リクオートとは、FXトレーダーが取引した注文の価格では約定できず、FX業者から新しい価格を再提示されることを言います。海外FXでトレードをしている方なら、度々耳にしているのではないでしょうか。
海外FX初心者のなかには、リクオートが少しわかりづらいと感じている人もいるかもしれません。そもそもリクオートとはどのようなものなのか、約定拒否やオフクオート、スリッページなどについても解説していきたいと思います。
リクオートの仕組み
リクオートの「quote」には、値段をつけるという意味があります。そこに「Re」がつくことによって、再びの意味が追加されるので「値段をつけ直す」意味を持つ言葉になります。
例えば、あなたが1ドル100.10円(小数点2桁まで表示の場合)で、ポジションを保有したとします。100.20円まで相場が上がったタイミングで利益を確定させようと成行注文をかけた際に、注文の処理を実行したタイミングとの価格にズレが生じて約定が成立せず、FX業者からは新たな価格を再提示されることがあります。これがリクオートの仕組みです。この時、成行注文をかけた1ドル100.20円よりも低い価格を提示されることがあります。
人間の心理的に、もっと相場が上がるかもしれないと考えると、なかなか決断ができなくなります。迷っている間に注文時の希望価格や表示価格で約定されずに、新しい価格での注文を提案されてしまいます。さっきまで100.20円に上がっていたのに、また相場が上る前の100.10円に戻ってしまうことも少なくありません。ときには、より価格が下がったタイミングで約定され、利益どころか損失に繋がってしまうこともありますので注意が必要です
オフクオート、スリッページとの違いとは
また、リクオートと混同されがちなものにオフクオートがあります。オフクオートとは、FXトレーダーが希望する注文に対して市場に相対する注文がなかった場合、注文が成立しないことを言います。
そのため、オフクリートの状態になっているときは注文自体の選択ができず、リクオートとの表示に違いがあります。そもそもオフクオートは、取引量の多い大ロットの注文などで発生しやすいと言われています。
他にも、リクオートと似ていて間違えられやすいものにスリッページがあります。スリッページとは、注文を出したときの価格とズレた価格で約定することです。リクオートは再提示されるのに対して、スリッページは約定が行われた状態になります。
スリッページについて詳しくはこちらもご覧ください。
スリッページとは?発生する理由や7つの対策方法、3つの注意点を解説!
約定拒否について
約定拒否とは、FXのトレードで注文を出しても、約定されない状態のことです。リジェクトと呼ばれることもあります。
世界情勢は常に変動していますが、ゆっくりと変わることもあれば、驚くほどのスピードで進んでいくこともあります。思いもよらないことで、為替レートが乱高下することもあります。すると、注文を出したときの価格よりも大きく変動したタイミングで約定されることになってしまいます。FX業者にとってもこれ以上大きな損失が出ると、損害になりかねないときに約定拒否がおこります。
約定拒否はFX業者によっても違いますが、主にDD方式を取り入れている業者に多いと言われています。DD方式は「Dealing Desk方式」の略称になり、ディーリングデスクを設置してFX業者とトレーダーが直接取引を行う方法です。
DD方式のトレードでは、ドル円を買ったときの売り手は「FX業者」になります。トレーダーが儲ければ儲けるほどFX業者が損を出して、トレーダーが負ければ負けるほどFX業者の利益になる相反関係にあります。そのため、約定拒否が起こるとトレーダーにとっては不利益なことが多くなります。例えば、エントリーしたいタイミングでポジションが取れなくなる、含み損が出ている状態なのにポジションの損切りができないなどの事態が起きてしまいます。
FX初心者にとっては、そんなにトレーダーにとって都合の悪いことを、FX業者がするの!?と疑問に思う人もいるかもしれません。でも国内FXは、トレーダーが儲けるのは業者の損失と考えるところもあります。FXは世界中のトレーダーと戦っているイメージを持っているかもしれません。でも、国内FXでトレードをしている場合、実はFX業者と戦っていると言われることもあります。
約定拒否になってしまうと、エントリーできていれば大きな利益が出たはずなのにと後悔する、含み損が余計に大きくなってしまい損益を抱えることになってしまいます。約定拒否はトレーダーにとっても不利益にしかなりません。どんなに慎重にトレードをしていたとしても、利益獲得の機会を逃すことになってしまいます。トレーダーの多くは損小利大を目指していることから考えると、約定拒否で最悪の結果になってしまうこともあるので注意が必要です。
