現在は、FXのエントリーに関する情報がたくさん出回っています。エントリーは得意という人が多いでしょう。しかし、売るタイミングに関する情報はあまり出回っていないのが現状です。エントリーしたものの、どのタイミングで売ればよいのかと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、その悩みを解決するために「FXでの売るタイミング」について説明します。ローソク足とテクニカル分析を使って判断する方法を紹介するので、参考にしてください。
FXで「売る」を使うタイミング
FXで「売る」を使うタイミングは、エントリーをするときと決済をするときの2つがあります。どちらであっても売るという行動は非常に大切なので、理解しておきましょう。ここでは、FXで売るを使うタイミングの詳細について説明します。
エントリーをするとき
FXで取引をするためには、まずエントリーをしなければいけません。このとき、対象の通貨ペアを購入する人が多いでしょう。こちらがFXのベーシックな取引方法ですが、実は売りからエントリーすることもできます。これを空売りと言い、以下のような仕組みで利益を得ることができます。
1.対象の通貨ペアを選択して、先に売り注文を入れる
2.通貨ペアの価格が下がるのを待つ
3.下がったタイミングで、空売りに対しての買い注文を出す
4.差額が利益になる
高い価格のときに売り、安くなったら買い戻すというイメージです。日常生活ではイメージしづらいと思いますが、FXでは売りから入っても利益を狙うことができます。
決済をするとき
エントリーをして読みが当たった場合は、損益がプラスになっているでしょう。しかし、これは含み益と言ってまだ仮の状態の利益です。利益を本物にするためには、タイミングを見て決済をしなければいけません。このときに使うのが、売り注文です。通貨ペアを購入して、最適なタイミングで売ったときに生じた差額が利益になります。
売り注文は、利益を確定させる他に損切りをするときにも使います。ポジション整理をするときにも使うでしょう。一般的にFXではエントリーのタイミングが重要視されますが、売るという行為もたくさん使うためこちらにも目を向けるようにしてください。
FXでは売るタイミングが重要な理由
中には、利益を得られる可能性を高められるといった理由から、FXでは買うタイミングよりも売るタイミングの方が重要と言っているプロトレーダーも存在します。その他にも、売りは損失を最小限に抑えられるといったメリットもあります。ここでは、そのような売るタイミングの重要性について説明します。
利益を得られる可能性を高めるため
例えば、ドル円を100円のときに購入したとしましょう。売るタイミングを把握できていなければ感覚で決済をしなければいけないので、利益を取りこぼす恐れがあります。しかし、売るタイミングを把握できていればしっかり利益を確保できるため、感覚で決済をしている人よりも多くの利益を得られる可能性が高まります。
取引ロット数が小さいうちはあまり感じませんが、取引ロット数が大きくなると得られる利益の金額に差を感じてくるでしょう。人によっては、数万円〜数十万円単位で獲得できる利益が変わってきます。この機会損失を少しでも減らすために、適切な売るタイミングを理解する必要があります。
損失を最小限に抑える必要があるため
FXでフォーカスされるのは、利益を得る方法です。Webや本などの情報源を見ても、利益を得る方法について発信している人が多いでしょう。しかし、FXで長く勝っていくためには損失を最小限に抑える方法も覚える必要があります。
損失を最小限に抑えるためには適切な売るタイミングの把握が必要不可欠です。トレンドが変わりそうなとき、相場の流れが変わったときなどをしっかり把握できれば、早めに通貨ペアを売れるので、仮に損失を負ったとしても最小限に抑えられます。最小限の損失であれば比較的簡単に取り戻せるので、安心してください。
FXのローソク足で売るタイミングを判断する方法
FXで必要な売るタイミングは、「ローソク足」と「テクニカル分析」の2つで判断できます。その中で、まずはローソク足を見て売るタイミングを判断する方法を紹介します。FX初心者は、これから説明する「大陽線」「大陰線」「上影陽線」「上影陰線」を使って売るタイミングを判断しましょう。
大陽線
FXには、始値よりも終値が高かった場合に現れる陽線というローソク足があります。この陽線よりも実体が大きいローソク足が大陽線です。利用するFX取引所にもよりますが、一般的には赤色で表示されるでしょう。
大陽線は、買い勢力が非常に強いことを意味するローソク足です。買いシグナルとも言われており、大陽線が複数出たら特定の通貨ペアを新規購入・追加購入するトレーダーが増えます。チャートは上昇していくことが予想されるので、空売りでエントリーをしていた人は大陽線が複数出たタイミングで損切りの決済注文を出しましょう。
大陰線
始値よりも終値が低かった場合には、陰線というローソク足が現れます。この、陰線の実体が大きいのが大陰線です。利用するFX取引所にもよりますが、青色で表示されることが多いでしょう。
大陰線は、売り勢力が非常に強いことを意味するローソク足です。チャートが下落していく可能性が高いと予想されるので、まだポジションを持っていない人は大陰線が複数出たタイミングで空売りの注文を入れてみましょう。すでに買いでエントリーをしていた人は、できる限り早く売り注文を出して損切りすることをおすすめします。
上影陽線
上影陽線とは、実体が短くて上ヒゲが長いローソク足のことです。一応陽線ではあるのでまだ買い勢力の方が強いですが、徐々に売り勢力が強まっていることを意味しています。このままの流れが続けば、チャートは下落トレンドに切り替わるでしょう。
上影陽線が高値圏で出現したら、売り注文を出してエントリーしていくことをおすすめします。一方で、すでにポジションを保有している人は、トレンドが確実に転換する前に決済注文を出してポジションを手放しておくことをおすすめします。
