FXには、ロスカットという機能が存在します。この機能があると借金をしないと言われていますが、果たして本当なのでしょうか。今回は、この疑問を解消するためにロスカットがあればFXで借金を抱えることはないのかについて説明します。ロスカットのメリット・デメリットもまとめたので、参考にしてください。
FXの「ロスカット」
FXをしていると、必ずロスカットという言葉を耳にします。FX初心者からプロトレーダーまで使う手法なので、必ず覚えるようにしましょう。ここでは、まずロスカットの概要について説明します。その後に、メリット・デメリットをいくつか紹介するので参考にしてください。取引に活かせそうなことは、ぜひ活かしてください。
ロスカットとは
ロスカットとは、トレーダーの資産を守るためにある機能です。FX会社が定めている割合まで損失を負うとロスカットが自動で執行されます。例えば、FX会社Aのロスカット率が30%だとしましょう。投資資産は10万円です。この場合、投資資産が30%になったとき、つまり7万円の損失を負ったときに自動でロスカットが執行されます。
ロスカットについて詳しくはこちらをご参考ください。
>ロスカットとは?仕組みや計算方法、回避方法について
ロスカットのメリット
ロスカットのメリットは以下の通りです。
・全ての資産を失わずに済む
・画面に張り付く必要がない
・安心してトレードできる
最大のメリットは「全ての資産を失わずに済む」ことです。一定の割合まで資産が減った場合、FX会社が取引を止めてくれるので、大切な資産を守れます。なお、資産を守ることができれば、投資できるチャンスが生まれます。結果的に利益を得られる可能性が高まるので、ロスカットは良い機能と言えるでしょう。
ロスカットのデメリット
ロスカットのデメリットは以下の通りです。
・勝手に取引を止められる
・ロスカット率が高い取引所だと、すぐロスカットされる
・急激な相場変化には対応できない場合がある
最大のデメリットは、「ロスカット率が高い取引所だとすぐロスカットされる」ことです。ロスカット率の相場は、だいたい20〜30%です。30%以上は少し高く、強制的に取引を止められやすいので注意しましょう。
海外FXにしかない「ゼロカットシステム」
FXは、大きく国内FXと海外FXの2つに分けられます。このうち、ゼロカットシステムは海外FXにしかありません。ゼロカットシステムは非常に魅力的な機能で、これを求めて海外FXで口座を開設する人もいるほどです。ここでは、ゼロカットシステムの概要やメリット・デメリットについて説明します。
ゼロカットシステムとは
海外FXにのみあるゼロカットシステムとは、投資資金以上の損失を負った際に超過分はFX取引所が負担してくれる機能のことです。例えば、投資資金が5万円あるとしましょう。しかし、うまくいかず8万円の損失を負いました。通常であれば、不足分の3万円をトレーダーが支払わなければいけないのですが、ゼロカットシステムがあると支払いが免除されます。つまり、トレーダーが負担するのは投資資金分の5万円のみです。
ゼロカットシステムについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのゼロカットシステムとは?導入理由やロスカットとの違いについて
ゼロカットシステムのメリット
ゼロカットシステムのメリットは、以下の通りです。
・トレードの失敗で借金を負うことがない
・海外FXのハイレバレッジを最大限活かせる
・アグレッシブな取引が可能になり、大きな利益を得やすい
・国内FXよりも資金管理が簡単
ゼロカットシステムの最大のメリットは、「トレードで失敗しても借金を負わない」ことです。損失は、最大でも投資資金までに留まるので安心して取引ができます。これにより、失敗を恐れず取引できるので、素早い成長が見込めます。初めはたくさん失敗するかもしれませんが、その分学びもたくさんあるので、失敗を恐れず取引してみましょう。
ゼロカットシステムのデメリット
ゼロカットシステムのデメリットは、以下の通りです。
・急激な値動きでは機能しない場合がある
・ゼロカットシステムが絡んだ禁止行為が存在する
ゼロカットシステム最大のデメリットは、「急激な値動きでは機能しない場合がある」ことです。ゼロカットシステムに頼りすぎないよう、普段から資金管理やリスク管理を心がけましょう。
ロスカットとゼロカットシステムの違い
ロスカットとゼロカットシステムの違いは、発動するタイミングです。ロスカットは、一定割合以上の損失を負わないようにする機能なので、まだ投資資金があるときに発動します。一方でゼロカットシステムは、追証の発生を防ぐ機能なので損失が確定した後に発動します。なお、どちらも大切な資金を守るためにあるという点は共通しています。
ロスカットやゼロカットシステムがあれば借金はしないは嘘?
