ロスカットとは?仕組みや計算方法、回避方法について

ロスカットとは

海外FXの取引で重要になってくるのが「ロスカット」です。初心者にとってはロスカットの仕組みがわからず、困っている人も多いのではないでしょうか。

ロスカットは「損失を切る」という意味があり、取引を始める前に覚えておきたい用語の一つです。取引所によりロスカット率も変わってくるため、それぞれどのくらいの率なのかを確認する必要があります。

こちらでは、基本的なロスカットの仕組みや計算方法、ロスカット率が高いFX会社や、低い会社のメリットやデメリットなどをふまえ、回避する方法まで解説していきます。

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ロスカットとは

ロスカットとは、FX取引所のロスカットルールに基づいて、強制的に保有しているポジションが決済されるシステムです。いきなり強制的に決済されるのではなく、各FX取引所が定めているロスカット率を下回ると、ロスカットが執行されます。

例えば、ドル円(USDJPY)が100円のときに、通貨を購入したトレーダーAがいたとします。ドル円(USDJPY)が95円まで下がるとロスカットが行われると仮定した場合、95.001円までであれば、ロスカットはされません。しかし、95円に達してしまうとロスカットされます。

これは、95.001円までは含み損(確定していない損失)でしたが、95円に達した瞬間、強制的にロスカットが確定するという仕組みだからです。

ロスカットとは

ロスカットされるとどうなるの?

FX取引において、一定水準以上の損失発生で執行されるロスカットですが、先ほどの例のように、95.001円まではロスカットされず、95円になるとロスカットされます。ロスカットされると、保有ポジションは強制的に決済されることになります。

ロスカット値はFX会社や取引口座により変動します。取引時間中に判定が行われ、評価損の大きいポジションから自動ロスカットを行うなどで、損失を最小限に食い止めることができます。それにともない、未約定の注文は、全て取り消しまたは一部取り消しになります。

ロスカットされると

ロスカットの目的

ロスカットは、トレーダーの損失が広がるのを防ぐ目的で行われます。海外FXの場合はハイレバレッジの取引が可能なため、大きな利益が出る可能性がある反面、想定外の変動で損失が大きくなることもあります。

ロスカットがない場合、損失が広がり続け、数十万円~数千万円の損失や負債を負うこともあります。しかしロスカットがあることで、損失は限定されます。

強制決済と聞くと聞こえは悪いですが、実際にはトレーダーを守る安全システムです。特に初心者は相場の急変時、どうしてよいかわからなくなることもあるでしょう。そんな時でもロスカットシステムがあれば、最終的な安全は確保されているということになります。

口座資金が10万円でロスカット率が20%だった場合、例外を除き、損失上限額は8万円です。このように、ロスカットは想定外の損失を未然に防ぐ目的があります。

ロスカットと損切はどう違う?

損切りとは、FXの取引上で損失を確定させることを指します。相場が自分の予想と反して変動した際に、損失を承知の上で自身でポジション決済するということです。FXでは利益がクローズアップされがちですが、実は損失が小さい方が利益は上がります。

一方でロスカットは、一定水準の損失に達した時点で、自動的に取引が強制終了となるシステムのことです。初心者の場合は特に、資金が減ることに抵抗があったり、「もう少ししたら相場が回復するかもしれない」など、根拠のない希望を持ち、損切りできないことがあります。その際にも安心できるシステムです。

FXの損切りについて詳しくはこちらをご参考ください
>FXの損切りとは?利益確定よりも重要と言われている4つの理由とは

ロスカットを決める「ロスカット率」ってなに?

