海外FXの両建てとは?やり方や初心者におすすめしない理由も解説!

FXでは、利益を得ることよりも「損失を最小限に抑えること」の方が大切です。相場の世界に長く居続けられれば、その分多くのチャンスを掴めるからです。損失を最小限に抑える方法について調べていると、「両建て」という取引手法が出てきます。確かに両建てを使うとリスクを最小限に抑えられる可能性が高くなるので、気になっている人もいるでしょう。

そこで今回は、「両建て」について説明します。規約違反になってしまうケースや規約違反にならないための対策方法なども紹介するので、両建てを安全に使いたい人は参考にしてください。

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FXの両建てとは

FXの両建てとは、同じ通貨ペアで買いのポジションと売りのポジションを同時に保有することです。両方のポジションを同じタイミングで保有するため、利益と損失が相殺されます。

例えば、ドル円が100円のときに両建て(1万通貨)したとします。ドル円が1円上昇したとすると、買いのポジションでは1万円の利益が出ています。しかし、売りのポジションでは1万円の損失が出ています。結果的に、損益は±0円です。どちらかのポジションを売却しない限り、±0円の状態が永遠に続きます。

両建ては実は禁止行為!?

両建ては、FXの取引で使える立派な取引手法です。実際に両建てを駆使し、少ない元手から大きな資産を築いたトレーダーも存在します。自分も使ってみたいと思っている反面、「両建ては禁止行為」という噂を聞いて不安・疑問を抱いている人もいるでしょう。この段落では、その噂の真実について説明します。

禁止行為(違反行為)となる両建て

結論、両建て自体は禁止されていません。しかし、FX取引所によっては両建ての一部のやり方を禁止しています。詳細は以下の表にまとめました。

禁止されていないやり方 同一FX取引所内の同一口座で行う両建て
禁止されているやり方 ・同一FX取引所内の別口座で行う両建て
・別FX取引所間での両建て

海外FX取引所は、投資残高以上の損失を相殺する「ゼロカットシステム」を導入している場合があります。実は、両建てとゼロカットシステムを組み合わせるとトレーダーは低リスクで大きな利益を得ることができます。このような行為が行われると海外FX取引所は赤字続きで運営していくことができないので、一部の両建てを禁止しています。

IS6FXが定めているガイドラインについて詳しくはこちらをご参考ください。
>IS6FXのガイドライン

規約違反をした場合どうなるの?

禁止されている両建てを行うと、規約違反とみなされ、以下のペナルティが課せられます。

・利益の没収(全額、または一部)
・出金拒否
・最大レバレッジを大きく制限
・FX口座の凍結

利益の没収は、ほぼ確実に行なわれます。良心的なFX取引所であれば禁止行為で得た利益のみの没収で済みますが、それ以外の利益も没収するFX取引所も存在するので注意しましょう。両建てのやり方が悪質と判断された場合は、出金拒否やFX口座の凍結などの重いペナルティも課せられます。

口座が凍結させられると、いかなる理由があっても入出金・取引ができなくなります。ブラックリストに載り、FX口座の再開設ができなくなる場合もあるので、十分注意しましょう。

他社間での両建てでもバレるってホント?

結論、本当です。1つ目の理由は、「取引プラットフォームが同じだから」です。現在、海外FX取引所の多くは「MT4/MT5」という取引プラットフォームを使っています。取引プラットフォームが同じだと他社の取引履歴も閲覧できるので、他社間で両建てを行っていることがすぐ分かります。

2つ目の理由は、「仲介業者が存在するから」です。例えば、A社で売り注文、B社で買い注文を出したとしましょう。A社もB社も同じ仲介業者を使っていた場合、注文内容が分かります。そのため、同じ時間帯に同じロット数の注文が出ていれば、両建てしていることがすぐバレます。FXの世界は広くないので、基本的に禁止行為はバレると思っておいた方がよいでしょう。

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規約違反にならない両建ての方法

先ほど説明した通り、両建て自体は禁止されていません。立派な取引手法の一つなので、有効な場面では積極的に活用しましょう。しかし、うっかり禁止行為に当てはまる両建てを使ってしまう場合も考えられます。それを防ぐために、この段落で「規約違反にならない両建ての方法」を理解しておきましょう。

