FXは、日中のみならず、早朝や深夜でもできる投資です。時間の制限が少ないので、日中忙しい会社員や主婦などでもチャレンジすることができます。しかし、24時間365日FXができるわけではないので、注意しましょう。もちろん、取引が一切できない時間帯も存在します。
取引ができない時間を理解せずにFXを始めると、大きく失敗する恐れがあります。今回は、そのリスクを避けるために「FXで取引ができる時間とできない時間」について説明します。成長意欲がある人に向けて、取引ができない時間にやりたいこともまとめました。
FXで取引可能な時間
FXで取引ができる時間は、「月曜日の7時ごろから土曜日の6時ごろまで」です。取引できなくなる時間はどのFX取引所も基本的に同じですが、取引できるようになる時間はFX取引所によって異なるので注意しましょう。
例えば、取引できるようになる時間が取引所Aは3時からなのに対して、取引所Bは8時からという場合があります。具体的な時間に関しては、利用するFX取引所の公式サイトを確認してください。
FXで取引ができない日にち・時間
土日や取引所のメンテナンス時間は、取引ができません。エントリーはもちろん、ポジションの入れ替えや決済などもできないので、注意しましょう。また、FX取引所によっては、年末年始やクリスマスなども取引ができなくなります。ここでは、そのようなFXで取引ができない日にち・時間について説明します。
土日
具体的には、土曜日の6時ごろから月曜日の7時前まで取引ができません。この時間帯は、東京市場からニューヨーク市場までの全ての市場が閉まっています。チャートは、全く動きません。エントリーの注文や決済の注文を出しても、全て弾かれます。
FX取引所が表示しているチャートは止まりますが、インターネットに掲載されているチャートは動いています。土日の値動きを把握したい場合は、「通貨ペア名+相場」で検索してみてください。
取引所のメンテナンス時間
FX取引所は、新たな機能を追加する場合や既存機能の調整を行う場合に、メンテナンス時間として一定時間全ての機能を止めます。メンテナンス時間は、事前に告知されるため、FX取引所から送られてくるメールやニュースなどを定期的にチェックしておきましょう。
年末年始
年末年始は、世界共通のイベントなので、全ての市場が休みとなります。どのFX取引所も、大体12月31日~1月2日まで取引を止める傾向があります。具体的な日にち・日数に関しては、FX取引所の公式サイトをチェックしてください。
年末年始休暇に入る前の12月29日~30日はポジションを手放す人が多くなります。いつも以上に相場が荒れる傾向があるので注意しましょう。ポジションを持ち越す予定がないのであれば、相場が比較的落ち着いている12月28日までに決済注文を出しておくことをおすすめします。
クリスマス
クリスマスは、ロンドン市場とニューヨーク市場が休みとなります。開いているのは、東京市場のみです。つまり、クリスマスの日に取引ができるのは7時~15時までです。15時以降はチャートが止まって注文が全て通らなくなるので注意しましょう。
クリスマスは、東京市場にトレーダーが集中するので通常よりも相場が荒れます。大きな利益を得られるチャンスではありますが、大きな損失を負うリスクも高まるのでクリスマスに取引をする人は十分注意してください。
夏時間(サマータイム)と冬時間(米国標準時間)
米国のサマータイム制度によって、夏と冬では取引が可能な時間が異なります。まずは、夏時間と冬時間の時期を確認しましょう。
期時 | |
---|---|
夏時間 | 3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで |
冬時間 | 11月の第1日曜日から3月の第2日曜日まで |
取引が可能な時間は、以下のように変わります。
月曜日 | 火曜日〜金曜日 | |
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夏時間 | 7時ごろから翌日5時50分ごろ | 6時ごろから翌日5時50分ごろ |
