FXで取引をしていると、「相場がどちらに動くのか分からない」という状態になることはありませんか。もし、その状況にストレスを感じているのであれば、「OCO注文」を使ってみてください。リスクを抑えながら利益を最大限伸ばせる注文方法なので、使いこなせれば先が見えない相場でも大きな利益を得ることができるでしょう。
戦える相場が増えれば掴めるチャンスの数も増えるので、他のトレーダーと差をつけることもできます。今回は、そんなOCO注文の「使い方」「メリット」「デメリット」などについて説明します。
OCO注文とは?
OCO注文(オーシーオー注文)とは、2種類の注文を同時に出し、片方の注文が確定した場合、もう片方の注文は自動的にキャンセルになる注文方法です。例えば、ドル円を100円のときに購入したとします。相場はどちらに動くか分かりません。そこで、「ドル円が105円になったら利益確定をする」「ドル円が95円になったら損切りをする」という注文を入れたとします。
数日後には、ドル円が105円になりました。すると、「ドル円が105円になったら利益確定をする」という注文が実行され、「ドル円が95円になったら損切りをする」という注文は自動的にキャンセルされます。OCO注文は、このような相場がどちらに動くか分からない場合におすすめしたい注文方法です。
OCO注文の使い方
FXには、以下2つの注文方法があります。
・指値注文:現在の価格よりも有利な価格でポジションを持ちたい場合に使う
・逆指値注文:現在の価格よりも不利な価格でポジションを持ちたい場合に使う
OCO注文は、指値注文と逆指値注文を組み合わせて使っていきます。ここでは、具体的にどのように使うのか説明します。
指値買い+逆指値買いでエントリー
指値買い+逆指値買いの組み合わせは、上昇トレンドが形成されている場合に使いましょう。だましを避けるために、現在の価格よりも低い価格で指値買い注文を入れ、予想が外れた場合に備えて逆指値買い注文を入れるという使い方が効果的です。数字を交えて具体的にエントリー手順の一例を紹介します。
1.現在の価格が100円の場合は、99.50円に買いの指値注文を入れる
2.予想が外れた場合に備えて、99円に買いの逆指値注文を入れる
3.注文を確定する
上記の内容で注文を確定した場合、損失は50銭に限定して利益を最大限伸ばすことができます。
指値売り+逆指値売りでエントリー
指値売り+逆指値売りの組み合わせは、下落トレンドが形成されている場合に使いましょう。現在の価格よりも高い価格で指値注文を入れ、そのまま下落した場合に備えて逆指値売り注文を入れるという使い方が効果的です。数字を交えて具体的にエントリー手順の一例を紹介します。
1.現在の価格が100円の場合は、100.30円に売りの指値注文を入れる
2.損切り設定として、100.50円に売りの逆指値注文を入れる
3.注文を確定する
上記の内容で注文を確定した場合、損失は20銭に限定して売りポジションの利益を伸ばすことができます。
指値買い+逆指値買いで決済
指値買い+逆指値買いの組み合わせは、売りポジションを保有している場合に使いましょう。現在の価格よりも低い価格で利益確定注文を出し、現在よりも高い価格で損切り注文を出すという使い方が効果的です。数字を交えて具体的にエントリー手順の一例を紹介します。
1.ポジションを100円で保有している場合、利益確定設定として99.70円に買いの指値注文を入れる
2.損切り設定として、100.10円に買いの逆指値注文を入れる
3.注文を確定する
上記の内容で注文を確定した場合、最大10銭の損失で最大30銭の利益を狙うことができます。
指値売り+逆指値売りで決済
指値売り+逆指値売りの組み合わせは、買いポジションを保有している場合に使いましょう。現在の価格よりも高い価格で売りの利益確定注文を出し、現在よりも低い価格で売りの損切り注文を出すという使い方が効果的です。数字を交えて具体的にエントリー手順の一例を紹介します。
1.ポジションを100円で保有している場合、利益確定注文として100.60円に売りの指値注文を入れる
2.予想が外れることも想定して、99.80円に売りの逆指値注文を入れる
3.注文を確定する
上記の内容で注文を確定した場合、最大20銭の損失で最大60銭の利益を狙うことができます。
OCO注文のコツ
OCO注文では、一度に2つの注文を入れなければいけません。FX初心者や成行注文に慣れている方だと、OCO注文に違和感を覚えるでしょう。その違和感をなくすために、ここではOCO注文を使いこなすコツを紹介します。「スワップポイント」を意識するだけなので、誰でも簡単に覚えられます。
「売り」でOCO注文を入れる場合のコツ
売りでOCO注文を入れる場合は、スワップポイント(通貨ペア間の金利差)を意識してみましょう。ユーロ円のように売りから入るとスワップポイントを毎日受け取れる通貨ペアもあるのですが、多くの場合は売りから入るとスワップポイントを支払わなければいけません。
長期トレードになるとスワップポイントがかさみ、大きな損失に繋がる場合があるので、売りでOCO注文を入れる場合は、長期目線ではなく短期目線で注文を入れるのがコツです。
「買い」でOCO注文を入れる場合のコツ
買いでOCO注文を入れる場合も、売り注文と同様にスワップポイントを意識してみましょう。円が絡む通貨に関しては、買いでエントリーをすると、多くの場合はスワップポイントをトレーダーが受け取れます。買いでOCO注文を入れる場合は、短期目線ではなく、長期目線で注文を入れるのがコツです。
スワップポイントについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのスワップポイントとは?金利の仕組みやサヤ取りなどの注意しておきたいことについて
OCO注文のメリット
OCO注文は、機関投資家やプロの個人投資家なども使っている注文方法です。さまざまな注文方法がある中、わざわざOCO注文を使うのは、それなりのメリットがあるからでしょう。ここでは、そんなOCO注文のメリットについて説明します。人によっては勝率アップが期待できるので、ぜひ参考にしてください。
