エリオット波動は、相場のトレンドを把握するために使うテクニカル指標です。今回は、エリオット波動の概要やメリット、そして上手く使うコツや注意点などについて解説していきます。実践で活かせるエリオット波動の使い方についても解説しているので、海外FX初心者から抜け出したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
エリオット波動とは
ここでは、エリオット波動について解説していきます。
エリオット波動とは
エリオット波動とは、「相場は5つの上昇波と3つの下降波で1つの周期を形成している」という考え方です。上昇波とは、5回上昇するというわけではなく、「上→下→上→下→上」と3回上昇して2回下降することを5つの上昇波と呼んでいます。
同じように、3つの下降波とは、「下→上→下」ということです。推進5波や修正3波と呼ばれることもありますが、意味は同じです。
上昇5波の特徴
・上昇第1波
下降から上昇に変わろうとする初めの動きです。この段階でトレンドを見極めるのは難しく、伸びが小さいという特徴があります。第1波が長く伸びた場合、上昇トレンドが発生しない可能性が高まるので注意しましょう。
・上昇第2波
上昇第1波の後に発生する修正の下降です。下降幅は、上昇1波に対してフィボナッチ・リトレースメント(以下、FRと言います)の38.2%、または61.8%を目安にしましょう。
・昇第3波
最も伸びる可能性がある波です。上昇幅は1波に対してFRの161%、または261%を目安にしましょう。
・上昇第4波
上昇第3波の後に発生する調整下降です。ここでは、押し目買いや損切り注文が入りやすく、複雑な動きをする場合があります。下降幅は、3波に対してFRの38.2%、または61.8%を目安にしましょう。
・上昇第5波
上昇幅やそのスピードが緩やかな波です。しかし、3波が思ったよりも伸びなかった場合、ここで大きく伸びる可能性があります。
下降3波の特徴
・下降第1波
上昇第5波を迎えて利益確定した投資家たちによる下降です。下げ幅は、上昇第4波の底を目安にしましょう。
・下降第2波
下降第1波の下げを狙って買いエントリーした投資家たちによって作られる一時的な上昇です。セオリー通りにいけば再度下降していくのですが、上昇5波の高値を超えるほど上昇すれば、新たなトレンドが発生する場合があります。
・下降第3波
下降第1波の安値を抜けると、基本的には下落が加速します。下落幅は、下降第1波に対してFRの161.8%を目安にしましょう。
エリオット波動の原則
エリオットは波動には、3つの原則があります。
・上昇5波の中で、3波が最も短くなることはない
・上昇第2波の下降は、上昇第1波よりも小さくなる
・上昇第4波の安値は、上昇第1波の高値を下回らない
これらの原則に当てはまらない場合は、エリオット波動が機能しない可能性が高いので注意しましょう。
エリオット波動のメリット
エリオット波動のメリットについて解説します。
相場の局面を見極められる
例えば、「上昇第2波を見つけたため、次の上昇第3波を待とう」というように、相場の局面を見極められるようになります。エリオット波動を知らなければ、このような判断ができません。エリオット波動を理解しておけば、他のトレーダーよりも有利にエントリーできるかもしれません。
利益確定や損切りの目安になる
例えば、「上昇第3波が最も伸びるなら、その波の最後に利益確定しよう」という戦略を立てられ、利益確定や損切りの目安にすることができます。
また、「上昇第2波は第1波よりも小さくなるため、もしも大きくなったら損切りしよう」という戦略も非常に良いでしょう。このように、エリオット波動を使えば、具体的な考えのもと、利益確定・損切りができるようになります。
時間軸を問わずに使える
数秒取引のスキャルピングから、数週間ポジションを保有するスイングトレードまで時間軸を問わずに使えます。そのため、全ての取引をエリオット波動中心に行っている投資家も存在するようです。
エリオット波動のチャートパターン
エリオット波動のチャートパターンを解説します。
6つの小波動
エリオット波動の8つの波を細分化すると、「6つの小波動」が存在します。
・I波動
単純に上昇・下降した場合の波動パターンです。いずれ、次のV波動に変わります。
・V波動
I波動の流れとは逆に動く波動パターンです。
・Y波動
上下にジグザグと動き、その幅が徐々に広くなる波動パターンです。
・P波動
Y波動と同じようにジグザクと上下動しますが、その幅が徐々に狭くなる波動パターンです。
・N波動
I波動とV波動が組み合わされた波動パターンです。
・S波動
急激な上昇・下降が発生したときに現れる波動パターンです。
どのように活かすのかは後ほど説明します。ここでは「8つの波動の中に6つの小波動がある」ということだけ理解しておきましょう。
トレンド転換型