ロスカットを決定する、ロスカット率、は、どのように決まるのでしょうか。ロスカット率は「証拠金維持率」のことを指しますが、そもそも初心者にとって、ロスカット率が何なのかわからないという人もいることでしょう。そこでここでは、ロスカット率や証拠金維持率についての、基本的な知識を解説していきます。

ロスカット率=証拠金維持率

証拠金維持率とは、時価評価総額に対する必要証拠金の割合のことです。時価評価総額とは、所有する通貨ペアが購入時から比べてどのくらい変動したかで換算される、現在の評価額を表します。例えば10万円で購入した通貨ペアが現在15万円の価値があれば、それが時価評価総額になります。

証拠金維持率の計算式
時価評価総額÷必要証拠金×100

FX口座残高が10万円でドル円(USDJPY)が100円のとき、1万通貨購入した場合の証拠金維持率は以下の通りです。なおレバレッジは25倍で計算しています。

10万円 ÷ 4万円(必要証拠金)× 100 = 250%

上記の条件でドル円(USDJPY)を購入すると、証拠金維持率は250%ということになります。次に、6万円の含み損を抱えている場合の証拠金維持率は以下の様になります。

(10万円 ― 6万円)÷ 4万円 × 100 = 100

6万円の含み損を抱えると、証拠金維持率は100%になるということが分かります。仮に、FX取引所のロスカット率が100%以下だった場合、この時点でロスカットが執行され、6万円の含み損が確定損になります。

【注意】ロスカット率は取引場によって異なる

ロスカット率は、FX取引所によって異なります。初めて取引を行う場合にはまず、そのFX取引所で定められたロスカット率を確認しましょう。

各FX取引所で定められたロスカット率の割合を下回ると、自動的にロスカットが執行されます。このときのロスカット率は、厳密には証拠金維持率と言います。つまり、証拠金維持率が一定割合以下になると、ロスカットが執行されるということになります。

ロスカット率は高い方がいいの?低い方がいいの?

ロスカット率のことはわかったとしても、それでは高い方がよいのでしょうか。それとも、低い方が良いのでしょうか。ロスカット率はFX会社により様々ですが、実はそれぞれメリットとデメリットがあります。

こちらでは、どちらがよいのか自分で選択できるように、ロスカット率の高さや低さについて詳しく説明していきます。

ロスカット率が高いFX業者を利用するメリット

ロスカット率が高いFX会社を利用すると、資金を守りやすくなります。ロスカット率が高いとすぐに強制決済が執行されてしまうので、ネガティブなイメージを持たれるかもしれません。しかし、ロスカット率が高いほど、残る証拠金は多くなります。これは含み損が広がりにくいからです。

例えばロスカット率が100%の場合、必要証拠金と、含み損を考慮した時価評価総額が同額になったら、ロスカットが執行されることになります。50%であれば、その半分で実行されます。

ロスカット率が高いFX業者を利用するメリット

自分で損切りをすればよいのですが、初心者が損切りをするのは難しいです。タイミングを見計らっているうちに、損失が大きくなってしまう可能性もあります。ロスカット率が高いFX会社であれば、迷っているうちにロスカットをしてもらえるので、損失を抑えることが可能です。

ロスカット率が高いFX業者を利用するデメリット

ロスカット率が高いFX業者を利用すると、当然ながらデメリットも存在します。取引をするうえでロスカット率が高いと、許容の含み損が少なくなるということがあげられます。わずかな相場変動でロスカット、つまり、取引が強制取引終了されてしまうということになってしまいます。

また、ロスカット率が高いと、損失を出した時に挽回できないというのもデメリットです。例えば、相場変動が起こり、含み損が大きくなったとしても、ポジションを保有していれば相場復活の際に挽回できる可能性があります。

しかし、ロスカットが執行されてしまうとポジションが強制的に決済されてしまうため、挽回できなくなってしまいます。このことからも、取引場で悔しい思いをしやすいのは、ロスカット率が高い取引であるといえます。

ロスカット率が高いFX業者を利用するデメリット

ロスカット率が低いFX業者を利用するメリット

それではロスカット率が低いと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ロスカット率が低い取引では、ロスカット執行が遅くなり、含み損が大きくなってもポジションを保有することができます。

ポジションを保有できていれば、急な相場変動が起こったとしてもロスカットが執行されず、挽回まで待つことができます。FX取引においては、一度急変動で下がった相場が、すぐに回復するということは稀にあります。このように、短期的な相場の変動の場合は、低めの方が利益に繋がりやすいといえるでしょう。

