ストキャスティクスとはどのように使えば良いのか悩んでいる海外FX初心者は多いかと思います。今回は、ストキャスティクスについて基本的な見方や使い方などを具体的に説明していきます。実際、どのように取り入れていけば良いのか、具体的な取引手法も3つ紹介するので、逆張りを仕掛けたいFXトレーダーも参考にしてみてください。
FXのストキャスティクスについて
まずは、ストキャスティクスについて基礎知識をご紹介します。
ストキャスティクスとは
ストキャスティクスとは、通貨の売買比率を把握できるオシレーター系テクニカル指標です。簡単に説明すると、現在、その通貨は買い勢力が強いのか、売り勢力が強いのかが一目で分かるツールです。ストキャスティクスは、主に「逆張り」するときに使います。
ストキャスティクスを構成している3つの線
ストキャスティクスは、以下3つの線から構成されています。
・%K
・%D
・%SD
ストキャスティクスは、一定期間の価格を100とみなした場合、現在の価格はどのあたりに値するのかを示すテクニカル指標です。
その値は割合で示されるので、3つの線には「%」がついています。線の意味を具体的に覚える必要はありませんので、まずは「%K」、「%D」、「%SD」という3つの線があることを覚えておきましょう。
ストキャスティクスは2種類ある
ストキャスティクスは、2種類存在します。1つ目は「%Kと%D」の「ファストストキャスティクス」です。ファストストキャスティクスは、チャートに敏感に反応するためシグナルが多く出ますが、ダマシに遭遇しやすいという特徴があります。
2つ目は「%Dと%SD」の「スローストキャスティクス」です。スローストキャスティクスは、滑らかに動くためシグナルが出る回数は少ないですが、ダマシに遭遇しにくく実践向きという特徴があります。
おすすめの設定期間
ストキャスティクスを使うには、期間を設定しなければいけません。基本的に決まりはないので、使いやすいように調整して頂いて構いません。しかし、自分に合っている設定値がまだ分からない方は、基本と言われている設定値である%Kを14日間、%Dとスローイングを3日間で設定してみてはいかがでしょうか。使っている方が多い設定値なので、教科書通りにチャートが動きやすいといったメリットがあります。
ストキャスティクスの基本的な見方
ストキャスティクスは、通貨の売買比率を把握できるテクニカル指標と説明しました。そのため、ストキャスティクス数値が20%以下は「通貨が売られ過ぎている」、80%以上は「通貨が買われ過ぎている」という見方をします。数値が80%を超えるとチャートは下落しやすく、数値が20%を下回るとチャートは上昇しやすくなります。
ストキャスティクスを使ったFXの取引手法
ここでは、ストキャスティクスを使ったFXの取引手法を説明します。
ダイバージェンスと組み合わせた手法
まずは、「ストキャスティクスとダイバージェンスを組み合わせた取引手法」をご紹介します。ダイバージェンスとは、為替レートとストキャスティクスのチャートが逆行する現象です。ダイバージェンスは、トレンドの終わりを意味するとされています。
つまり、ストキャスティクスと為替レートのダイバージェンスを見つけて、逆張りを仕掛けていくことになります。例えば、為替レートは上昇しているのに対して、ストキャスティクスのチャートは下落しているとしましょう。この場合は、上昇トレンドの終わりを意味するため、「売りでエントリー」していくのが正解です。
%Dと%SDを使ったクロス手法
次に、「%Dと%SDを使ったクロス手法」をご紹介します。売買シグナルは、%Dが%SDを下から上に突き抜けたら「買い」、上から下に突き抜けたら「売り」です。突き抜ける角度が急であればあるほど、チャートは大きく動く傾向があります。
突き抜ける角度が浅い場合、ダマシに遭遇しやすくなるので注意しましょう。決済は、チャートがエントリー時とは逆の形で突き抜けたら行います。
売買比率を参考にした手法
最後に、「ストキャスティクスの売買比率を参考にした取引手法」をご紹介します。ストキャスティクスでは、数値が20%を下回ったら「売られ過ぎ」、80%を上回ったら「買われ過ぎ」と判断していきます。そしてチャートは、売られ過ぎのラインに突入すると上昇する傾向が、買われ過ぎのラインに突入すると下落する傾向があります。
この特性を利用して、逆張りしていきましょう。具体的には、数値が80%を超えたら「売りエントリー」、数値が20%を下回ったら「買いエントリー」です。決済タイミングは、買いでエントリーしたなら80%付近、売りでエントリーしたら20%付近です。
しかし、そこまでチャートが動かない場合もあるので、勝率を高めたい場合は50%付近で決済しましょう。
ストキャスティクスの弱点
ストキャスティクスの弱点は、「大きなトレンドでは機能しづらい」ことです。手法を確認してもらうと分かりますが、ストキャスティクスの取引手法は全て「逆張り」です。つまり、トレンドの終了を見極めてエントリーしていくことになります。
しかし、大きなトレンドはトレンド終了の予兆を見せても、何事もなかったかのようにトレンドが継続していく場合があります。大きなトレンドで、トレンドの終了を見極めるのは不可能と言っても過言ではありません。そのため、ストキャスティクスは、トレンド終了のタイミングが分かりやすい「弱いトレンド」または「レンジ相場」で使うようにしましょう。
