スリッページとは?発生する理由や7つの対策方法、3つの注意点を解説!

スリッページとは?発生する理由や7つの対策方法、3つの注意点を解説!

FXで何度か取引をしていると、「スリッページ」に悩まされることがあります。スリッページとは、FX初心者・プロ問わず、誰でも発生する現象です。基本的によい現象ではありません。対策を怠ると思わぬ損失を抱える場合があるので、なるべく早めに対策を考えておきましょう。

そこで今回は、スリッページの概要からスリッページの対策方法まで、FX初心者でも分かりやすいように説明します。より理解を深めたい人は、スリッページが発生する原因や発生しやすいタイミング、そして4つの注意点なども覚えましょう。

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スリッページとは

スリッページとは

FXで取引をしていると、ときどき注文価格と約定(注文が確定すること)価格が異なる場合があります。例えば、ユーロ円が123円のときに注文を出したのにも関わらず、実際は123.40円で約定したようなイメージです。このときに生まれる注文価格と約定価格の「価格差」をスリッページと言います。今回であれば、40銭のスリッページが生まれたと表現します。

スリッページは頻繁に起こる現象ではありませんが、もし起こってしまうとトレーダーは不利な条件で取引をすることになります。取引スタイル・手法によっては、負けが確定するので注意しましょう。FXの勝率を安定させたい人は、しっかり対策をして取引に臨むことが大切です。

約定について詳しくはこちらをご参考ください。
>約定とは?仕組みや約定率について、スリッページとの関係について解説

スリッページを特に意識しておくべきトレーダー

スリッページを特に意識しておくべきトレーダー

スリッページは全トレーダーが意識したい現象ですが、その人の取引スタイルや戦略によって意識の重要度は大きく変わってきます。頭の片隅に入れておけば十分なトレーダーがいる一方で、強く意識しなければいけないトレーダーもいるので注意しましょう。ここでは、スリッページを特に意識しておくべきトレーダーの特徴を紹介します。

スキャルピングトレードをする方

スキャルピングトレードとは、エントリーから決済までが数秒〜数十秒で完結する短期トレード手法です。1〜10pips(FXで使う通貨の単位)の小さな利益をコツコツと積み上げていきます。スキャルピングトレードを行う人がスリッページを強く意識するべき理由は2つあります。

・売買する回数が多く、スリッページにあいやすいため
・狙う利幅が1〜10pipsと非常に小さいため

スキャルピングで狙う利幅は非常に小さいため、たった数pipsの誤差でも命取りになります。スリッページが頻繁に起こると、負ける確率がかなり高まるので注意しましょう。

一度に大量の注文を行う方

FX取引所によって注文量の上限は決められていますが、どのFX取引所でもそれなりの量を注文できます。相場の状況や取引量の多さなどにもよるため、一口にいくらとは言えませんが、一度に50〜100万通貨以上注文する人はスリッページに注意しましょう。一度に注文する通貨の量が多いと、スリッページが発生した際に負う損失も大きくなるからです。

また、注文の量とスリッページの起こりやすさは比例する傾向にあります。そのため、分割して注文を出す、小さな利益を積み重ねる戦略に変更する、などで対策しましょう。

スリッページが生じる4つの原因

スリッページが生じる4つの原因

スリッページの発生に備えて、対策をいくつか考えているトレーダーもいるでしょう。その際、いきなり対策を考えるのではなく、原因から明確にすることをおすすめします。原因が何か分かれば、正しい対策を練ることができるからです。ここでは、スリッページが生じる4つの原因を紹介します。

原因①発注から約定までのタイムラグ

FXでは、主に以下の流れで注文が通ります。

1.トレーダーが通貨の売買注文を出す
2.FX取引所がトレーダーの注文を受け入れ、問題なければ承諾する
3.約定

間にFX取引所が入るため、トレーダーの注文がFX取引所のサーバーに到達するまでの時間、約定処理されるまでの時間など、注文から約定までは若干のタイムラグが生じます。チャートは、親切に注文が約定するまで止まっているわけではありません。秒単位で常に動いています。そのため、注文から約定までのタイムラグが長いとスリッページが起こりやすくなります。

原因②トレーダー側のインターネット環境

基本的に、FXではキャリアの通信を利用して売買注文を出します。この通信環境が悪いと、注文を中々FX取引所に送ることができません。数分〜数十分後に送信できたというケースも珍しくないでしょう。これだけ長いタイムラグが生じると、高い確率でスリッページが発生します。

それも、かなりのスリッページだと予測されるので、今回の取引で利益を出すのは難しいでしょう。そのため、なるべく「有線接続」でFXをすることをおすすめします。通信環境が安定するのはもちろん、通信速度も速くなるので、生じるタイムラグは短くなります。

原因③FX会社の処理速度

昔に比べ、FXの知名度は広がり、現在は多くの人がFXに取り組んでいます。取引する人が増え、アクセスが集中すると、サーバーに負荷がかかります。これが原因でFX取引所の処理速度が落ちると、約定までにタイムラグが生じ、スリッページが起こる場合があるので注意しましょう。

