FXの基本戦略は、トレンドフォローです。相場の流れに沿ってエントリーをし、無理なく利益を得ていく方法が最も安全と言われています。しかし、上手くトレンドフォローが決まらず利益が伸び悩んでいる人もいるでしょう。そのように悩んでいる人は、水平線を使ってみることをおすすめします。
この記事では、海外FXの取引で使える水平線についてまとめました。概要はもちろん、メリット・デメリット、そして使い方などを分かりやすくまとめたので、勝率アップを目指したい人は参考にしてください。最後に、水平線と相性がよいテクニカル指標も紹介します。
水平線とは
海外FXで用いられる水平線とは、特定の場所に引いた横長の線のことです。「ホリゾンタルライン」と呼ばれることもあります。主に相場分析をする際に使われる水平線は、非常に簡単なテクニカル分析です。多くのトレーダーに意識されているポイントに横長の線を引くだけだからです。
例えば、チャートが100円付近で何度も反発しているのであれば、100円付近に一本の水平線を引きます。後は、チャートがそのラインを超えるのか反発するのか見届けます。チャートがラインを超えたら順張り、反発したら逆張りで戦略を立てましょう。
水平線を引く理由
水平線を引く理由は、エントリーと決済のタイミングを視覚的に判断しやすくするためです。例えば、チャートが99円と100円付近で何度も反発しているとしましょう。その場合は、99円と100円付近に一本の水平線を引きます。ここまでできたら、後は99円のライン付近で買い、100円のライン付近で売りの注文を入れるだけです。
この方法は、どの通貨ペアでもどの時間軸でも使えます。汎用性が高いので、ぜひ覚えておくことをおすすめします。
水平線は2種類ある
水平線には、「サポートライン」と「レジスタンスライン」があります。サポートラインとは、価格が下降している際に、下でチャートを支えているラインのことです。一方で、価格が上昇している際に、上でチャートを抑えているラインのことをレジスタンスラインと言います。
サポートライン
サポートラインが引かれている価格帯は、下から支持をされている部分です。何度もチャートの下降が止まり、上昇する傾向があるので買い注文が入りやすい部分として多くのトレーダーが注目しています。売り勢力が強くなると、サポートラインで買い支えるのが難しくなります。
チャートがサポートラインをブレイクすると下降トレンドの勢いが強くなるので、注意しましょう。なお、加速した下降トレンドの勢いが弱くなると、再度サポートラインが発生します。今後の値動きを分析する上で重要なポイントなので、見逃さないようにしましょう。
レジスタンスライン
レジスタンスラインが引かれている価格帯は、チャートが上から抑えられている部分です。何度もチャートの上昇が止まり、下降する傾向があるため、売り注文が入りやすい場所として多くのトレーダーが注目しています。
買い勢力が強くなると、売り抑えが難しくなります。一定の力を超えるとチャートがレジスタンスラインをブレイクして、上昇トレンドがさらに加速する傾向があるので注意しましょう。サポートラインと同様に、加速した上昇トレンドの勢いが弱くなると、ブレイクした先で再度レジスタンスラインが出現します。
サポートライン、レジスタンスラインついて詳しくはこちらをご参考ください。
>サポートラインとレジスタンスラインとは?引き方や分析方法を徹底解説
水平線は機能し続ける
水平線は、常に機能し続けるという特徴があります。例えば、レート100円付近にレジスタンスラインを引けたとしましょう。このときは、100円付近を上値で支えているレジスタンスラインとして機能しています。
しかし、チャートが100円を超えたとしましょう。このときレジスタンスラインの役割が終わるのかというと、終わりません。次は、100円を下値で支えるサポートラインに変わります。つまり、今後は100円付近を下値で支えるサポートラインとして機能し続けます。
ゾーンとの違い
水平線と同じような言葉で「ゾーン」という言葉があります。水平線とゾーンは役割がほぼ同じなので、基本的には同じものと思ってもらって構いません。具体的な違いは、「把握する範囲」です。
例えば、横長の線を100円のラインに引いたとしましょう。水平線の場合は、「100円」というポイントのみを意識します。しかし、ゾーンは「100円前後」の価格帯全てを意識します。違いはこれだけです。ほぼ同じ意味で使われるので、好きな方を使いましょう。
重要度の高い水平線と重要度の低い水平線