第3波や第5波では、トレンド転換型と呼ばれるチャートが現れやすくなります。ここでは、代表的なチャートパターンを5つ紹介していきます。
・ダブルトップ
Mのような形をしているチャートパターンです。Mの天井部分が上昇第3波・第5波の天井部分に該当します。
・ヘッドアンドショルダー
3つの山ができるチャートパターンです。真ん中の山が最も高くなり、この部分は上昇第5波の天井部分に該当します。
・ライン
レジスタンスラインに抑えられているチャートパターンです。上昇する力が弱いため、近いうちに下降していくサインとされています。
・ソーサー
ラインと似たようなチャートパターンなのですが、ソーサーは天井部分が曲線になっています。こちらも、相場の天井を意味しています。
・スパイク
急上昇・急下降した際に現れるチャートパターンです。上昇第3波・第5波の前に現れやすい傾向があります。
トレンド回帰型
第2波や第4波では、トレンド回帰型と呼ばれるチャートが現れやすくなります。ここでは、代表的なチャートパターンを5つ紹介していきます。
・トライアングル
上昇・下降幅が徐々に狭くなっていくチャートパターンです。高値と安値を結ぶと「>」という形になっていくのが特徴です。
・ブロードニングフォーメーション
上昇・下降幅が徐々に広くなっていくチャートパターンです。高値と安値を結ぶと「<」という形になっています。
・ペナント
急激な上昇・下降が発生した後に、ジグザグと上下動を繰り返すチャートパターンです。
・フラッグ
高値と安値をともに切り下げていくチャートパターンです。緩やかな上昇・下降が発生した後によく現れます。
・ウェッジ
トライアングルの「>」という形が、非常に鋭くなっているチャートパターンです。このパターンが現れた後は、急激な反発が発生する可能性があります。
エリオット波動の使い方
ここでは、エリオット波動の使い方を説明していきます。
8つの波から見極める
まずは、現在の相場が5つの上昇波と3つの下降波のどの部分に当てはまっているのか確認しましょう。どれかに当てはまっていれば、エリオット波動が機能する可能性が高いので、次の準備を進めていきます。
6つの小波動から見極める
次は、現在の相場が6つの小波動のどこに当てはまっているのか確認しましょう。いきなり見極めるのは難しいかと思いますので、今回紹介した特徴と照らし合わせながらチェックしてみてください。
チャートパターンを見極める
最後に、小波動はトレンド転換型なのかトレンド回帰型なのか確認しましょう。ここまで、見極められましたら、次の波の準備をし、実際にエントリーしていきます。
エリオット波動を上手く使うコツ
エリオット波動を上手く使うコツを解説します。
テクニカル分析と組み合わせる
エリオット波動は、数ある相場分析方法の中の1つなので、これだけで勝っていくのは非常に難しいと言えます。そのため、移動平均線やボリンジャーバンドなど、他のテクニカル分析と組み合わせて取引の精度を高めていきましょう。
フィボナッチを組み合わせて使う
フィボナッチと組み合わせて使います。特に、フィボナッチ・リトレースメントと組み合わせることをおすすめします。これを使うことで、下落の予測を立てられるようになるため、明確なエントリー・決済ポイントが分かるようになります。
1~2波目は狙わない
1~2波目は、エリオット波動が機能するのか否かがまだ分からない状態です。このときにエントリーするのは、ギャンブル性が高くなってしまいます。
また、チャートが良く伸びるのは上昇第3波のみです。そのため、1~2波には飛び乗らず、その後の第3波に乗れるように準備しておきましょう。
エリオット波動の注意点
エリオット波動の注意点について解説します。
自分の思惑通りに動くわけではない
エリオット波動は、あくまでも相場を予測する方法の1つなので、その動きを保証するものではありません。そのため、「予想とは逆に動く場合もある」ということを常に考えながら、リスク管理していきましょう。
具体的なエントリー・決済ポイントの目安にはならない
エリオット波動は、相場の大きな流れを把握する場合に役立ちます。そのため、具体的なエントリー・決済ポイントを把握したい場合は、移動平均線のような他のテクニカル分析を使いましょう。
エリオット波動を使って次の流れを予想していこう
今回は、エリオット波動について解説してきました。エリオット波動は、相場の転換点を予測する場合に使える分析方法です。I波動の次はV波動が生まれやすいというような、ある程度の型があるため、比較的簡単に次の値動きを予想できます。しかし、相場はランダム性があるため、必ずエリオット波動通りに動くとは限りません。
エリオット波動を過信した結果、大きな損失を負ったというトレーダーも実際に存在します。そのため、「エリオット波動通りの流れが来たから、全資産を投入しよう」というようなハイリスクな取引は行わないようにしましょう。