FXのEMAの使い方とは?SMAとの違いや注意点を解説

FXの中で、移動平均線というテクニカル指標は非常に有名です。シンプルで使いやすく、FX初心者から上級者まで幅広いトレーダーが活用しているでしょう。その移動平均線の一種として「EMA」というテクニカル指標があるのは知っていましたか。

名前は聞いたことがあるがいまいち意味を理解していないという人のために、今回はEMAの概要について説明します。セットで出てくることが多いSMAとの違いについても説明します。すぐ実践で使えるようにEMAの使い方や注意点などもまとめたので、ぜひ参考にしてください。

EMAとは

FXのEMA(イーエムエー)とは、Exponentially Smoothed movingを略した言葉です。日本語では、指数平滑移動平均線と言います。直近の値動きに強く比重を掛けて平均値を算出しているため、直近の値動きに素早く反応します。

EMAは、期間が異なる移動平均線を2〜3本組み合わせて使うのが一般的です。もちろん、1本でもEMAとチャートの位置関係から相場を分析できますが、それだと分析の信頼性が薄まります。より深く分析して取引の勝率を高めたい場合は、複数の移動平均線を組み合わせるようにしましょう。

EMAの計算式

EMAの1日目に関しては、単純移動平均線と同じ計算式で数値を求めます。使う計算式は以下の通りです。

単純移動平均線 =( 直近の終値 + 1つ前の終値 + 2本前の終値… + ( N−1 )本目の終値 )÷ N

例えば、5日移動平均線の場合は、( 今日の終値 + 昨日の終値 + 2日前の終値 + 3日前の終値 + 4日前の終値 )÷ 5という計算式が成り立ちます。2日目以降に関しては、前日の値に当日の値を足して答えを求めます。計算式は以下の通りです。

前日の指数平滑移動平均 + K ×( 当日の終値 − 前日の指数平滑移動平均 )

※K = 2 ÷( n + 1 )、n = 期間

EMAの設定期間

EMAの設定期間は、移動平均線のように変えられます。初期の設定期間だと自身の取引スタイルに合っていない可能性があるので、注意しましょう。使いづらいと感じる場合は、一度設定期間を見直すことをおすすめします。おすすめの設定期間は、以下の通りです。

・短期EMA(スキャルピングとデイトレード向き)の場合:5、10、15、20
・中期EMA(スイングトレード向き)の場合:50、75、100
・長期EMA(ポジショントレード向き)の場合:200以上

上記からさらに変更する場合は、少しずつ変更することを推奨します。

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SMAとは?EMAとの違いはなに?

EMAについて調べていると、高い確率で「SMA」という言葉も出てきます。SMAも相場を分析する上では欠かせないものなので、覚えておきましょう。EMAと特徴が異なるので、上手く使い分けると勝率アップが期待できます。それでは、SMAの概要やEMAとの違い、どちらを選ぶべきなのかについて説明します。

SMAとは

SMA(エスエムエー)とは、Simple Moving Averageを略した言葉です。日本語では、単純移動平均線と言います。SMAを使うと、一定期間における終値の平均値を繋いだ線の位置関係から値動きを分析できるようになります。

FX上では、5SMAや20SMAのように表示されますが、これは期間+SMAという意味です。例えば、5日移動平均の場合は5SMAという形で表示されます。

EMAとSMAの違い

EMAとSMAでは、以下のようにデータの取り扱い方が異なります。

・EMA:指定した期間のデータを平等に反映させる
・SMA:直近のデータに比重をおいて反映させる

実際にどれほど異なるのか数値で確認してみましょう。

日数 レート EMAの数値 SMAの数値
5日目 120円 約109 約109
6日目 150円 約122 約119
7日目 180円 約141 約131

表を見ると、価格が高騰した6日目と7日目はEMAがSMAよりも大きく反応していることが分かります。これは、EMAが直近の値動きに比重を置いて計算しているためです。

EMAとSMAどちらを選ぶべきか?