上影陰線
上影陰線とは、実体が短くて上ヒゲが長いローソク足のことです。これだけだと上影陽線と同じですが、上影陰線は実体が陰線といった特徴があります。利用するFX取引所にもよりますが、青色で表示されることが多いでしょう。
上影陰線が出現したら、近いうちに上昇トレンドが発生する可能性があると判断してください。そのため、空売りをしていた人は上影陰線が出現したタイミングで決済注文を出しましょう。
FXのテクニカル分析で売るタイミングを判断する方法
FXでの売るタイミングは、移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル分析でも判断できます。エンベロープやRSIなどを活用するのもおすすめです。ここでは、そのようなFXの売るタイミングをテクニカル分析で判断する方法について説明します。
移動平均線
移動平均線とは、とある期間の価格から平均値を算出し、その結果を1本の線にまとめたインジケーターのことです。移動平均線を確認することで、チャートの大まかな流れを把握できます。過去の価格と比較をして、現在の価格は高いのか安いのかも判断できるでしょう。
移動平均線を使って売るタイミングを判断したい場合は、デッドクロスを活用してください。デッドクロスとは、短期移動平均線が中長期移動平均線を上から下に割り込む現象のことです。これは売りサインと言われており、デッドクロス出現後はチャートが下落する可能性が高いと予想されます。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線に過去の値動きから算出された値動き幅の目安となる複数の線を加えたインジケーターのことです。目安の線の価格帯はバンドと言います。統計学的に、チャートの価格変動は以下の確率でバンド内に収まると言われています。
・平均値±1αに収まる確率:68.26%
・平均値±2αに収まる確率:95.44%
・平均値±3αに収まる確率:99.73%
この特徴から、チャートがバンド±2σに近づいたら通貨ペアを売る準備をしておきましょう。
エンベロープ
エンベロープとは、移動平均線から上下に離れた線を引いたインジケーターのことです。チャートが下のバンドに近づいたら買い、上のバンドに近づいたら売りというように、主に逆張りで使います。これを活用して、売るタイミングを判断しましょう。
順張りで使う際は「チャートが下のバンドを抜けたタイミング」に注目してください。このタイミングが売りシグナルと言われており、チャートはさらに下落していく可能性が高いからです。すでにポジションを保有している人は、売りで追加注文を出すことでさらに大きな利益を狙えるでしょう。
一目均衡表
一目均衡表とは、一定期間の買いと売りの均衡点を算出し、現在は買い勢力と売り勢力のどちらが優勢なのかを判断したい場合に使うインジケーターのことです。一目均衡表は、5つの線と雲で構成されており、それぞれ以下のような意味があります。
・基準線:過去26日間の高値と安値の中間ポイント
・転換線:過去9日間の高値と安値の中間ポイント
・遅行線:当日の終値を26日前に遡って記載したもの
・先行スパン1:転換線と基準線の中間値を26日先に記載したもの
・先行スパン2:52日間の高値と安値の中間値を26日先に記載したもの
・雲:先行スパン1と先行スパン2の間にある空間
売るタイミングを判断したい場合は、「転換線が基準線を下回る」、「ローソク足が雲を下回る」、「遅行スパンが26日前の価格を下回る」この3つを確認してください。どれも逆転と言われる売りシグナルだからです。なお、3つの逆転が揃った場合は三役逆転と言い、強い売りシグナルとして判断します。
MACD
MACD(マックディー)とは、短期移動平均線と中長期移動平均線を使って売買のタイミングを判断する際に活用するインジケーターです。基本となる線(MACD線)とMACDの移動平均線(シグナル)を使って、相場を読みます。このインジケーターを使って売るタイミングを判断したい場合は、移動平均線のときと同じようにデッドクロスを活用しましょう。
MACD線がシグナルを上から下に割り込んだらデッドクロスが形成されたと判断します。なお、MACDのグラフ上には0という数字があるのですが、デッドクロスとともにチャートが0を下回った際は、より強い売りシグナルが出ていると判断します。
RSI
RSI(アールエスアイ)とは、通貨ペアの過熱感を見極める際に役立つインジケーターです。一定期間の相場における値動きの強弱が数字で表されています。RSIを使って売るタイミングを判断する場合は、RSIの数値である70に注目しましょう。
チャートが70付近を推移している場合は通貨ペアが買われ過ぎているというサインなので、近々下落する可能性が高いと予想されます。なお、チャートが80以上を推移している場合は反動で大きく下落する可能性があるので、早めに決済しておくことをおすすめします。
FXの売るタイミングに関する注意点
FXで売るタイミングを判断する際は、以下のことに注意しましょう。
・世の中の流れも確認する
・チャートの下落は早い
・マイナススワップが適用されることが多い
・リスクとリターンをよく確認する
・自動売買では売るタイミングをこまめに確認する
特に、チャートの下落速度には注意してください。上昇に比べて、下落する速度は速い傾向があります。判断が遅れると含み益が含み損に変わるケースもあるので、十分注意しましょう。
まとめ
今回は、FXで必要な売るタイミングについて説明しました。FXの取引は、エントリーから始まり決済で終わります。この決済のタイミングが適切ではないと、上手く利益を確定できないので注意してください。損切りが遅れて、余計な損失がかさむこともあります。これを防ぐために、今回紹介したローソク足とテクニカル分析を活用して適切な売りタイミングを把握しましょう。