おすすめの対策方法は、「アクセスが少ない時間帯に取引をする」または「サーバーが強いFX取引所を使う」の2つです。アクセスが少ない時間を狙うのであれば、9:00〜17:00までの「東京市場」がおすすめです。

原因④インターバンク市場の板が薄いため

FX取引も株式取引と同様に、「注文板」が存在します。売買が活発であれば注文板には数多くの注文が流れますが、閑散相場になると注文の数が少なくなります。つまり、インターバンク市場の板が薄くなるということです。

この場合、100件の買い注文に対して20件の売り注文しかないという状態になってしまうため、スムーズに買い注文の処理が行われません。その結果、注文から約定までにタイムラグが生じ、スリッページが発生します。

スリッページが生じやすいタイミング

スリッページが生じやすいタイミング

スリッページの原因がある程度定まっているように、スリッページが生じやすいタイミングもある程度決まっています。そのため、このタイミングを理解し、取引に取り組めば、スリッページにあう確率は低くなるでしょう。それでは、覚えておきたいスリッページが生じやすい3つのタイミングを紹介します。

経済発表などの重要なイベントの前後

経済指標とは、経済の状況を表す要因を数値化したものです。物価や金利、そして景気などが挙げられます。経済指標は各国の公的機関が発表するため、非常に信頼性のある情報として注目されています。

この経済指標が発表される時間帯はスリッページが発生しやすくなるので注意しましょう。なぜなら、相場の動きが通常よりも激しくなるからです。発表される情報の重要度にもよりますが、経済指標が発表される前後1時間は注意してください。経済指標の他にも、以下のような大型のイベントでは、スリッページが発生しやすくなります。

・各国の要人が行う発表、または発言
・戦争や災害
・大企業のM&Aや有名CEOの発表
・通貨当局による、政策金利の変更や為替介入などの発表

大災害・大事件などが発生した時

大きな地震やテロ・紛争などは、国の情勢に大きな影響を与えます。これらが起こると投資家の不安は高まり、売買が活発になるので、相場の動きは安定しなくなります。その結果、スリッページが起こりやすくなるので注意しましょう。実際、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻の際も、スリッページは起こりやすくなりました。

大災害・大事件が発生すると、不安定な相場は比較的長く続きます。ウクライナ侵攻の際は、半年ほど、不安定な相場が続きました。一般的に大災害・大事件が起こると、安全資産(米ドルや日本円など)が買われる傾向にあります。スリッページの被害を少なくしたい場合は、状況が落ち着くまで安全資産で取引をするようにしましょう。

日本時間の早朝

FXでいう日本時間の早朝とは、5:00〜8:00までのことです。この時間帯は、すべての時間帯の中で最も取引量が少ないと言われています。取引に参加しているトレーダーが少ないからです。活発に取引が行われていないと、売買が成立しにくくなるため、スリッページが起こりやすくなります。そのため、安定した環境で取引をしたい人は、東京市場(9:00〜)がオープンするまで待ちましょう。

また、早朝はスプレッド(買い注文と売り注文の間に生まれる価格差)も高くなります。スキャルピングとは非常に相性が悪い時間帯なので、十分注意してください。

スリッページにおける7つの対策方法

スリッページにおける7つの対策方法

原因やスリッページが起こりやすいタイミングについて理解した後は、それらの「対策方法」を学びましょう。おすすめの対策方法は、許容スリッページの設定をしたりカバー先が多いFX取引所を選んだりすることです。相場の状況を見極めて取引するのも大切と言えます。それでは、おすすめの対策方法を7つ紹介します。

対策①許容スリッページを事前に設定する

許容スリッページとは、どこまでのスリッページであれば、注文をそのまま通すかの設定のことです。例えば、許容スリッページを1pipsに設定し、ドル円を100円のときに注文したとします。しかし、スリッページが発生し、ドル円の価格は100.02円になってしまいました。この場合、許容スリッページの1pipsを超えているため、注文は自動でキャンセルされます。

スリッページによる大きな損失を防ぎたい人は、必ず許容スリッページを設定しましょう。しかし、許容スリッページの数値を低くするほど約定率は低くなるので、注意してください。

対策②カバー先が多いFX取引所を選ぶ

スリッページは、FX取引所の「処理速度」が遅い場合にも起こります。この問題におすすめの対策方法は、「カバー先の多いFX取引所を選ぶ」ことです。カバー先とは、FX取引所が仲介している金融機関のことです。カバー先が多ければ、スムーズにトレーダーの注文を処理できるため、素早く約定させられます。

タイムラグがほぼ生まれないので、スリッページも比較的起こりにくいと言えるでしょう。さまざまな要因が絡むため、一口にいくつが最適とは言えませんが、カバー先の数は、「10社以上」を目安にしましょう。