また、ロスカット率が低いとそれだけ執行に時間的な余裕があるため、証拠金を追加したり、自分で損切りすることもできます。時間もあるため、ロスカット回避策を講じやすくなります。

ロスカット率が低いFX業者を利用するメリット

ロスカット率が低いFX業者を利用するデメリット

ロスカット率が低いデメリットは、ロスカット失効後の資金が残らない可能性があるということです。場合によっては手元に1円も残らない、ということもあるでしょう。

これは、ぎりぎりまでロスカットが執行されないため、損失が拡大しやすいからです。相場変動は回復することもありますが、当然ながらそのまま下がっていくこともあります。そうなると、ロスカット率が低ければ低いほど、損失が大きくなります。

FX会社の率によってはギャンブルに近くなってしまう、ということもありますので、取引をする前に調べてみるのがよいでしょう。もちろん、その可能性を含めてロスカット率が低いところで勝負してみたい、という方にとってはデメリットとはいえないかもしれません。

ロスカット率が低いFX業者を利用するデメリット

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ロスカットの目安が知りたい場合の方法

ここまでロスカットについてお話してきましたが、一体ロスカットの目安はどのくらいなのでしょうか。こちらでは初心者でもわかりやすいように、ロスカット基準額の計算方法をはじめ、値幅の計算方法、FXで耳にする「マージンコール」とは一体どんなものなのかを解説していきます。

ロスカット基準額の計算方法

ロスカット基準額とは、有効証拠金がこの金額を下回るとロスカットが執行されるという金額のことです。つまり、ロスカット基準額をしっかり把握し、有効証拠金をそれより減らさないように管理できさえすれば、強制的にロスカットされることはありません。

ロスカット基準額は、以下の計算式で求めることができます。

建玉(たてぎょく)必要証拠金 × ロスカット率

建玉とは取引で未決済になっている契約総数のことで、建玉必要証拠金とは建玉を保有、または維持するために必要な証拠金の合計額のことを指します。

例えば、建玉必要証拠金が5万円で、ロスカット率が50%だった場合、以下の計算式が成り立ちます。

5万円 × 0.5(50%)= 2万5000円

上記の条件だと、ロスカット基準額は2万5000円ということが分かります。

ロスカット値幅の計算方法

ロスカット値幅とは、「どのくらいレートが動くとロスカットされるのか」を表す値幅のことです。ロスカット値幅を計算しておくと、変動の動きを見ながらロスカットまでどのくらい余裕があるのかを把握することができます。ロスカット値幅の計算式は、以下の通りです。

有効証拠金-ロスカットの基準額=余剰金

有効証拠金から先ほど計算で算出したロスカットの基準額を引くと、余剰金が出ます。ロスカット値幅は、この余剰金を保有通貨数で割ると算出できます。

余剰金÷通貨数量=ロスカットまでの値幅

実際に以下の条件で計算してみます。

・ロスカット値:取引証拠金の50%
・有効証拠金:7万円
・取引証拠金:4万円
・購入通貨数:1万通貨

この場合は(7万円-2万円)÷ 1万通貨 = 5円

つまり、ロスカット値幅は5円となります。

ロスカット前に知らせてくれる「マージンコール」

FX取引では、「マージンコール」と呼ばれるサービスがあります。マージンコールとは、簡単にいうと、ロスカット水準が近づいていますという合図です。「ロスカットアラーム」とも呼ばれます。

証拠金維持率が一定の水準を下回ると発生し、マージンコールが発生してもそのままの状態であると、ロスカットされる可能性が高くなります。FX会社によりマージンコールが発生する基準は違うため、確認することが重要です。

IS6FXでは証拠金維持率が50%を下回ったらマージンコールが発生し、20%を下回るとロスカットが執行されます。

is6fxのマージンコール

マージンコールについて詳しくはこちらをご参考ください
>FXのマージンコールとは?証拠金維持率や対策・対処方法について解説

ロスカットを回避する7つの方法

FX取引をする際気になるのが、どうしたらロスカットを回避できるのかということではないでしょうか。ロスカットが執行されてしまうと、ポジション維持ができなくなってしまいます。