基本的に水平線をたくさん引いても勝率アップは見込めないので注意しましょう。むしろ、勝率がダウンする可能性が高まります。勝率アップを目指すためには、「重要度の高い場所に引く」ことが大切です。重要度の高い水平線とは、以下のようなものを指します。
・上位足で引ける水平線
・反発している回数が多い部分に引く水平線
上記に当てはまらないものは、すべて重要度が低い水平線と判断してください。短期トレードをする人も上位足を使った方が有利になりやすいので、積極的に上位足のチャートを使うようにしましょう。
水平線の3つの引き方
水平線は簡単に引けるため、しっかり知識を入れずに自己流で引いている人がたくさんいます。間違ったやり方で引くと、水平線が全く機能しないので注意してください。自己流が身につくと後から修正するのが難しくなります。将来後悔しないために、ここで水平線の正しい引き方を覚えていきましょう。パターン別に引き方を紹介します。
最高値と最安値に引く
テキストに合わせた画像を作成してください
この方法で水平線を引く場合は、まず直近の最高値を見つけましょう。相場を確認して最も高い場所が最高値です。見つけたら水平線を引きます。次に、直近の最安値を見つけましょう。相場を確認して最も低い場所が最安値です。見つけたら先ほどと同じように、横の線を一本引きます。これで完了です。
何度も反発している価格帯に引く
テキストに合わせた画像を作成してください
この方法で水平線を引く場合は、まずチャートを大きく見て何度も反発しているラインを見つけてください。具体的には、3回程度反発しているラインを見つけましょう。そのようなラインを見つけたら、そこに横の線を一本引いてください。これで完了です。
キリがいい価格帯に引く
テキストに合わせた画像を作成してください
水平線はキリがよい価格帯に引く方法もあります。例えば、100円や99円のラインに引くというイメージです。「キリ番」と呼ばれるポイントは、多くのトレーダーが意識している傾向があります。そのため、キリ番付近では活発に売買が行われ、チャートが乱降下しやすいので注意してください。
水平線を引くときに意識するべきこと
初めは、基礎を押さえながら水平線を引くだけで構いません。ある程度引いて慣れてきたら、次はこれから紹介することを意識しながら水平線を引いてみてください。より機能しやすい水平線が引けるようになるので、取引が高い確率で有利になります。それでは、水平線を引くときに意識するべきことを5つ紹介します。
水平線は長時間足から引く
水平線は、基本的に長時間足から引きましょう。なぜなら、力は長時間足の方が強いからです。例えば、4時間足では100円のライン、5分足では100.30円のラインに水平線を引けたとしましょう。このパターンだと、多くの場合は4時間足の水平線の方が機能します。長時間足から引き、強く意識するべきところはどこなのか見極めるようにしましょう。
チャートパターンを意識して引く
水平線は、チャートパターンを意識して引きましょう。例えば、ダブルトップという「M」の形をしたチャートパターンができているとします。ダブルトップは、Mの真ん中下の部分がネックライン(トレンドの転換を示すライン)とされています。
この場合は、ネックラインに水平線を引くのがセオリーです。Mの上の部分に水平線を引いても意味がないので、チャートパターンは必ず意識しましょう。
ローソク足のヒゲも考慮して引く
FXで取引をしているのは、日本人だけではありません。アメリカやヨーロッパなどの外国人も取引をしています。その中の海外のトレーダーは、主にローソク足ではなく「バーチャート」と呼ばれるチャートを使っています。バーチャートの最高値と最安値がローソク足のヒゲの部分にあたるので、水平線はローソク足のヒゲも考慮して引くようにしましょう。
水平線をローソク足の実態だけに引いていると、海外トレーダーと見ている部分が異なり、水平線が機能しづらくなります。結果的に勝率が安定しにくいので、十分注意してください。
ザックリ引いてもOK
水平線は、大雑把に引きましょう。よく丁寧に引く人がいますが、水平線はあくまでも「目安」です。100円のラインに水平線を引いても、そこからピンポイントでチャートが動くわけではありません。100円付近でチャートが何かしらの動きを見せるという意味です。そのため、水平線を引く時間よりも分析に時間をかけましょう。
引く本数は少なくする
水平線を引く本数は、なるべく少なくしましょう。あまり多く引きすぎると、どこが重要なのか分からなくなります。水平線を引く目的は、チャートを分析するためです。引きすぎて分析できなくなったら本末転倒なので、多くても3~5本程度に留めておきましょう。