対策③相場が荒れている場合は取引しない

そもそもスリッページは、チャートの価格変動によって生まれます。そのため、相場が荒れているときはスリッページが発生しやすいので、取引は避けた方がよいでしょう。相場の状況によっては、たった1秒で10pipsほど動く場合があります。

FXの相場は、常に荒れているわけではありません。落ち着いているときもあるので、安定感のある取引をしたい人は、相場の値動きが落ち着いているときに取引をしましょう。とくに東京市場は、相場が落ち着いていることが多いのでおすすめです。チャートの動きが緩やかで読みやすいので、勝率も上げやすいでしょう。

対策④閑散相場のときは取引しない

とくに、日本時間の早朝(5:00〜8:00)は東京市場・ロンドン市場・ニューヨーク市場、すべてが閉まっているため取引量が極端に少なくなります。値動きが少ない上にスリッページが発生しやすく、スプレッドも高いため、基本的に早朝はトレードしないことをおすすめします。

対策⑤大きすぎる注文は出さない

基本的にスリッページを完全に避けることはできません。どれほど対策してもスリッページにあうことはあります。そのため、スリッページの被害を小さくする対策もしておきましょう。そこでおすすめなのが、「注文の数を小さくする」ことです。これだけで、注文の数によってはスリッページによる損失を100分の1にできます。

大きい通貨ペアを持ちたい場合は、注文を分割しましょう。例えば、10ロット(通貨の数)保有する場合は、2ロットの注文を5回行うイメージです。このように分割をすれば、仮にスリッページが発生しても小さい損失に抑えられます。

対策⑥スリッページが発生しない注文方法を使う

スリッページが発生するのは、「成行注文」を使ったときです。指値注文や逆指値注文などの「予約注文」では、基本的にスリッページが発生しません。しかし、予約注文は予約を入れた価格にチャートが達さなければ約定しません。スリッページを意識しすぎるがあまり、トレードの機会そのものを逃したという状況になりかねないので、予約注文を入れるときは十分注意しましょう。

対策⑦スリッページを考慮して取引を行う

考え方としては、「スリッページを取引コストと捉える」というイメージです。初めからスリッページは発生するものと考えて冷静に取引した方が、結果的によいトレードができる場合もあります。

スリッページで注意しておきたい4つのポイント

スリッページで注意しておきたい4つのポイント

FXには、さまざまな単語や要素があります。そのため、他のこととスリッページを間違えて覚えている人もいます。この状態で取引を行うと、思わぬ損失を抱える場合があるので注意しましょう。スリッページで注意しておきたいポイントは4つあります。どれも簡単なことなので、ここで理解しておきましょう。

約定率とスリッページ発生率は異なる

約定率とスリッページ発生率は異なるので注意しましょう。約定率とは、注文が拒否されない確率や一定時間内に約定される確率のことです。約定率が高いからと言って、スリッページが起こらないわけではありません。スリッページの起こりにくさを知りたい場合は、約定率ではなく「スリッページ率」を確認するようにしましょう。

約定力について詳しくはこちらをご参考ください。
>FXの約定力とは?約定との違いや注意点、トレーダーができる対処法などを解説

短期トレードほど影響が大きくなる

スリッページは、短期トレードほど影響が大きくなるため注意しましょう。スイングトレードや中長期トレードを行う人は、基本的にそれほど考慮しなくても問題ありません。しかし、スキャルピングのように高速な取引を行う短期トレーダーは、スリッページによって利益が圧迫される恐れがあるため、十分注意が必要です。

スリッページ許容幅を狭くし過ぎない

スリッページ許容幅は狭くし過ぎないように注意しましょう。スリッページを嫌い、許容幅を狭くし過ぎると、約定しづらくなります。そもそも取引ができないという状況になりかねないので、許容幅は1pips以上で設定しておくことをおすすめします。

許容スリッページの目安

許容スリッページの目安は以下の通りです。

・スキャルピングで取引をする場合:0〜0.3pips
・値動きが激しい通貨ペアで取引をする場合:5〜10pips
・約定率の高さを優先したい場合:3pips

短期トレードは、スリッページの影響を大きく受けるため、許容スリッページの数値はなるべく小さく設定しましょう。トルコリラやポンドなどの、値動きが激しい通貨ペアを使う場合は、少し数値を上げてください。低い数値に設定をすると、全く約定しなくなるからです。最後に、約定率の高さを優先させたい場合は、3pips程度を目安に設定しましょう。

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まとめ

今回は、FXで取引をしていると、いつか遭遇してしまう「スリッページ」について説明しました。スリッページとは、注文価格と約定価格の間に生まれる価格差のことです。100円で注文したのにも関わらず、99.70円で約定した場合は、30銭のスリッページが生じたことになります。

スリッページが起こると、不利な条件で取引することが多く、あまり好ましい現象とは言えません。今回紹介した対策方法を実践し、スリッページによる損失を可能な限り小さくしましょう。FX初心者は、まず許容スリッページを設定することをおすすめします。