そこでここでは、できるだけロスカットを執行されないために、ロスカットが回避できる可能性が高まる7つの方法をご説明しましょう。

口座残高は高めに保っておく

口座残高は高めに保っておくと、ロスカットが執行されない可能性があります。証拠金維持率は口座残高によっても変動します。例えば、含み損が1万円といっても、口座残高が10万円と口座残高が100万では、証拠金維持率が異なります。

基本的には口座残高が多い方が証拠金維持率は高くなり、ロスカットされにくくなります。そのため、保有ポジションに対して口座残高が異常に低い場合は、入金することで口座残高を増やしましょう。

証拠金維持率の計算

保有しているポジションを決済する

ロスカットの危険性を感じたら、保有しているポジションを決済するのもよいでしょう。必要証拠金が少なくなるため、証拠金維持率が高くなります。「ポジションを完全に決済したくない」という場合は、ポジションを一部だけ決済しましょう。例えば、「2ロット中、1ロットだけ決済する」という感じです。

保有ポジションを決済する

実行レバレッジは低くする

ロスカット執行を防ぐためにも、実行レバレッジは低くしておきましょう。実行レバレッジとは実際の運用レバレッジの事で「取引額(為替レート×保有ポジションの数量)÷有効証拠金額」で算出されます。実行レバレッジを高くすると、資金の余裕がなくなるため、ロスカットされる可能性が高まります。

しかし、「何倍のレバレッジが適切なのか分からない」という方も多いかと思います。資金やトレードスタイルにもよりますが、なるべく実行レバレッジは3倍以下に抑えておくと良いでしょう。

実行レバレッジを低くする

損切りの注文を入れておく

損切りの注文を予め入れておくと、ロスカット回避に繋がるかもしれません。ロスカットされる前に決済されるため、大きな損失を負わずに済みます。セーフティーネットを2重にしている感じですので、「大きな損失は負いたくない」という方は、必ず損切り注文を入れておきましょう。

独自の損切りルールを決める

独自の損切りルールを決めておくことも、ロスカットを回避するための秘訣です。例えば、「損失が〇万円になったら損切りする」「〇pips以上逆に動いた場合は損切りする」という様に、取引をする上でマイルールを作っておくと、いざという時にも動きやすいでしょう。

購入通貨数を低くする

ロスカットを防ぎたいのであれば、購入通貨数を低くしましょう。基本的に購入通貨数が多ければ多いほど、多額の必要証拠金が必要になります。

そうなると、もちろん証拠金維持率も低くなります。証拠金維持率が低い場合はギリギリの取引をしている証拠なので、余裕を持った取引をするためにも、購入通貨数はいつもより低くしてみましょう。

購入通貨数を低くする

ロスカット率が低いFX取引所を選ぶ

ロスカット率が低いFX取引所を選ぶのもおすすめです。ロスカットは証拠金維持率がロスカット率を下回らない限り、執行されません。つまり、ロスカット率が低ければ低いほど、ロスカットされにくくなります。

国内FXよりも海外FXの方がロスカット率は低い傾向があります。そのため、ロスカット率が低いFX取引所でトレードしたい場合は、国内FXよりも海外FXをおすすめします。

ロスカット率が低いFX取引所を選ぶ

IS6FXが気になったら

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まとめ

今回はロスカットの基本的な知識やロスカット率について、また、計算方法や、ロスカットを回避する方法までをご説明してきました。ロスカットの仕組みをしっかり把握することで、証拠金維持率を確認し、取引のリスク管理をすることができます。

実効レバレッジを高くしすぎず、ポジションを大きくしないようにすることが管理の秘訣。損失を拡大させないように、ロスカット率を計算したり、低い、高いのメリットやデメリットを頭に入れたうえで、ライフスタイルに合う取引をしてみてください。