スワップポイントを狙う

スワップポイントとは、通貨ペアの間に生じる金利の差のことです。スワップポイントを獲得する方法はポジションを保有するだけなので、FX初心者でもチャレンジしやすいでしょう。スワップポイントを狙った両建ての特徴は、手堅く利益を積み上げていけることです。比較的安全な取引手法なので、あまりリスクを取りたくないトレーダーにおすすめです。

しかし、買いと売りのどちらかのポジションはマイナススワップです。プラススワップよりもマイナススワップの方が大きいと損失のみが膨らむので十分注意しましょう。

類似性のある別の通貨ペアで両建て

通貨ペアの中には、相関関係・逆相関関係にあるものもあります。この関係性を利用して両建てを行うのも一つの手です。例えば、ドル円とユーロドルは逆相関関係にあります。両建てを行うのであれば、買いのポジションでドル円を保有し、売りのポジションでユーロドルを保有してみましょう。

この戦略が上手くいくと、どちらのポジションでも利益が生まれます。通常の2倍の利益を得られるので、口座残高がかなり潤うでしょう。しかし、戦略が外れると損失も2倍の速度で増えます。リスク管理や資金管理は、いつも以上に徹底してください。

ロスカット防止策として使う方法

FX取引所のルールに基づいて、強制的に保有しているポジションが決済されるシステムのことをロスカットと言います。ロスカットの対策方法はいろいろありますが、その中の一つとして挙げられるのが「両建てをする」方法です。

両建てを行っている間は、損益が変動しないからです。この間に他のチャンスを見つけて、利益を得ましょう。止めている含み損以上の利益を出した後に両建てを解除すれば、プラスの状態で取引を終えることができます。しかし、両建てをした後は大きく負けられないのでより慎重に取引しましょう。

両建てを行うメリット

デメリットやリスクなど、両建てに関してはネガティブな情報ばかりが目立ちます。しかし、両建てはプロのトレーダーも活用している立派な取引手法です。評判が悪いからと初めから避けるのではなく、メリットを理解し、適切な場面で両建てを使っていきましょう。それでは、両建てを行う4つのメリットを紹介します。

リスク軽減(リスクヘッジ)ができる

FXの相場をある程度は予測できたとしても、完璧に当てることはできません。そこで大切になるのが「リスク管理」です。しっかりリスクを抑えた上で取引を行っていけば、大きく負ける確率を低くすることができます。リスク管理の方法は多岐に渡りますが、「両建てを活用する」のも一つの方法です。

ロスカットの防止策の段落でも説明したように、両建てを行えば、損益の変動を止められます。その間に1円でも多く利益を獲得すれば、負う損失を少なくできます。ピンチになったら、両建てをして状況を整理するのも有効な投資戦略です。

含み損を抑えることができる

例えば、ドル円の価格が100円のときに買いポジションを1万通貨保有したとしましょう。価格が90円まで下落した場合、10万円の含み損を負います。しかし、98円のタイミングで売りポジションを注文し、両建てを行っていれば価格が90円まで下落しても2万円の含み損で済みます。

その分、証拠金も残るので「多額の含み損によって新規ポジションが持てない」という事態も防げます。含み損を抑えられるのであれば、可能な限り抑えましょう。そのために、両建てを積極的に活用していくのは有効な戦略と言えます。

相場の様子見ができる

FXの相場は、1秒単位で動いています。短期トレードをしている人は、すぐに状況が変わるので落ち着くことができないでしょう。しかし、FXでは冷静な取引が求められます。そこでおすすめしたいのが、「両建てを行って一旦取引を止める」ことです。

両建てを行えば損益が変動しないので、ゆっくりと相場を見ることができます。その間に、自身の資金状況相場の状況などを確認し、必要であれば今後の戦略を練り直してください。一旦冷静になり、再度最適なプランを練ることができれば、FXでの勝率は高くなるでしょう。

節税対策ができる

両建ては、節税対策にも有効とされています。その年の利益を少なくすることができるからです。例えば、年間20万1,000円の利益が出ていた場合、会社員であれば確定申告が必要です。ここで両建てをします。

買いのポジションは+2,000円、売りのポジションは-2,000円という状況で、年内に売りのポジションのみを手放します。これで、年内の利益は19万9,000円(20万1,000円-2,000円)になります。年間の利益が20万円以下なので、確定申告をする必要はありません。そして、年明けに買いのポジションを決済し、2,000円の利益を手に入れれば、累計利益は20万1,000円に戻ります。

