海外FX初心者の方が頭を悩ませるのが、専門用語です。その中に「MACD」があります。MACDは「テクニカル指標」のひとつであり、海外FX初心者から上級者まで幅広いトレーダーが活用していることで知られています。
今回は「MACDとはそもそも、どんなものなのか」についてを解説することはもちろん、一体MACDをどうやって使うのか、また活用する際の注意点や他のテクニカル指標で相性の良い組み合わせなどはあるのか、などの疑問点についても説明していきましょう。
MACDとは
MACD(マックディー)とは、「Moving Average Convergence and Divergence」の略であり、移動平均線から派生した人気のインジケーター(指針、指標などの意味を持つ英単語)です。日本では「移動平均収束発散法」と呼ばれており、とてもシンプルなテクニカル指標のひとつです。
MACDは、移動平均線を応用したテクニカルの手法です。2つの移動平均線を使用し、主に相場の方向性である「トレンドの転換点」を予測し、「買いと売りのタイミングを判断」することができます。売買サインが分かりやすいのが特徴で、海外FX初心者でも活用しやすいのが魅力です。
MACDは万能なテクニカル指標
テクニカル指標は、相場の流れを把握する「トレンド系」と売買比率を把握する「オシレーター系」の2種類があります。しかし、MACDはトレンド系・オシレーター系の両方の役割を担う万能なテクニカル指標です。
つまり、MACDひとつで相場の流れから、現在は買い勢力と売り勢力のどちらが強いのかまで、すべて把握できます。
MACDの仕組み
先述した通りMACDの仕組みは、非常にシンプルです。MACDは、ある2つの期間の指数平滑移動平均線(EMA)の差をとった「MACDライン」と、移動平均線である「シグナル線」の2本で構成されています。指数平滑移動平均線とは過去の価格よりも直近の価格になるほど比重を置いて計算された平均値のことであり、移動平均線とはある一定期間の価格から平均値を計算し、折れ線グラフで表したものです。MACDは、移動平均線が進化したテクニカル指標とも言われています。
MACDは、以下の4本の指標で相場状況を把握していきます。
・シグナル線
シグナル線は、相場の動きや売買タイミングを把握したいときに活用する線です。
・MACD線
MACD線は、相場のトレンドを把握したいときに活用する線です。MACD線は、平滑移動平均線を使うので、直近の価格を重視するように計算されています。
・ヒストグラム
ヒストグラムは、現時点の売買比率を把握したいときに活用する棒グラフです。売買比率からトレンドの強さやトレンドの転換などを見極められます。
・ゼロライン
ゼロラインとは、その名の通り、ゼロの部分に引かれている線です。ゼロラインを超えているか否かで相場状況を把握していきます。
MACDのおすすめ設定値
MACDを使う場合、期間を設定しなければいけません。ここでは、比較的相場が読みやすく、多くのトレーダーが設定しているMACDのおすすめ設定値をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
・MACDライン期間 12と26
・シグナル線期間 9
MACDを使ったFX手法
実際にMACDを使ったFX手法には、一体どんなものがあるのでしょうか。知識を知った後は、MACDを使ったFX手法を実際に取り入れられるようにすると、利益を出せる可能性が高まります。ここでは、具体的な手法をいくつかご紹介しましょう。
ゼロラインでトレンドの強さをチェックする
トレンドの強さを把握したい場合は、ゼロラインを使っていきます。ゼロラインとは、0の部分に引かれている水平線です。MACD線の絶対値が大きいほどトレンドが強い傾向があります。つまり、MACD線がゼロラインを突き抜け、その値がどんどん0ラインから離れていくほど、トレンドが一方向に続いていると考えられます。2本の線がゼロラインからほぼ離れていない場合は、相場がある一定の幅で上がったり下がったりを繰り返す「レンジ相場」が発生していると判断しましょう。
交差ポイントを見つけてエントリーする
具体的なエントリーポイントを把握したい場合は、MACD線とシグナル線の交差ポイントを使っていきましょう。MACD線がシグナル線を下から上に突き抜けることを「ゴールデンクロス」といい、これは買いのサインです。