FXでストキャスティクスを活かしていく方法
ここでは、FXでストキャスティクスを活かしていく方法を説明します。
勢いがある通貨ペアで使う
1つ目は、「勢いがある通貨ペアで使う」ことです。取引する通貨ペアによっては、レンジ相場になるとチャートがほぼ動かなくなります。そのような通貨ペアでは、ストキャスティクスのチャートもほぼ動きません。
そのため、そもそもエントリータイミングが来なかったり、来ても信ぴょう性が薄い売買シグナルだったりする場合があります。ある程度勢いがないと、ストキャスティクスが機能しないので、なるべく米ドル/円やユーロ/ドルなど、取引している人口が多い通貨ペアで使いましょう。
相場が綺麗に形成されている通貨ペアで使う
2つ目は、「相場が綺麗に形成されている通貨ペアで使う」ことです。相場が綺麗に形成されている通貨ペアは、ノイズやダマシが少ないと判断できます。そのため、そのような通貨ペアでストキャスティクスを使えば、失敗する確率が低くなります。
FX初心者は、相場の綺麗さをトレンドラインで判断してみましょう。高値または安値同士を1本の線で結び、その線からチャートがあまりはみ出ていなければ、「相場が綺麗に形成されている」と判断します。
ストキャスティクスと相性が良いテクニカル指標
ここでは、ストキャスティクスと相性が良いテクニカル指標をご紹介します。
移動平均線
1つ目は、「移動平均線」です。移動平均線とは、一定期間の価格を平均値にして1本の線にまとめたものです。ストキャスティクスだけでは、「トレンドの方向性が掴めない」という問題にぶつかります。そこで役に立つのが、トレンドの方向性を教えてくれる「移動平均線」です。移動平均線の「中期移動平均線」が向いている方向でトレンドが分かります。
単純に中期移動平均線が上を向いていれば「上昇トレンド」、下を向いていれば「下落トレンド」です。移動平均線を使ってチャートの方向性を掴めれば、「現在は上昇トレンド、ストキャスティクス数値は80%を超えたため、そろそろ下落トレンドに切り替わるのではないか」という戦略を立てることができます。
MACD
2つ目は、「MACD」です。MACDとは、短期移動平均線と中長期移動平均線を使って具体的な売買タイミングを計るテクニカル指標です。ストキャスティクスは、通貨の売買比率を把握するために作られたテクニカル指標なので、具体的な売買タイミングを把握するのには向いていません。
例えば、「80%を超えたら売りでエントリーしていく」と言われますが、具体的に80%を超えたどの辺りでエントリーすれば良いのかが分かりません。つまり、ストキャスティクスだけでは、売買タイミングが抽象的になってしまうのです。そのタイミングを具体化してくれるのが、MACDです。
具体的な売買タイミングは、MACDの短期移動平均線が中長期移動平均線を下から上に突き抜けたら「買い」、上から下に突き抜けたら「売り」と言われています。そのため、ストキャスティクスでトレンドの過熱感を把握し、MACDで具体的な売買タイミングを見極めていきましょう。
FXでストキャスティクスを使う場合の注意点
ここでは、FXでストキャスティクスを使う場合の注意点を説明します。
チャートが乱高下しているときは使わない
1つ目の注意点は、「チャートが乱高下しているときは使わない」ことです。特に経済指標発表時や要人発言時などは、どの通貨ペアもチャートが乱高下します。
このときは、さまざまな考えを持ったトレーダーが集結し、通貨の売買が活発になるので、チャートの動きが非常に読みづらくなります。そのため、ストキャスティクスは、チャートの乱高下が収まったら使いましょう。
ストキャスティクスを信じ込み過ぎない
2つ目の注意点は、「ストキャスティクスを信じ込み過ぎない」ことです。チャートはストキャスティクスに連動して動くわけではありません。そのため、ストキャスティクスの情報とは反対にチャートが動くこともあります。ストキャスティクスの情報を「信じて」取引するのではなく、「参考」にして取引していきましょう。
自己ルールを決めないでストキャスティクスを使わない
3つ目の注意点は、「自己ルールを決めないでストキャスティクスを使わない」ことです。さきほど「ストキャスティクスを信じ込み過ぎてはいけない」と説明しました。そこで必要になるのが「自己ルール」です。
例えば、「チャートが20pips反対に動いたら即損切りする」というイメージです。自己ルールを作ることでストキャスティクスの情報が外れても、損失を最小限に抑えることができます。
通貨の売買比率を把握したい場合はストキャスティクスを使ってみよう
今回は、FXのストキャスティクスについて説明してきました。ストキャスティクスとは、通貨の売買比率を把握できるテクニカル指標です。ストキャスティクスの数値が80%を超えたら「通貨は買われ過ぎ」、20%を下回ったら「通貨は売られ過ぎ」と判断します。
一般的に通貨が買われ過ぎると近いうちにチャートは下落し、通貨が売られ過ぎると近いうちにチャートは上昇するとされています。そのため、ストキャスティクスで相場の売買比率を把握し、タイミングを見計らって逆張りを仕掛けてみましょう。