冬時間 | 7時ごろから翌日6時50分ごろ | 7時10分ごろから翌日6時50分ごろ |
実際に取引ができる時間はFX取引所によって異なるので、詳細は公式サイトを確認してください。
FXの取引が活発な時間帯
FXは、ほぼ24時間取引ができます。その中で、何度か相場が活発に動く時間帯があります。この時間帯を狙って取引をすれば、短時間で効率よくまとまった利益を得ることができるでしょう。多くのトレーダーが参戦するので、インジケーターも比較的素直に動くといった特徴があります。ここでは、3つの取引が活発な時間帯について説明します。
8時~10時ごろ
8時からは、市場規模が大きい「東京市場」がオープンします。たくさんのトレーダーが参戦してくるので、8時からは相場に動きが出てくるでしょう。特に、仲値(金融機関が外国為替を取引する際に使う基準レート)が発表された後の9時55分〜10時は、値動きが非常に活発になる傾向があります。輸出入を行う業者が一斉に取引を始めるからです。
ドル円を扱うトレーダーは、5と10がつく日の「ゴトウ日」にも注目しましょう。輸出入を行う企業が大量にドルを買い求めるので、ゴトウ日はドル高・円安になる傾向があります。
15時~19時ごろ
16時からは、世界1位の取引量を誇る「ロンドン市場」がオープンします。一部のトレーダーは、アーリーロンドンと呼ばれる15時から相場に参戦しています。ロンドン市場の特徴は、欧州系通貨ペアの値動きが活発になることです。ユーロや英ポンドなどを扱うトレーダーは積極的に取引を行いましょう。
また、トレンドが形成され始めるのもロンドン市場の特徴です。相場を分析して、トレンドの方向を早く掴むことができれば、大きな利益を得られるでしょう。ただし、リスクも高まってくる時間帯です。リスク管理や資金管理も忘れずに行ってください。
21時~2時(26時)ごろ
21時からは、「ニューヨーク市場」がオープンします。ロンドン市場で形成されたトレンドがさらに強くなる時間帯と言われているので、トレンドに乗れた人はポジションを保有し続けて利益を伸ばしましょう。
また、21時以降は為替に大きな影響を与える重要な経済指標が発表される時間帯でもあります。相場が不規則に動くケースが多いので、リスク管理・資金管理はより徹底しましょう。翌日2時になるとロンドン市場がクローズするので、そこからは少しずつ相場が落ち着いてきます。2時をすぎたらポジションを手放すタイミングを探すようにしましょう。
FXの取引が少なく値動きが小さい時間帯
相場が活発に動く時間帯があれば、あまり相場が動かない時間帯もあります。理由は、為替市場への参加者が減り、取引が少なくなるからです。この時間帯にいつも通りの取引をしても、上手く利益を得られない可能性があります。特別な理由がなければ、これから紹介する2つの時間帯では取引をしない方がよいでしょう。
6時~7時ごろ(日本時間)
6時〜7時はオセアニア市場が開いているのですが、大きな市場ではないので相場が活発に動くことは基本的にありません。また、6時〜7時ごろは、流動性が低いので、投機を目的としたトレーダーが参入してくることがあります。
相場が突発的に急騰・急落することもあり、非常に危険なので、上級者トレーダー以外は取引を控えることを推奨します。安全に取引したい人は、東京市場がオープンしてから取引を開始しましょう。
経済イベント前
米国の雇用統計やFOMC(エフオーエムシー)などの、重要な経済イベントが発表される前は相場が様子見ムードになる傾向があります。発表の内容によっては、今後の値動きがガラッと変わる可能性があるからです。
流動性が低くなり、利益を得るのが難しくなるので、経済イベント前は取引を控えるようにしましょう。経済イベントの発表が行われ、相場に動きが戻ってきたタイミングで取引を開始することをおすすめします。
取引不可な時間を利用した「窓埋めトレード」
金曜日に取引を終え、土日に結果を振り返り、月曜日から新しい週の取引に備えていくという流れでFXを行っている人が多いでしょう。完璧な行動ではありますが、月曜日の早朝にもチャンスがあることはご存知でしょうか。それが「窓埋め」と呼ばれるチャンスです。ここでは、その窓埋めを利用したトレード手法について説明します。