水平線を使ったエントリー手法
水平線が上手く引けるようになったら、それを使って利益を狙っていきましょう。非常にシンプルなテクニカル分析なので、利益の狙い方もシンプルです。FX初心者でもすぐ理解できるため、初めに覚える手法としてはぴったりでしょう。ここでは、今から覚える人のために3つのステップに分けてエントリー手法を紹介します。
ステップ1:意識されているポイントに水平線を引く
まずは、意識されているポイントに水平線を引きましょう。今回は、3回程度反発しているポイントに水平線を引いてください。引く本数は、分かりやすさを重視するために「1本」にしましょう。
ステップ2:水平線が突き抜けるまで待機する
水平線を引いたら、チャートがその水平線を突き抜けるまで待機しましょう。ここで注意してほしいのは、チャートが突き抜ける前にエントリーすることです。そのような方法でエントリーすると大きな利益は狙えるのですが、それと同時に失敗する確率が高まります。最悪、大きな損失を負う恐れがあるので、必ずチャートが水平線を突き抜けるまで待機しましょう。
ステップ3:チャートが水平線に戻ってきたらエントリーする
チャートが水平線を突き抜けたら、再び水平線付近に戻ってくるまで待機してください。これはさらに勝率を上げるためです。チャートが水平線付近に戻ってきて、そこで反発したら実際にエントリーしましょう。
この方法だと、トレンド転換ラインを抜けたことを確認してからエントリーすることになります。根拠が強い状態でエントリーできるので、ぜひ参考にしてください。
水平線のメリットとデメリット
水平線は非常にシンプルで使いやすいため、おすすめする人が多く存在します。メリットがたくさん出ているので、知らず知らずのうちに「水平線を使えば勝てる」と思い込んでいる人もいるでしょう。しかし、しっかりデメリットもあるので注意してください。ここでは、水平線のメリットとデメリットについて説明します。
水平線のメリット
水平線のメリットは以下の通りです。
・多くのトレーダーが意識しているポイントを見つけられる
・多くのトレーダーが使っているため機能しやすい
・1週間程度でマスターできるので、誰でもすぐ使える
水平線の最大のメリットは、「簡単で多くの人が使っているため機能しやすいこと」です。チャートは多くのトレーダーの行動によって動きます。例えば、トレーダーの9割が「買い」でエントリーをすれば、チャートは上昇します。多くの人が同じような考えで動かないと手法は機能しません。水平線は多くの人が使っているため、比較的機能しやすい手法です。
水平線のデメリット
水平線のデメリットは、以下の通りです。
・100%機能するわけではない
・機能する水平線と機能しない水平線がある
・たくさん引きすぎると判断を間違える恐れがある
水平線の最大のデメリットは、「機能しない水平線もある」ことです。多くの人が使っているテクニカル分析とはいえ、他のトレーダーがどこを意識しているかは分かりません。例えば、A~Zのラインがあったとして、多くの人がAのラインを意識しているのに、あなただけKのラインを意識していては勝てません。
そのため、多くの人はどのラインを意識しているのかを見極める必要があります。
水平線の注意点
水平線は非常にシンプルなのがメリットですが、シンプルがゆえにさまざまな注意点があります。例えば、だましに遭遇しやすいという注意点があります。しっかり警戒しながら取引をしないと、これまでの利益がなくなる恐れがあります。そのような失敗を防ぐために、ここで水平線の注意点を押さえておきましょう。
ブレイクでトレンドが発生するとは限らない
一般的にチャートが水平線をブレイクすると、トレンドが発生します。しかし、必ずトレンドが発生するとは限りません。場合によっては、レンジ相場の水平線をブレイクしても、再度レンジ相場が形成されます。タイミングが悪いと、大きな損失を負うので注意してください。
これを避けたい場合は、ブレイク後のチャートの動きを見てエントリーをするようにしましょう。通常よりも得られる利益は減りますが、勝率は高くなりやすいと言えます。
ダマシに注意
ダマシとは、通常とは異なった動きをするチャート現象のことです。例えば、チャートが水平線をブレイクすると通常はブレイクした方向にトレンドが発生します。しかし、ブレイクした後にトレンドが形成されず、チャートが元の位置まで戻ってくることがあります。この現象がダマシです。