EMAを使うと、素早くトレンドの転換を察知できます。そのため、EMAは以下のような人におすすめです。

・スキャルピングやデイトレードを行う人
・売買のタイミングを探っている人
・レジスタンスラインやサポートラインを引きたい人

一方で、だましに遭遇しにくいSMAは以下のような人におすすめです。

・スイングトレードやポジショントレードを行う人
・トレンドの流れを把握したい人

目的に合わせてEMAとSMAを使い分けるようにしましょう。

EMAの使い方

EMAは、非常に万能なテクニカル指標です。上値抵抗線・下値支持線を引くこともできますし、具体的な売買タイミングを探ることもできます。人によっては、EMAのみで一連の取引ができるでしょう。しかし、そのためには使い方を知る必要があります。ここで分かりやすく使い方を説明するので、参考にしてください。

売り買いのタイミングを判断する

FXのEMAは、一般的に相場の流れやトレンドの強さを把握するために使われます。デイトレードやスイングトレードで活用する人が多いのはこのためです。しかし、EMAを少し応用させれば売り買いのタイミングも判断できるようになります。

後述しますが、売り買いのタイミングを判断する際はゴールデンクロスとデッドクロスという現象を使います。ここまで使いこなせるようになれば、EMAひとつで取引が完結するようになるでしょう。

サポートラインとレジスタンスラインとして利用する

サポートライン(下値支持線)とは、チャートの下落を止めているラインのことです。一方でレジスタンスライン(上値抵抗線)とは、チャートの上昇を止めているラインのことです。サポートラインとレジスタンスラインは、以下のように売買サインの目安として使いましょう。今回は、買いでのエントリーを検討していると仮定して説明をします。

1.EMAがチャートよりも下にあることを確認する
2.チャートがEMAに近づいたら、もしくはタッチしたら買いでエントリーをする
3.EMAの位置がチャートよりも上になったら決済をする

ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロスとは、短期EMAが長期EMAを下から上に突き抜ける現象のことです。上昇トレンドが形成されるサインとされています。デッドクロスとは、短期EMAが長期EMAを上から下に突き抜ける現象のことです。下落トレンドが形成されるサインとされています。これらは、売買ポイントの目安として使いましょう。

1.ゴールデンクロスが発生したら買い、デッドクロスが発生したら売りでエントリーをする
2.ゴールデンクロスでエントリーしたなら、デッドクロスの発生で決済をする
3.デッドクロスの発生でエントリーしたなら、ゴールデンクロスの発生で決済をする

パーフェクトオーダー

パーフェクトオーダーとは、トレンドの方向と強さを分析したい場合に役立つテクニカル指標です。EMAをチャート上に3本表示させることで、使えるようになります。パーフェクトオーダーの使い方は、以下の通りです。

1.チャート上に3本のEMAを表示させる
2.EMAが上から「短期」「中期」「長期」と並んだ場合は、上昇トレンドが長く続くと判断する
3.EMAが上から「長期」「中期」「短期」と並んだ場合は、下落トレンドが長く続くと判断する

EMAを使うとだましに遭遇する確率が上がります。そのため、リスク管理を怠らないようにしましょう。

グランビルの法則とあわせて使う

グランビルの法則とは、価格と移動平均線の位置関係から売買ポイントを探る理論のことです。8つの理論にチャートの値動きを当てはめて、買いシグナルが出ているのか売りシグナルが出ているのか判断します。これを以下のようにEMAと組み合わせてみましょう。

1.移動平均線が横ばい、または下落で推移した後、価格が上昇し、ゴールデンクロスが発生したことを確認する
2.EMAの方でもゴールデンクロスが発生したことを確認したら、買いでエントリーをする
3.どちらかでデッドクロスが発生したタイミングで決済をする

グランビルの法則について詳しくはこちらをご参考ください。
>テクニカル分析の基礎「グランビルの法則」とは?グランビルの法則で勝てるの?