両建てを行うデメリット

メリットのみに焦点を当てて両建てを行うと、想定外の事態が起きたときに混乱する場合があります。これを防ぐために効果的なのが、「デメリットも理解する」ことです。メリット・デメリットの両方を理解した上で両建てを行えば、きっと理想的な取引ができるでしょう。それでは、両建てを行うデメリットを紹介します。

ロスカットのリスク上昇

両建ては、2つのポジションを同時に保有する取引手法です。通常の取引よりも2倍の証拠金がかかります。ロスカットは、証拠金が少なくなると発動しやすくなるので、両建てを行うほどロスカットの発動リスクは上昇します。両建てを使い過ぎた結果、ロスカットが発動したというトレーダーも少なくありません。

両建てを使う予定がある人は、十分な証拠金を用意しておきましょう。最低でも通常の2倍、あまりリスクを取りたくない人は4倍の証拠金を用意することをおすすめします。これ以上入金できない人は、ロット数を下げたりレバレッジを高めたりしましょう。

スプレッドが増えやすい

スプレッドとは、通貨ペアの買値と売値の差です。実質的な売買手数料と言われています。基本的にスプレッドが狭いほど、取引で利益を得られる確率は高まります。回収する必要があるコストが少ないからです。

両建てを行うと、スプレッドが通常の2倍かかります。利益を得るためには、通常よりも大きな利幅を取らなければいけません。狙っている値幅とスプレッドによるコストを天秤にかけて、マイナスにならないように取引を行いましょう。コスト負けする可能性が高ければ、両建てを行わず、損切りして次の取引に臨むことをおすすめします。

マイナススワップに注意

両建てを上手く使えば、堅実にスワップポイントを稼ぐことができます。しかし、スワップポイントには、トレーダーが金利を支払わなければいけない「マイナススワップ」もあります。プラススワップよりもマイナススワップの方が大きいと、日々損失がかさむので注意しましょう。

スワップポイントは、直接口座に入金されるので含み損にはなりません。確定損として処理されるので、注意してください。スプレッドの段落でも同じような説明をしましたが、マイナススワップがかさみ、取り返せる見込みがないのであれば、早い段階で損切りすることをおすすめします。

節税対策として両建てを使う手法

FXで得た利益は、全額トレーダーの懐に入るわけではありません。得た利益から所得税や住民税などが引かれ、残った金額がトレーダーの懐に入ります。手元に残るお金を増やしたいと考えているのであれば、両建てで節税対策をしましょう。ここでは、「節税対策として活用する両建て」について説明します。

節税対策しなかった場合どれくらい支払う必要がある?

今回は、FXで年間100万円の利益を得たとしてシミュレーションを行います。いくらの税金が発生するのかは、以下の表にまとめました。

国内FXの場合 海外FXの場合
所得税 15万円 5万円
住民税 5万円 10万円
合計 20万円 15万円

※分かりやすくするために、復興特別所得税は省略

国内FXの場合は、利益の金額に関わらず一律で20.315%の税金がかかります。海外FXは累進課税制度によって税率が決まるので、15〜55%の税金がかかります。FXとその他所得の合計が330万円以下であれば、海外FXを利用した方がお得です。そのため、FX初心者は大きな利益を上げられるようになるまで、海外FXを利用することをおすすめします。

両建てによる節税の方法

すでにFXの年間利益が20万円以上ある人は、以下の方法で節税をしましょう。

1.今年の年間利益を計算する
2.両建てを行う
3.年間利益が20万円未満になるように、マイナスのポジションのみを決済する
4.決済したポジションと同方向の新規ポジションをすぐに取得する
5.年が明けるまでポジションを保有する
6.相場を見て、スプレッドが安定してきたタイミングで両建てを解除する

年間損益がマイナス続きの人は、以下の方法で節税をしましょう。損失控除を繰り越すことができます。

1.両建てを行う
2.過去3年間の損失額の合計と同等になるように、プラスのポジションを決済する
3.マイナスのポジションは翌年に持ち越す

両建てによる節税をすべきタイミング

両建てを使って節税をするためのベストなタイミングは、11〜12月です。利益を追求する取引は10月末までにし、11月以降は節税のために両建てを行いましょう。11月からはポジションを手放す人が徐々に増えます。相場が大きく動きやすいので、効率的に利益・損失が増えるでしょう。