2つの注文を同時に出すことができる
OCO注文を使えば、2つの注文を同時に出すことができます。例えば、「○○円になったら利益確定の注文を出し、○○円になったら損切りの注文を出す」ということができます。
トレードを半自動化できる
OCO注文を使えば、トレードを半自動化することができます。OCO注文は利益確定注文と損切り注文を同時に出せるため、トレーダーは新規注文のみをしておくことで、後は自動的にAIが利益確定や損切りをしてくれます。
機械的なトレードができる
OCO注文を使えば、機械的にトレードをすることができます。何があったとしても、注文通りに取引を行うからです。自分の感情に左右されず、機械的なトレードをしたいという方はぜひOCO注文を使ってみてください。
リスクをコントロールできる
OCO注文を使えば、FXの取引リスクをコントロールすることができます。利益確定注文の他に損切り注文も出せるからです。これにより、損失を限定的にできます。OCO注文を使えば、「想定外の損失を負ってしまった」という状態に陥るのを防ぐことができるでしょう。
OCO注文のデメリット
OCO注文で損失を限定し、利益を最大限伸ばしているトレーダーはたくさんいます。理論上、OCO注文を使いこなせば簡単に資産を増やすことができます。しかし、そうはいかないのがFXの世界です。なぜなら、OCO注文にも欠点があるからです。失敗を防ぐために、ここでOCO注文のデメリットを把握しておきましょう。
利益を伸ばせない
OCO注文を使うと、利益を伸ばせない場合もあります。利益確定注文を出した場合は、必ずその価格で利益が確定されてしまうからです。力が強いトレンド相場では本来得られるはずだった利益を逃しやすいので、十分注意をしてください。
ポジションの一部だけを決済することはできない
OCO注文では、「1ロット中0.5ロットだけ決済する」という注文を出すことができません。分割決済をしたい場合は、OCO注文ではなく成行注文を使うようにしましょう。
一方向のみの注文しかできない
OCO注文では、「買い注文だけを出す、または売り注文だけを出す」という注文を出すことができます。しかし、「買いと売りの注文を同時に出す」という注文は出すことができません。買いと売りの注文を同時に出したい場合は、成行注文を使いましょう。
トリガーレートに達さない限り、約定しない
OCO注文で出した注文は、トリガーレートに達さない限り、約定しません。トリガーレートとは、指値注文または逆指値注文のどちらかが執行されるレートのことです。ドル円を110円で決済するという予約注文を出していたとしても、レートが110円に達さなければいつまで経っても注文が執行されないので、注意しましょう。
実践を意識したOCO注文の使い方
OCO注文のコツやメリット・デメリットなどを説明したので、ある程度OCO注文については理解できたでしょう。しかし、実戦での使い方がまだイメージできていない方もいると思います。そのままの状態で取引を行うのは危険です。大きな失敗を防ぐために、ここで実践を意識したOCO注文の使い方を理解しておきましょう。
レジスタンスラインとサポートラインを意識する
OCO注文を使う場合は、レジスタンスライン(上値を支えているライン)とサポートライン(下値を支えているライン)を意識しましょう。チャートがこの2つのライン付近に来ると、跳ね返るかそのまま突き抜けるかのどちらかの動きをするため、そこを狙ってOCO注文を入れていきましょう。ひとつの例としては、以下の通りです。
1.反転した場合を想定して、レジスタンスラインよりも下に売りの予約注文を入れる
2.突き抜けた場合も想定して、レジスタンスラインよりも上に買いの予約注文を入れる
サポートラインとレジスタンスラインについて詳しくはこちらをご参考ください。
>サポートラインとレジスタンスラインとは?引き方や分析方法を徹底解説
トレンドを意識する
OCO注文を使う場合は、トレンドを意識してみましょう。トレンドが発生していたとしても、一直線に動き続けることはありません。基本的には、上がったり下がったりを繰り返しながら一方向に進んでいきます。
そこで、上昇トレンドであれば「下がったとき」、下落トレンドであれば「上がったとき」を狙ってOCO注文を入れましょう。しかし、そのままトレンドが終了する可能性もあるので、しっかり損切り用の注文も入れておくことをおすすめします。
トレンドについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのトレンド相場とは?レンジ相場との違いや海外FX初心者におすすめの理由について
経済指標を意識する
OCO注文を使う場合は、経済指標を意識してみましょう。経済指標が発表されると相場は大きく動くのですが、発表されるまで上昇と下落のどちらに動くかはわかりません。そこで、OCO注文を使い、買いの逆指値注文と売りの逆指値注文を入れます。
しかし、経済指標を狙って取引をするトレーダーの数が多いため、希望通りの価格で約定しない場合もあります。損失を負ってもよいように、取引ロット数は通常よりも低めにしておきましょう。
経済指標について詳しくはこちらをご参考ください。
>FXトレーダーなら覚えておきたい重要度が高い経済指標一覧!
まとめ
今回は、FXで使うOCO注文について説明しました。OCO注文とは、2種類の注文を同時に出し、片方の注文が確定した場合、もう片方の注文は自動的にキャンセルになる注文方法です。相場の動きが読めない場合に役立ちます。
OCO注文を使うメリットは、リスクをコントロールできることです。リスクを抑えて利益を最大限伸ばすこともできるので、上手く使えば大きく資産を増やせるでしょう。経済指標発表時や早朝など、少しリスクの高い時間帯でもローリスクで取引ができます。あなたの取引をサポートしてくれる注文方法なので、ぜひマスターしてみてください。