「ロスカットやゼロカットシステムがあれば借金をしない」という情報は嘘です。確かに、ロスカットもゼロカットシステムも必要以上の損失を防いでくれるため、正しく機能すれば借金を負うことはありません。しかし、相場が急激に動いたりシステムエラーが発生したりすると、ロスカットやゼロカットシステムが発動しないことがあります。
ロスカットやゼロカットシステムが発動しなければ、国内FXと同様に多くの損失が発生します。FX取引所によっては、不足分の支払いを要求されるので注意してください。以上の理由から、ロスカットやゼロカットシステムに頼るのは危険です。自分でも資金管理やリスク管理はしっかり行うようにしましょう。
ゼロカットシステムが発動しない禁止行為
相場が静かに動いていたりシステムエラーが発生していなかったりしても、禁止行為を行うとゼロカットシステムが発動しない可能性があります。注意・警告なくゼロカットシステムが発動しないケースもあるので、十分注意しましょう。ここでは、そのようなゼロカットシステムが発動しない禁止行為について説明します。
裁定取引(アービートラージ)
裁定取引とは、同じ価値を持つ銘柄間で発生する一時的な金利差や価格差などを利用して利益を得る取引手法です。例えば、FX取引所Aでドル円を105円で購入したとしましょう。次にFX取引所Bでドル円を105.10円で購入します。この場合、理論上は確実に10銭分の利益を得ることができます。1万通貨で取引をしていれば、短時間で1万円の利益を得られるといった仕組みです。
このようなシステムの抜け穴をついた取引は、ほとんどのFX取引所で禁止されています。獲得した利益は没収される可能性が高いので、注意しましょう。
遅延を狙った取引
取引に必要なサーバーを置いている国はFX取引所によって異なります。これが原因で、時々レートの配信に遅れが生じるケースも珍しくありません。これを狙うと低いリスクで利益を得られるのですが、当然FX取引所が想定している取引ではないので禁止されています。仮にこれで利益を得てもペナルティを与えられる可能性が高いので、絶対に行わないようにしましょう。
他に似たような手法として、サーバーダウンを狙った取引方法があります。こちらも禁止行為に指定されているので、行わないようにしてください。
ボーナスの不正取得による取引
FX取引所は、口座開設ボーナスや入金ボーナスなど、さまざまなボーナスを付与してくれます。FX取引所によっては、ポイントも付与してくれるでしょう。非常にお得な制度なので、積極的に活用してください。
しかし、活用するなら条件や注意点などをしっかり確認しましょう。基本的にボーナスを受け取れるのは、1口座につき1回までです。複数口座を使ってボーナスを不正取得すると規約違反とみなされて、何かしらの処分を下される可能性があります。あまりにも悪質と判断されると、口座凍結・アカウント停止の処分が下されるので、注意してください。
AIを使用した取引
現在は、プログラムを使った取引手法も人気です。特に、EAという自動売買プログラムが人気です。しかし、FX取引所によってはこのようなAIを使った取引を禁止しているので注意してください。理由は、サーバーやシステムに大きな負荷をかけるからです。AIを活用したいのであれば、FX取引所が正式に提供している自動売買プログラムを活用しましょう。
正式な自動売買プログラムは、基本的に無料で使えます。使えない可能性が高いのは、外部の会社・人が売っている非正規の自動売買プログラムです。なお、非正規の自動売買プログラムにはウイルスが入り込んでいる可能性もあるので注意してください。
複数口座での両建て
両建てとは、同じ通貨ペアで買いと売りの両方のポジションを保有する取引手法のことです。リスク管理のためや一時凌ぎをしたい場合などに活用されます。基本的に両建て自体は禁止されていないので、必要であれば戦略の一部として活用してください。
ただし、両建ては必ず1つの口座内で行ってください。別口座で行うと禁止行為とみなされて、2つの口座が凍結する恐れがあります。なお、同FX取引所内の別口座でも禁止されていることがほとんどです。最近は1つのFX取引所で複数タイプの口座を作れるようになっているので、複数持っている人はポジションの保有に注意しましょう。
FXで借金をしないようにする9つの方法
基本的にロスカットやゼロカットシステムがあれば、FXで借金を負うことはありません。しかし、絶対ではないので注意しましょう。より借金リスクを低くしたい人は、これから紹介する9つの方法を実践してみてください。誰でもできてお金はかからないので、取り入れられるものから取り入れてみましょう。
勘でトレードしない
