線を把握する
3.長期移動平均線を短期移動平均線が下から上に突き抜けたら「買い」でエントリー(デッドクロスの場合は上から下に突き抜けたら売りでエントリー)
4.長期移動平均線を短期移動平均線が上から下に突き抜けたら「決済」をする(デッドクロスの場合は下から上に突き抜けたら決済)
DD方式とNDD方式はどちらがおすすめ?
これまでDD方式の説明をしてきましたが、FX初心者にはNDD方式を採用している海外FX取引所の方をおすすめします。その理由は以下の通りです。
・追証が発生しない
・高いレバレッジをかけられる
・税金面で有利
ゼロカットシステムを導入している海外FX取引所を使えば、借金を負うこともありません。FX初心者を優遇するボーナス・キャンペーンも豊富なので、気になる人は一度チェックしてみてください。
まとめ
今回は、DD方式とNDD方式について説明しました。DD方式とは、投資家とFX取引所が1対1で取引を行う方法です。スプレッドのレートが安定していたりスプレッドの幅が狭かったりと、さまざまなメリットがあります。
NDD方式とは、トレーダーの注文をそのままインターバンクに流す約定方式です。業者の手が加わらないので、透明性の高い取引方式として注目されています。DD方式は取引に業者が介入するので透明性は低いとされています。スキャルピングも禁止されているので、人によっては使いづらいでしょう。
NDD方式は、トレーダーが有利に取引できるボーナスやキャンペーンが豊富な傾向にあります。低リスクで安全に取引をしたい人は、海外FX取引所を利用しましょう。