EMAを使う場合の注意点

EMA単体で取引をすると、EMAの恩恵を最大限に受け取れます。その一方で、弱点の影響も受けてしまいます。相場の状況によっては、勝率が極端に低くなるので注意してください。ここでは、EMAを使って勝率が下がるのを防ぐために、覚えておきたい注意点を2つ紹介します。すぐ実践に取り込めるので、早速取り入れてみてください。

レンジ相場には向いていない

EMAは、移動平均線と同じ部類のテクニカル指標です。トレンド相場との相性はよいですが、レンジ相場との相性はあまりよくありません。

レンジ相場とは、値動きに動きが見られない相場のこと。チャートがほぼ真横に推移する

対策として有効なのがEMAを使わないことです。レンジ相場が形成されている段階では、次のトレンド相場に備えて値動きや相場の状況を確認・分析しておきましょう。レンジ相場が形成された後は高い確率でトレンド相場が形成されると言われているので、しっかり準備をしていればチャンスを掴むことができます。

レンジ相場について詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXトレーダーなら覚えておきたいFXのレンジ相場とは?

他のテクニカル指標とあわせて使用する

FXに、「一つのテクニカル指標で取引をしなければいけない」というルールはありません。そのため、可能な限り複数のテクニカル指標を表示させましょう。多くのテクニカル指標を表示させるメリットは、精度の高い相場分析ができるようになることです。一つのテクニカル指標で編み出した答えが正しいか、他のテクニカル指標で二重チェックできるからです。

しかし、表示させるテクニカル指標があまりにも多いと画面が見づらくなります。相場分析の効率も下がってしまうので、見にくくならない程度に表示しましょう。

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EMAと相性のよいテクニカル指標

現在、FXで使えるテクニカル指標は20種類以上あります。この中から自分に合ったテクニカル指標を見つけるのは至難の業です。その問題を解決するために、EMAと相性がよいおすすめのテクニカル指標を2つ紹介します。どちらも癖が少ないので、初めての人でもすぐ使いこなせるようになるでしょう。

移動平均乖離率

移動平均乖離率とは、価格が移動平均線からどれだけ離れているかを数値化した指標です。チャートが激しく動くと、EMAと価格の位置が離れていくので、移動平均乖離率の数値も高くなる傾向があります。

移動平均乖離率は、「価格はいずれ移動平均線に戻ってくる」という考えのもと活用するため、売買の過熱感を把握したい場合に使いましょう。売買の過熱感は、以下のように判断をします。

・移動平均線から価格が大きく上に離れている場合:その通貨ペアは買われすぎている
・移動平均線から価格が大きく下に離れている場合:その通貨ペアは売られすぎている

また、移動平均乖離率は、値動きへの反応が早いため、EMAの売買サインよりも早くトレンドの転換を確認できます。

移動平均線乖離率について詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXの移動平均線乖離率とは?計算方法や指標の見方について解説します

CCI

CCI(シーシーアイ)とは、現在の価格が値動きの幅に対してどれほど乖離しているかを数値化した指標です。日本語では、商品チャネル指数と言います。明確に定まっているわけではありませんが、基本推移は±100の間と言われています。そのため、数値が−100以上であればその通貨ペアは売られすぎている、数値が+100以上であれば買われすぎていると判断しましょう。

CCIは、エントリーの目安を探るために使うのがおすすめです。具体的な探り方は以下にまとめました。

・数値が−100以下を推移した後、−100に戻ってきた:買いのサイン
・数値が+100以下を推移した後、+100に戻ってきた:売りのサイン

CCIについて詳しくはこちらをご参考ください。
>FXのテクニカル指標「CCI」はどう使う?CCIを使ったトレード方法で勝率アップ!

まとめ

今回は、FXのEMAについて説明をしました。EMAとは、指数平滑移動平均線のことです。直近の値動きに強く比重を掛けて平均値を算出しているため、直近の値動きに素早く反応します。

EMAは万能なテクニカル指標なので、どのような方法でも使えますが、FX初心者は「サポートラインとレジスタンスライン」として使うことをおすすめします。非常にシンプルで分かりやすく、誰が使っても同じような結果になりやすいからです。この使い方をマスターしてから、売買ポイントを探ったり相場の流れを分析したりと、少し高度な使い方に挑戦してみましょう。