モメンタムとは?FXでのモメンタムの使い方や見方を解説

モメンタムは、ブレイクアウトやトレンドフォローなどを使うトレーダーにおすすめのテクニカル指標です。相場の勢いを分析し、ブレイクアウトやトレンドフォローが機能しやすい通貨ペアを見つけ出すことができるからです。

今回は、モメンタムの見方や実践を意識した使い方などについて説明します。大きな損失を負うのを事前に防ぐため、モメンタムの欠点を説明しながら注意したい点についても2つ紹介します。勝率を高めるために、モメンタムと組み合わせたいおすすめのテクニカル指標も紹介するので、参考にしてください。

モメンタムとは

「モメンタム」とは、相場の勢いや強弱を分析する際に役立つオシレーター系のテクニカル指標です。MACD(マックディー)やRSI(アールエスアイ)などと同じく、先行指標の位置付けとなります。

先行指標とは、シグナルがローソク足よりも先に出やすいテクニカル指標のことです。非常に便利なテクニカル指標ではありますが、確実ではありません。シグナルが外れることもあるので、リスク管理は怠らないようにしましょう。

モメンタムの計算方法

モメンタムは、以下の計算式で求められます。

モメンタム =( 現時点の終値 ÷ n日前の終値 )× 100

実は、「当日の終値 − n日前の終値」という計算式もあります。2つの計算式に劇的な差異はないので、基本的にどちらを使っても問題ありません。しかし、MT4/MT5に標準搭載されているモメンタムは「比率」を求めます。せっかく覚えるのであれば、初めに紹介した計算式の方を覚えることをおすすめします。

モメンタムのパラメーター

モメンタムの基本的なパラメーター(設定数値)は、14日です。取引スタイルや戦略によっては、以下のパラメーターも使います。

・5日:短期の相場の勢いを分析する際に役立つ
・20日:中期視点でのトレンドの強さを分析する際に役立つ
・50日と100日:長期視点でのトレンドの強さを分析する際に役立つ

パラメーターを5日間に設定するとシグナルがたくさん出ますが、ダマシに遭遇しやすくなります。リスク管理は怠らないようにしましょう。

モメンタムの仕組み

モメンタムは、「相場に連動して動く」という非常にシンプルな仕組みです。具体的には、以下のように動きます。

・現在の価格が上昇している場合:モメンタムの数値は100%よりも高くなる
・現在の価格が下落している場合:モメンタムの数値は100%よりも低くなる

また、モメンタムは相場の勢いにも連動します。例えば、強い上昇トレンドが発生しているとしましょう。この場合は、モメンタムのチャートが100%から上に大きく離れます。

IS6FXが気になったら

口座開設はこちら IS6FXとは?

モメンタムの見方

モメンタムを使うと、トレンドの方向性やトレンドの勢いなどが分かるようになります。この2つが分かるだけで、エントリー&決済ができるようになるでしょう。また、リスク管理や資金管理に役立つトレンドの転換ポイントが分かるようになるのもモメンタムの特徴です。ここでは、そんなモメンタムの見方について説明します。

トレンドの方向

モメンタムの数値が100%を超えている場合は、現在の価格がn日前のローソク足の終値よりも高値にあることを意味しています。この場合は、相場が上昇傾向にあると判断しましょう。

反対に、モメンタムの数値が100%を下回っている場合は、現在の価格がn日前のローソク足の終値よりも安値にあることを意味しています。この場合は、相場が下落傾向にあると判断しましょう。

100%付近の場合は、相場は落ち着いていると判断します。

トレンドの勢い

トレンドの勢いを把握したい場合は、「モメンタムの数値が100%からどれだけ離れているか」を確認しましょう。モメンタムの数値が100%よりも上に大きく離れている場合は、強い上昇トレンドが発生していると判断します。

一方で、モメンタムの数値が100%よりも下に大きく離れている場合は、強い下落トレンドが発生していると判断しましょう。ちなみに、モメンタムのチャートの角度が急であるほど、トレンドの力は強くなってきていると読み取ることができます。

トレンドの転換シグナル

モメンタムは、トレンドの方向性や勢いを分析するために使われるのが一般的です。しかし、トレンドの転換を予測することもできます。例えば、下落トレンド中にモメンタムの数値が基準値の100%を上に抜けたとしましょう。この場合は、近い将来に下落トレンドが上昇トレンドに切り替わると予測することができます。

反対に、上昇トレンド中にモメンタムの数値が100%を下に抜けた場合は、上昇トレンドが下落トレンドに切り替わると予測することができます。

モメンタムのエントリーシグナル

モメンタムの概要や見方などを説明してきましたが、実践で使う場合は戸惑うことが多いでしょう。特にFX初心者は、「どこがエントリーポイントなのか分からない」と戸惑うことが多いのではないでしょうか。その悩みを解決するために、ここではモメンタムが出す3つのエントリーシグナルを紹介します。

レンジブレイクを狙う

レンジブレイクとは、レンジ相場の条件が崩れ、トレンドが形成される現象のことです。モメンタムでは、この現象を狙って順張りでエントリーをしていきます。具体的なエントリー手順は、以下にまとめました。

1.モメンタムのチャートが横ばいになっているポイントを見つける
2.そのポイントの高値、または安値に水平線を引く
3.モメンタムのチャートが水平線を上に抜けたら買いでエントリー、下に抜けたら売りでエントリーをする