勘でトレードする人は、根拠のないトレードをしていることになります。当然ではありますが、適当にトレードしていれば負ける確率が高くなります。初めは順調に勝てていても、その状態が今後も続くとは考えにくいでしょう。実際、勘でトレードしている人の過半数以上が遅かれ早かれ負けています。
意味もなくレバレッジを高くしない
レバレッジは便利な機能です。レバレッジを上手く使えば、少ない資産で大きな利益を狙えます。しかし、レバレッジは資産と利益のみならず、損失にもかかるというのを忘れてはいけません。レバレッジを1,000倍かけたら、損失も1,000倍になります。意味のないハイレバレッジは自身の破産リスクを高めるだけです。しっかり計画的にレバレッジを使いましょう。
投資資産に余裕を持たせる
海外FXで借金を作る人の多くは、ギリギリの資産状況で投資をしています。それで上手くいけばよいのですが、上手くいかないこともあるのがFXです。上手くいかなかったときのことも考えて投資をしなければいけません。そのひとつの対策方法が投資資産に余裕を持たせることです。ギリギリの状態で投資するのは、ハイリスク・ハイリターンなので注意してください。
取引ロットの大きさを調整する
FX取引を行う際は、取引するポジションの量(ロット)を決める必要があります。その量を、少なめに設定しましょう。理想は、投資資金の20分の1です。投資資金が10万円あるのであれば、その20分の1、つまり2万通貨で取引するというイメージです。借金を作る人は、このロット数が非常に高い傾向にあります。ロット数を高めればリスクも高くなるので、注意しましょう。
損切りの予約注文を入れておく
ロスカットを損切りのラインとして使っている人もいますが、それはおすすめしません。なぜなら、システムエラーや相場の急変動などで機能しないケースもあるからです。損切りの予約注文を入れておけば、二重でセーフティーネットを張れていることになります。お金はかからないので、エントリーする前に損切りの予約注文を入れておきましょう。
素早く損切りする
基本的にFXで勝っていくためには、「損小利大」のトレードを目指す必要があります。数千万円〜数億円稼いでいる人は、損小利大のトレードを徹底しています。しかし、借金を作る人は「損大利小」のトレードになっていることがほとんどです。
この場合、取引する回数を増やすたびに損失が増えてしまいます。チャートが戦略通り動かなかったらすぐ損切りして、次のトレードに備えるようにしましょう。
相場の急変にも耐えられるシナリオを描く
FXの相場は緩やかに動いているだけではありません。経済指標や要人発言など、さまざまな要因が重なって急変することがあります。この急変は稀な出来事ではありますが、突然起こる可能性があるのでしっかり対策しておく必要があります。急変を無視したシナリオを描くと、一発退場もあり得るので注意しましょう。
ポジションの持ち越しはできる限り避ける
休日のポジションの持ち越しは、よほどの理由がない限り辞めましょう。なぜなら、土日は操作ができず、相場の急変に対応できないからです。損失が膨らむのを見ることしかできません。
「おはぎゃー(朝起きたら多額の損失を負っていること)」という言葉が浸透するほど、ポジションの持ち越しで失敗している人がいます。慣れないうちはその日のポジションはその日に決済するようにしましょう。
一発逆転を狙わない
海外FXは良くも悪くも一発逆転を狙える投資です。それに賭けて多額の資金を投じる人がいます。しかし、得ようとしているリターンと負う可能性があるリスクは大抵比例するので注意しましょう。
海外FXで1,000万円の利益を得ようとしているなら、1,000万円の損失を負う可能性もあります。特に短期になればなるほど、そのリスクはさらに高まります。一発逆転ではなく、コツコツと地道に利益を積み上げていきましょう。
海外FX初心者はひとつ取引ルールを決めよう
海外FX初心者は、まずは「1つだけ」でよいので取引ルールを決めるようにしましょう。「相場が荒れているときは取引しない」「根拠が薄いときは取引しない」このような簡単なルールからで構いません。取引ルールを作ると無駄なトレードを減らせるので、グッと勝率が高まります。
まとめ
今回は、ロスカットがあると借金はしないのかについて説明しました。基本的にロスカットやゼロカットシステムがあれば、FX取引で借金を負うことはありません。しかし、これらの機能は突発的な値動きやシステムエラーなどで機能しないことがあります。機能しなければ、借金を負う可能性があるので十分注意しましょう。
不安な人は、今回紹介した借金をしないようにする9つの方法を参考にしてください。勘でトレードしない、意味もなくレバレッジを高くしないなど、やるべきことは簡単です。1つずつゆっくりと自分の取引に取り入れてみてください。