反対に、MACD線がシグナル線を上から下に突き抜けることを「デッドクロス」といい、これは売りのサインです。ゼロラインで相場の方向性を確認し、交差ポイントを使ってエントリーしていきましょう。
ダイバージェンスと組み合わせて使う
MACDは、ダイバージェンスと組み合わせて使うことができます。ダイバージェンスとは、逆行現象のことで、大きなトレンドの転換を示唆します。基本的にチャートが上昇していればMACDも上昇していきます。
しかし、稀にチャートは上昇しているのに対して、MACDは下降しているときがあります。価格が高値を更新しているのに、MACD値は高値を更新せず、下がっていくことを「弱気のダイバージェンス」といいます。対して、価格が安値を更新しているのに、MACD値が安値を更新しない場合は「強気のダイバージェンス」といいます。
一般的に、上昇トレンド中にダイバージェンスが発生していたら、売りエントリーしていくといった戦略を立てることができます。
ヒストグラムと組み合わせて使う
MACDは、ヒストグラムと組み合わせて使うことができます。ヒストグラムとは、通貨の売買比率を把握できる棒グラフです。例えば、ヒストグラムの棒が下に長く伸びていると仮定しましょう。その場合、売り勢力が強いと判断できます。しかし、下降トレンドが一生続くことはないので、下に伸びている棒はいずれ短くなり、上に伸びる棒に変わる瞬間が来ます。その瞬間がトレンドの転換サインです。つまり、下に伸びている棒が上に伸びた瞬間を狙って、買いエントリーしていくといった戦略を取ることができます。
しかし、ヒストグラムのピークは数値では分からないのが難点で、売りシグナル、または買いシグナルが出ているのに、逆に動く「ダマシ」が増えるので注意しましょう。
シグナル線と組み合わせて使う
MACD線とシグナル線は具体的なエントリーポイントを把握する場合に使えると説明しましたが、トレンドの流れを把握したいときにも使えます。例えば、MACD線とシグナル線がともにゼロラインを上抜いた場合、一般的に「上昇トレンド継続」とされています。価格の変化に敏感なMACDラインが、変化に緩やかに反応するシグナルラインを下から上に突き抜けた時がMACDを使った「買いのタイミング」です。逆に、MACDラインがシグナルラインを上から下に突き抜けた時が、MACDを使った「売りのタイミング」になります。
上位足と組み合わせて使う
MACDは上位足と組み合わせて使うことができます。上位足は、期間の長いローソク足(始値、終値、高値、安値などの、1日の取引時間中の株価の値動きをローソクの形のように示したチャート)で、やや長期的な視点で為替相場を見ることで、トレンド状況を確認することを指します。
一般的にトレンドの力は、上位足の方が強いといわれています。そのため、下位足でゴールデンクロスが発生していて、上位足でデッドクロスが発生していれば、基本的には売りエントリーしていく方が望ましいとされています。短期トレードをする場合、下位足のMACD情報だけではなく、上位足のMACD情報もしっかり確認しておきましょう。
MACDと相性が良いテクニカル指標
先述した通り、MACDは万能なテクニカル指標です。しかし、他のテクニカル指標と組み合わせて活用することで、より海外FXの取引で利益を出すことができるかもしれません。ここでは、MACDと相性の良いテクニカル指標についてご紹介していきます。
RSI
RSIとは、直近の一定期間において終値ベースにより、上昇変動と下落変動のどちらの勢いが強いのかを計測しようとする指標のことを指します。一般的には、RSIが70%以上であれば「買われすぎ」、逆にRSIが30%以下であれば「売られ過ぎ」であると判断します。MACDとRSIの相性は良く、RSIを組み合わせることで、買いシグナルの精度を高めることができるので覚えておきましょう。
実は、MACDはオシレーター指標に分類されますが、買われすぎや売られすぎを判断することはできません。MACDは移動平均線がベースとなっているため、本来は株価の動きの変化を捉えるための指標となります。そのため、外貨の売られ過ぎ、買われ過ぎといった過熱感を判断することができません。しかし、RSIと組み合わせることによって欠点を補うことが可能となり、勝つことができる可能性が高くなります。
RSIについて詳しくはこちらをご参考ください
>海外FXのRSIとは?使い方や見方などを徹底解説!