取引の根拠を強めたい場合は、ローソク足にも水平線を引きましょう。引き方やレンジブレイクの判断方法などは、モメンタムと変わりありません。

押し目・戻り目を狙う

押し目・戻り目とは、以下のようなポイントを指します。

・押し目:上昇トレンド中に一時的に下落しているポイント
・戻り目:下落トレンド中に一時的に上昇しているポイント

モメンタムでは、押し目・戻り目を狙って順張りでエントリーをしていきます。具体的なエントリー手順は、以下にまとめました。

1.通貨ペアの相場の方で上昇トレンドが発生していることを確認する(今回は買い目線と仮定)
2.モメンタムの数値が100%を下に抜けたことを確認する
3.モメンタムの数値が再度100%を上に抜けたら買いでエントリー

ダイバージェンスで反転を狙う

ダイバージェンスとは、通貨ペアのチャートとモメンタムのチャートが反対の方向に動く現象のことです。トレンドの転換サインと言われています。モメンタムでは、このトレンドの転換を狙って逆張りをしていきます。

1.通貨ペアのチャートで上昇トレンドが発生していることを確認する(今回は売り目線と仮定)
2.モメンタムのチャートが下落していることを確認する
3.ダイバージェンスが発生したので、売りでエントリーをする

モメンタムの注意点

モメンタムを使う場合は、ダマシに注意しましょう。ダマシとは、売買シグナルとは逆の方向にチャートが進む現象のことです。これに巻き込まれると、大きな損失を負う場合があります。また、売買サインの基準があいまいな点にも注意しましょう。ここでは、モメンタムを使う際に覚えておきたい2つの注意点を紹介します。

ダマシが多い

他のテクニカル指標に比べて、モメンタムはローソク足よりも早く反応が出るため、ダマシに遭遇しやすくなります。対策として有効と言われているのは、1時間足以上の長いローソク足を表示することです。ダマシは、時間足が長いほど出現しにくくなるからです。

また、モメンタムのパラメーターも10日以上で設定しましょう。何日に設定をすればよいのか悩む場合は、最もベーシックな14日に設定することをおすすめします。

売買サインの基準があいまい

「FX初心者は“どこがエントリーポイントなのか分からない”と戸惑うことが多い」と説明しました。これは、まだFXの経験が浅いという理由もあるのですが、モメンタムが出す売買サインの基準があいまいという理由も関係してきます。

ある程度の状況把握・相場の分析はできるものの、最終的には感覚でエントリーをしていくしかありません。FX初心者は、リスク管理を徹底しながらモメンタムを使うようにしましょう。

モメンタムと相性のいいテクニカル指標

基本的に、モメンタム単体で取引を行うのは不安が残ります。売買サインの基準があいまいだからです。ギャンブル要素の強い取引になるので、大きく負ける場合もあります。この弱点を補うために、モメンタムを使う場合は他のテクニカル指標もあわせて使いましょう。ここでは、モメンタムと相性がよい3つのテクニカル指標を紹介します。

ストキャスティクス

ストキャスティクスとは、通貨ペアの売買比率を分析したい場合に役立つテクニカル指標です。%Kというチャートが75%以上を推移している場合は売り、25%以下を推移している場合は買いでエントリーをしていきます。モメンタムと組み合わせる場合は、以下の手順でエントリーをしていきましょう。

1.ストキャスティクスの%Kが25%以下を推移していることを確認する(買い目線と仮定)
2.モメンタムのチャートが100%を上に抜けたことを確認する
3.どちらの条件も満たされているままなら、買いでエントリーをする

ストキャスティクスについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのストキャスティクスとは?逆張りを仕掛けたいトレーダー必見!

RSI

RSI(アールエスアイ)とは、通貨の売買比率を分析できるテクニカル指標です。RSIの数値が70%以上であればその通貨ペアは買われ過ぎている、30%以下であれば売られ過ぎていると判断します。モメンタムと組み合わせる場合は、以下の手順でエントリーをしてみましょう。

1.RSIの数値が70%以上であることを確認する(売り目線と仮定)
2.モメンタムのチャートが100%を下に抜けたことを確認する
3.2つの条件が満たされている状態なのであれば、売りでエントリーをする

ただし、RSIを使うと売買回数が減るので注意してください。

RSIについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのRSIとは?使い方や見方などを徹底解説!

移動平均線

移動平均線とは、トレンドの方向を確認したい場合に役立つテクニカル指標です。具体的には、短期移動平均線が中期移動平均線を下から上に抜けたら買いのサインが出たと判断します。モメンタムと組み合わせる場合は、以下の手順でエントリーをしてみましょう。

1.移動平均線の短期移動平均線が中期移動平均線を下から上に抜けたことを確認する(買い目線と仮定)
2.その中で実体は短いが、ヒゲは長いローソク足が出現していることを確認する
3.モメンタムのチャートが急な角度で100%を上に抜けたことを確認する
4.買いでエントリーをする

移動平均線について詳しくはこちらをご参考ください。
>移動平均線とは?見方や手法を海外FX初心者向けに解説

まとめ

今回は、FXで活用するモメンタムについて説明しました。モメンタムとは、相場の勢いや強弱を分析する際に役立つオシレーター系のテクニカル指標です。MACDやRSIなどと同じく先行指標のテクニカル指標なので、上手く活用すれば大きな利益を得られるでしょう。

しかし、ダマシに遭遇しやすかったり売買サインがあいまいだったりと、モメンタムを単体で使うのには少し不安があります。運が悪ければ、FX用の資産が全て無くなり兼ねません。最悪の結果を防ぐために、モメンタムは他のテクニカル指標と組み合わせて使うようにしましょう。