窓埋めトレードとは
土日は、全ての市場が閉まるので取引ができないと説明してきました。しかし、取引できないだけであってチャートは土日も動いています。このとき、土日に相場が大きく動くと週末の終値と週初めの始値の間に、「何もない空間」が生まれます。この何もない空間が「窓」です。
チャートは窓を埋めようとする動きをします。その特性を利用して利益を得ていく取引手法のことを「窓埋めトレード」と言います。
窓埋めトレードのやり方
窓埋めトレードのやり方は、窓が開いた方向にエントリーしていくだけです。例えば、週末の終値が100円、週初めの始値が99円だとしましょう。このとき、100円と99円の間に「窓」ができています。
チャートは窓を埋める動きをすると説明したので、この場合はチャートが100円の方向に上昇していくと予想できます。つまり、今回は「買い」でエントリーをしていくのが正解です。決済は、窓が閉まったタイミングで行いましょう。
FX取引できない時間を挟む場合の注意点
土曜日の早朝から月曜日の早朝までは、FX取引所が閉まります。この2日間は、非常に危険な期間であることはご存知でしょうか。危険な期間という認識がないために、大きな損失を負い、FXの世界から退場したトレーダーも少なくありません。ここでは、最悪な事態を防ぐために、FX取引ができない時間を挟む場合の注意点について説明します。
ロスカットの恐れがある
取引ができない期間は、私たちトレーダーが注文を出すことはできません。そのため、取引できない期間に相場が急変しても、損切りすることができません。そのまま損失が膨らみ、ロスカット水準に達してしまう場合もあるでしょう。そのような状態に陥った場合は、当然ロスカットが執行されるので、資金を大きく減らすことになります。
ロスカットについて詳しくはこちらをご参考ください。
>ロスカットとは?仕組みや計算方法、回避方法について
金曜日の夜は相場が荒れる傾向がある
土日は為替市場が閉まるので、取引ができなくなります。その場合は、ポジションを自分でコントロールできなくなるので、相場の急変に対応できません。そこで多くのトレーダーは大きな損失を避けるために、市場が閉まる前の金曜日にポジションを一斉に手放す傾向があります。
一方で、通貨ペアの価格が下落し、安くなったタイミングを見計らって通貨ペアを購入するトレーダーも存在します。このように、ポジションを手放すトレーダーと新規注文を出すトレーダーが入り混じるので、金曜日の夜は値動きが激しくなる傾向があります。
FXトレーダーが市場クローズまでにやるべきこと
為替市場は、いずれクローズします。日々の取引だけではなく、市場クローズに向けた行動も考えなければいけません。何も考えずに市場のクローズを迎えてしまうと、大きな損失を負う恐れがあるので注意しましょう。ここでは、プロトレーダーの動きを参考にしながら、FXトレーダーが市場クローズまでにやるべきことを3つ紹介します。
ポジションを持ち越すかを決める
まず、「ポジションを持ち越すか」を決めましょう。為替市場が閉まっている間は、注文を出すことができないため、相場が変動するリスクを全て受け止める必要があります。それが利益であればよいですが、損失であれば状況は悪くなります。
資産を全て失うほどの損失を負う場合もあるでしょう。戦略があればポジションを持ち越してもよいですが、根拠のある戦略がなければ、基本的に持ち越さないことをおすすめします。
スワップポイントについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのスワップポイントとは?金利の仕組みやサヤ取りなどの注意しておきたいことについて
ロスカットの注文をどこに入れるか決める
次に、「ロスカットの注文をどこに入れるか」を決めましょう。取引は月曜日の7時からできるのですが、その時間は多くのトレーダーが注文を入れるので、注文を入れてから約定するまで時間がかかる場合があります。しかし、その間もチャートは動いているので、約定するまでの間に損失が膨らむ場合もあります。