ストキャスティクス
MACDと相性の良いテクニカル指標には、「ストキャスティクス」もあげられます。この2つはどちらもオシレーター系のインジケーターであり、「相場における買いと売りの過熱感」を計ることができます。
ストキャスティクスとは、一定期間における上昇の勢いを0~100%の数値で表した指標のことです。数値が高くなるほど上昇の勢いが強く、低くなるほど売りの勢いが強いことが分かります。また、「%K」「%D」という2本の線によって構成されているのが特徴で、2本の線が80%を上回ると「買われすぎ」、20%を下回れば「売られすぎ」と判断されます。
MACDとストキャスティクスを組み合わせることで、有利なエントリーポイントを早くに発見できるようになります。トレードでは、いかに損切り(損失を確定させる行為のこと)幅を小さくし、利幅を増やすかが重要です。時間経過とともに優位性が無くなってしまいます。つまり、トレードで勝つためには「有利なポイントをいかに早く見つけられるか」が重要になります。
ストキャスティクスについて詳しくはこちらをご参考ください
>海外FXのストキャスティクスとは?逆張りを仕掛けたいトレーダー必見!
移動平均線
移動平均線とは、ある一定期間の価格から平均値を計算した折れ線グラフで表したもので今の相場が上昇・下降・レンジのどれなのか判断できます。その日を含めた過去何日間、または何週間かの価格を毎日計算するため、平均値が移動していくことから、「移動平均」と呼ばれます。価格の傾向や流れなど、相場の方向性を見る時に使われます。
MACDと組み合わせる時は、200日移動平均線の組み合わせがおすすめです。200日移動平均線との組み合わせは、信頼性が高く、市場でも意識されやすい線といえます。上向きなら「上昇トレンド」、下向きなら「下降トレンド」と判断します。為替レートが200日移動平均線を下から上に超えたら「買い」、超えられずに失速したら売ります。
大体は、200日移動平均線を活用することができますが、価格が200日線から大きく離れすぎている場合があり判断できないことがあります。その場合は、100日線を使うことをおすすめします。
移動平均線について詳しくはこちらをご参考ください
>移動平均線とは?見方や手法を海外FX初心者向けに解説
MACDの注意点
ここまではMACDを使った手法などを説明してきましたが、実際に取引に役立てるには注意点をしっかり頭に入れておく必要があります。ここでは、MACDを使う場合の注意点を、海外FX初心者の方でも分かりやすく説明しましょう。
レンジ相場では機能しないことが多い
基本的にレンジ相場では機能しないことが多いので、注意しましょう。MACDは、主に具体的なエントリーポイントを把握するために使われます。そのポイントを探るためにはゴールデンクロスとデッドクロスを使うのですが、これらはトレンドが発生していないと生まれません。
厳密にはレンジ相場でもゴールデンクロスとデッドクロスは発生するのですが、参考になるような情報ではありません。そのため、レンジ相場で取引する場合はRSIのような他のテクニカル指標を使いましょう。
レンジ相場について詳しくはこちらをご参考ください
>海外FXトレーダーなら覚えておきたいFXのレンジ相場とは?
MACD単体では機能しないことが多い
基本的にMACD単体では機能しないことが多いので注意しましょう。相場はMACDの情報通りに動くわけではありません。MACDの情報のみを頼りにトレードすると大きな失敗をする場合があります。
そのため、エントリー根拠を高めるためにRSIやストキャスティクスなど、他のテクニカル指標と組み合わせて使いましょう。
短期の値動きには対応できない
基本的に短期の値動きには対応できない場合が多いので注意しましょう。MACDは、移動平均線を使った相場分析手法です。つまり、一定期間のデータがないとMACDは機能しません。そのため、MACDは短期トレードよりも長期トレードで力を発揮します。
決済ポイントを把握しにくい
MACDは決済ポイントを把握しにくいので注意しましょう。一般的に、ゴールデンクロスでエントリーしたらデッドクロスで決済、デッドクロスでエントリーしたらゴールデンクロスで決済と言われます。
しかし、決済のタイミングはトレンドの転換ではなく押し目や戻り目の可能性もあります。つまり、本来得られるはずだった利益を取り逃してしまう場合もあります。そのため、決済ポイントはpipsや獲得数字など、他の指標を参考にして決めるようにしましょう。
まとめ
今回は海外FXの取引をするうえで、知っておきたいMACDについて説明しました。派生した人気のインジケーターで、とてもシンプルなテクニカル指標のひとつです。
MACDの基本的な使い方は、ゼロラインでトレンドの強さをチェック、「ゴールデンクロス」、「デッドクロス」でエントリーすることです。また、RSI、ストキャスティクスと組み合わせると「相場における買いと売りの過熱感」を計ることができるのが魅力です。移動平均線はMACDと相性が良く、初心者でも分かりやすいテクニカル指標なのでぜひ活用してみてください。