水平線は非常にシンプルなテクニカル分析なので、このダマシに遭遇する確率が他のテクニカル分析よりも高い傾向にあります。
ダマシについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのダマシとは?海外FX初心者なら覚えておきたい対策・対処方法
他のテクニカル指標と併せて使用する
水平線はシンプルで使いやすく、比較的機能するので特に意識をしないと単体で使ってしまうでしょう。ある程度は単体でも勝っていけるのですが、一定のラインに到達すると「勝率が安定しない」という悩みが出てきます。この悩みを解消したい場合は、他のテクニカル指標と併せて水平線を使うようにしましょう。
複数のテクニカル指標を活用することで取引根拠も強くなるので、勝率が安定しやすくなります。
水平線と相性のいいテクニカル指標
先ほどの段落で、「水平線は他のテクニカル指標と併せて使おう」と説明しました。しかし、何と組み合わせればよいのか分からない人が多いでしょう。その悩みを解消するために、ここでは水平線と相性がよいおすすめのテクニカル指標を3つ紹介します。トレード手法も紹介するので、ぜひ実践で使ってみてください。
移動平均線
移動平均線とは、一定期間の価格の平均値を一本の線で結んだものです。相場の流れを把握したい場合に役立ちます。テクニカル指標の中で最も有名な手法なので、どのテクニカル指標を使うか迷っている人は移動平均線を使ってみることをおすすめします。水平線と組み合わせて使う場合は、以下の手順で取引をしてみましょう。
1.レンジ相場が形成されていることを確認する
2.レンジ相場の高値と安値に水平線を引く
3.チャートがレンジ相場のレジスタンスラインを突き抜けたことを確認する
4.移動平均線として表示されている3本のチャートが上向きになっていることを確認する
5.手順3と4の条件が揃ったら、買いでエントリーをする
移動平均線について詳しくはこちらをご参考ください。
>移動平均線とは?見方や手法を海外FX初心者向けに解説
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、標準偏差を活用して将来の価格変動範囲を予測するテクニカル指標です。トレンドの勢いを把握したい場合に役立ちます。水平線と組み合わせる場合は、以下の手順でエントリーをしてみましょう。
1.レンジ相場が形成されていることを確認して、高値と安値に水平線を引く
2.ボリンジャーバンドが上向きになってきたら、買いでのエントリー準備をする
3.チャートがレジスタンスラインを上抜きしたら、買いでエントリーをする
なお、ボリンジャーバンドは逆張りでも使えます。逆張りとは、トレンドとは反対の方向にエントリーをする手法です。直近のチャートの動きが少し激しければ、逆張りでも利益を狙ってみましょう。
ボリンジャーバンドについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのボリンジャーバンドとは?おすすめ分析手法や設定値などについて解説します
ダウ理論
ダウ理論とは、米国のジャーナリスト「チャールズ・ダウ」が考案したマーケット理論です。水平線と組み合わせる場合は、以下の手順でエントリーをしてみましょう。
1.取引画面を見て、上昇トレンドが発生していることを確認する
2.直近の高値を水平線で結ぶ
3.チャートが水平線を上抜けしたら、買いでエントリーをする
なお、短期トレードの精度を高めたい人には、以下の取引手法もおすすめします。
1.日足を確認して直近の高値に水平線を引く
2.次に4時間足を見て、目立っている部分の高値に水平線を引く
3.日足と4時間足でダウ理論の上昇トレンドの条件が成立していることを確認する
4.水平線のブレイク、またはレジサポ転換などで買いエントリーをする
ダウ理論について詳しくはこちらをご参考ください。
>FXのダウ理論とは?基本法則や実践で使える手法を紹介!
まとめ
今回は、海外FXで使える水平線について説明をしました。水平線とは、特定の場所に引いた横長の線のことです。レジスタンスラインとサポートラインの2種類があります。水平線を使うと、主にトレンドの始まりが分かります。
例えば、チャートがレジスタンスラインを超えたら上昇トレンドの始まり、サポートラインを割ったら下降トレンドの始まりと判断することができます。水平線は、トレンドフォローの勝率を高めるために必要なテクニカル分析です。しっかり利益を得ていきたい人は、ぜひ水平線を取引で使ってみてください。