しかし、12月からは相場がかなり不安定になります。ほぼ動かない年もあれば、乱高下する年もあり、コントロールするのが難しくなります。そのため、節税のための仕込みは11月中に終わらせておきましょう。11〜12月は忙しいという人は、それより前からこまめに損益を調整してください。小さなロットで両建てを行えば、微調整がしやすいのでおすすめです。

両建てを使った取引手法

ロスカット対策や節税など、両建てはリスク管理のために使う人が多いですが、使い方によっては利益を獲得することもできます。攻めの両建てが使えるようになれば、戦略・チャンスの幅が広がるので、これを機に覚えておきましょう。この段落では、FX初心者でも使いやすい2つの両建て戦略を紹介します。

うねり取り

うねり取りとは、通貨ペアの値動きを把握して、買いと売り、どちらからも利益を狙う取引手法です。具体的なやり方を紹介します。

1.中長期目線でポジションを保有する
2.中長期ポジションで十分な利益が出るまで、短期トレードで売買を繰り返す
3.十分な利益が出たタイミングで中長期ポジションも決済する

基本的に大きなトレンドが変わるまで中長期ポジションは持ち続けます。

ナンピン×両建て

ナンピン×両建ては、下値でポジションを買い増し、平均取得単価を少しずつ下げていく取引手法です。例えば、1ドル=100円のドル円を両建てで保有したとしましょう。その後は、ドル円が1円値下がりするごとに買いと売りのポジションを購入し続けます。

これを淡々と続けていれば、平均購入単価は95円になり、チャートが95円を超えた瞬間に利益が発生します。そして、売りのポジションはドル円の価格が95円以下になったタイミングで手放しましょう。これで、合計の損益はプラスになります。

両建ての注意点

両建ては、よい面と悪い面が表裏一体の取引手法です。正しく使えば取引をサポートしてくれる優秀な手法になりますが、間違った方法で使うと負ける確率がグッと高まります。これを防ぐために、この段落で「両建ての注意点」を理解しましょう。とくに覚えておきたい両建ての注意点を3つ分かりやすく説明します。

損失が消える訳ではない

両建てを行うと、損失が一時的に消えます。しかし、これは両建てを行っているから消えているだけです。完全に消えている訳ではありません。両建てを解除した瞬間、眠っていた損失が現れます。「両建てをしたため後は考えなくてもよい」ではなく、どのようにしたら損失を最小限に抑えられるか忘れずに考えましょう。

塩漬けに使うのはリスクが高い

塩漬けとは、ポジションを保有し続ける行為です。塩漬けと両建てを組み合わせる投資戦略は、確かに一つの戦略として確立しています。しかし、かなり計画的に行わないと多額の損失を負う可能性があるので注意しましょう。塩漬けを両建てでカバーする前に、その他の方法で解決できないか考えてみてください。

塩漬けについて詳しくはこちらをご参考ください。
>FXの塩漬けがおすすめされない理由とは。海外FX初心者には難しい方法?

海外FXの本質的なスキルが身につかない

FXで利益を得ていくためには、損失を小さくして利益を大きくする「損小利大」の取引を目指す必要があります。しかし、両建てを使うとこのスキルが身につきません。損失が出たとしても、両建てをすればよいという思考になってしまうからです。

将来的には、両建てよりもFXの本質的なスキルの方が役に立ちます。「すぐ両建てに頼らない」という意識で取引をするだけでも成長できるので、ぜひ実践してみてください。

まとめ

今回は、FXの両建てについて説明しました。両建てとは、買いと売り、両方のポジションを同時に保有する取引手法です。ネット上では「禁止行為」との噂が流れていますが、両建てを禁止しているFX取引所は基本存在しません。禁止しているのは、両建てを使った一部の悪質な行為です。

一つの取引手法として確立しているほど有名なので、タイミングが合えばぜひ使ってみてください。しかし、闇雲に使うとリスクのみを高めてしまいます。今回紹介したデメリット・注意点なども理解し、適切な場面で使うようにしましょう。