市場オープン時はロスカット注文が優先される傾向があるので、損失を最小限に抑えるためにも、ポジションを持ち越す場合は必ずロスカットの注文を入れておきましょう。
土日に発表される経済指標や直近の政治事情をチェックする
最後に、ポジションの持ち越しを考えているのであれば、「土日に発表される経済指標や直近の政治事情などをチェック」しておきましょう。例えば、土日に重要な経済指標が控えている場合は、高い確率で相場が荒れます。その場合は、持ち越すポジションを減らしたり持ち越すのを止めたりして対策を打ちましょう。
経済指標は「FX+経済指標」、政治事情は「通貨ペアの国名+ニュース」と検索すれば確認できます。
情報の集め方について詳しくはこちらをご参考ください。
>FX取引で経済指標や為替レートを読み解くための情報の集め方とは
レベルアップしたいなら!FX取引ができない時間にやるべきこと
土日は、FX取引所が閉まるので、どう頑張っても取引をすることができません。そのため、休息をとって次の週に備えることをおすすめします。しかし、周りと差をつけるために、取引ができない時間も何か行動をしたいという努力家の人もいるでしょう。そのように考えている人に向けて、ここでは取引ができない時間にやりたいことを4つ紹介します。
トレードの振り返り
まず、今週の成績はどうだったのかと振り返りましょう。FXを始めてから1ヶ月が経った人は、1ヶ月間の成績も振り返ってみてください。このとき、合わせて取引の答え合わせも行いましょう。
具体的には、エントリー・決済をしたときに持っていた根拠が合っていたかを確認してください。根拠が外れて損失が生じた場合は、なぜ根拠と結果が異なったのか考えてみることをおすすめします。
過去のチャート分析
チャートは、世の中の経済状況やトレーダーの心理が織り込まれて形成されています。つまり、チャートからは、お金の流れやトレーダーの考えなどを読み取ることができます。
なぜここから上昇トレンドが始まったのか、なぜここでトレンドが止まったのかなど、根拠を交えながら分析してみましょう。チャートは同じような形を作る傾向があるので、将来に備えて現在のチャートを分析してみてください。
FXの勉強
学校のテストで高得点を取りたい場合は、勉強が必要です。同じように、FXでよい成績を残したいのであれば、勉強しなければいけません。具体的には、「用語」、「手法」、「考え方」などを勉強しましょう。
用語だけを覚えても実践では使えませんし、手法だけを覚えても考え方が伴っていなければしっかり機能しない場合があります。何かを集中的に勉強するのではなく、まんべんなく知識をつけるようにしましょう。
FXの勉強方法について詳しくはこちらをご参考ください。
>FXの勉強方法5選!海外FX初心者が最低限覚えておくべきこととは?
戦略の調整や練り直し
取引の振り返りや過去のチャート分析などを終えた場合は、次からはどのような戦略で取引をしていくか考えましょう。事前に立てていた戦略が常に正しいとは限りません。相場の状況を踏まえながら、適切に変えていく必要があります。FX初心者は、エントリーするロットの大きさやエントリー・決済のタイミングなどを今のままでもよいのか確認してみましょう。
FXで利益を得る方法について詳しくはこちらをご参考ください。
>FXで利益を上げるやり方9選!損失を出した場合の対処方法も紹介
まとめ
今回は、FXで取引ができる時間について説明しました。FXで取引ができる時間は、月曜日の7時ごろから土曜日の6時ごろまでです。しかし、具体的な時間は利用するFX取引所によって異なるので、詳細はFX取引所の公式サイトで確認してください。
取引ができない時間を理解すれば、リスクの低い取引ができます。事前にロットを下げたりポジションを手放したりできるからです。また、取引ができない時間に勉強や振り返りなどを行えば、他のトレーダーよりも早く成長できるでしょう。成長意欲のある人は、今回紹介した4つのことをぜひ実践してみてください。