リクオートが起こる原因
FXでは、世界情勢に何かしらの動きや発表があった場合に相場が大きく動きます。為替の動きに対してトレーダー自身が売買するかを決定して決済を行いますが、本来であればリクオートにならずに決済をするタイミングのほうが早く、市場の動きに対応できるケースが多いです。
しかし、市場の動きは想定している以上に早いので、大々的にニュースが発表されたときにはすでに大きく変動していることも少なくありません。リクオートは、主に急激な価格変動が起こるハイボラティリティ市場やスプレッドの幅が広くなりやすいリクイディティの低下によって起こります。
FX業者が契約しているプロバイダーはそれぞれ違いますし、注文の処理の方法や仕組みも一律とは限りません。そのため、希望を出してもリクオートが提案されやすいFX業者もあればその逆で提案されにくい業者もあるので注意が必要です。
海外FXはリクオートが発生しない
海外FX業者によっては、リクオートが一切発生しないところがあります。実際に海外FX業者で「約定拒否なし」と記載しているホームページもあり、安心してトレードが可能です。
海外FXでは重要な経済指標の発表や世界的なイベントなどで為替が大きく動くタイミングでも、約定拒否で注文が通らなかったことがないと聞きつけ、納得いかない国内FXのトレーダーが海外FXに乗り換えるということも多く見られます。
これは海外FXに、NDD方式(OTC方式)を採用している業者が多いことに関係しています。NDD方式とは「ノンディーリングデスク」の略称になり、インターバンクの金融機関と直接取引を行うことを言います。
インターバンク市場とは、世界中の金融機関同士が為替取引をしている為替市場のことです。NDD方式はFXのディーラーを介さずにインターバンク市場に流す取引方法をとっているので、利益相反の関係にはなりません。
NDD方式では、すべての注文をカバーして取引を行います。FXブローカーとトレーダーの間に、利益の相反が起こりにくく透明性の高いレートでの取引ができます。FXのディーラーによるレート操作が気になる人には、NDD方式が最適です。
ただし注意しなくてはいけないのが、海外FX業者のなかでもNDD方式の「インスタントエグゼキューション」を採用しているところもあります。エグゼキューションとは執行方法の違いを表した言葉になり、インスタントエグゼキューションには「直ちに執行する」の意味があります。
トレーダーが注文を出すと、画面に表示されていたレートのそのままで約定します。スリッページや部分約定は起こりません。同じ執行方法の違いを表現した言葉に、マーケット・エクセキューションがあり、市場の状況次第で執行する意味があります。インスタントエグゼキューションの場合もリクオートが発生しません。海外FXでは、リクオートが発生しない環境や取引条件のものを「約定拒否なし」と表現することもあります。
海外FX業者はどうやって利益を得ているの?
国内FX業者は、リクオートや約定拒否によって利益を出しています。でも、海外FXでは約定拒否がないとすると、どうやって利益を出しているのか疑問に思う人もいるかと思います。
海外FX業者は、トレーダーの注文をインターバンクに流すときに徴収している「スプレッド(手数料)」を利益としています。そのため、トレーダーにはできるだけ多く注文してもらい、利益を出してもらう必要があります。
そのほうが、海外FX業者にとっての利益が多くなります。海外FX業者の多くが、たくさんのボーナスやキャンペーンを行っていることからも、納得できます。海外FXはトレーダーからの注文が多ければ多いほど利益が増える仕組みになるので、わざわざ約定拒否をする必要がありません。
海外FXのほうがトレーダーにとっても利益が出しやすくなりますし、お互いに気持ちの良いトレードができます。この仕組みによって、海外FXでのトレードはおすすめされることがあります。
国内FXでトレードをしている人のなかには、国内とついていると安心感があると思っている人や、なんとなくTVのCMで耳にしたことのあるブランド名で選んでいる人もいるかもしれません。同じトレードをするなら、海外FXなら約定拒否がなく利益を出しやすいため、トレーダーにとってもメリットがあるのがわかると思います。
まとめ
リクオートや約定拒否になってしまうと、含み損が多くなってしまうこともありますし、大きな利益を逃す原因にも繋がります。海外FXの方がメリットも多く、トレードをしていて楽しいというFXトレーダーも少なくありません。
約定拒否になると、決済したいタイミングが思い通りにいかなくなってしまうこと、決済したはずなのにリクオートで損益が出てしまうなんてこともあります。約定拒否にならない海外FXでトレードを楽しんでみてはいかがでしょうか。