FXのプロトレーダーは、ほぼ全員根拠を持って取引に臨んでいます。これは、精度の高い取引を行うと同時に高い勝率を維持するためです。FX初心者も真似をして、根拠を持った取引をしてみましょう。
今回は、FXの取引で必要な根拠の見つけ方について説明します。注意点や根拠を見つける際に意識するべきことなども説明するので、参考にしてください。
FXの根拠とは
FXの根拠とは、エントリーや決済においての明確な理由のことです。多くのプロトレーダーや機関投資家は、この根拠をもとに相場を分析したり通貨ペアを売買したりしています。例えば、ドル円のチャートが上昇しているとしましょう。現在は、下落要素が出ていません。この結果からドル円を買いでエントリーするというのも立派な根拠です。
FXで勝ち続けていくためには、根拠が必要です。少しずつでも構わないので、根拠を見出せるように練習していきましょう。
FXで根拠が必要な理由
FXで根拠が必要な理由は、ギャンブルのような取引をしないためです。勝率を安定させるため、取引の振り返りに役立たせるためなどの理由もあります。ここでは、そのようなFXで根拠が必要な理由をいくつか紹介します。
ギャンブルのような取引をしないため
数ある投資の中で、FXは比較的参入障壁が低い部類に入ります。これはメリットでもあるのですが、ギャンブルのように取り組む人が多いというデメリットでもあります。余談ですが、FX=危険というイメージが強いのはこのためです。
ギャンブルのような取引を行うと、高いリスクが伴います。人によっては、投資資金として用意したお金がすべてなくなるでしょう。このようなリスクの高いFXはおすすめしていません。堅実に資産を増やすためにも、根拠を持って安全な取引をすることをおすすめします。
チャンスを逃さないため
中には、その場の流れでFXをしている人もいます。これ自体に問題があるわけではありませんが、これだとせっかくのチャンスに気づかない可能性が高いので注意しましょう。FXのチャートは、トレーダーの心理や各国の経済情勢など、さまざまな要因によって動きます。
事前にチャートを分析したりニュースの確認をしたりしていれば、その場の流れで取引をしている人では気づかないチャンスを掴めるでしょう。特に、要人発言や経済情勢などのファンダメンタルズ要素はチャートを大きく動かす要因になり得ます。
一度の取引で大きな利益を得られるチャンスを掴める可能性もあるので、ニュースや情報などを確認してしっかり根拠を作るようにしましょう。
勝率を安定させるため
FXは感覚で取引をすることもできますが、これだと勝率が安定しません。先月は30万円の利益が出たが、今月は25万円の損失が出たということにもなり得ます。これだと、取引パフォーマンス的にも精神的にもよくないので、できる限り勝率を安定させたいところです。
そこで重要になってくるのが根拠です。過去に上手くいった根拠を理解しておけば、そこでだけ取引をすればよいので、必然的に勝率が安定してくるでしょう。根拠が上手く通らなかった部分も把握しておけば、大幅な勝率ダウンを防げます。高い勝率を安定して出せるというのも実現可能なので、根拠は作っておいて損しないでしょう。
大きな利益を狙えるため
FXは、エントリーから始まって決済で終わります。仮に、この幅が0〜100まであるとしましょう。理想は、0でエントリーをして100で決済をすることです。これが実現すれば、無駄なく100の利益を得られます。当然、これを実現させるのは不可能ですが、限りなく近づかせることはできます。そのカギとなるのが根拠です。
エントリーのタイミングが0に近い根拠、決済のタイミングが100に近い根拠を見つければ無駄なく利益を得られるでしょう。慣れてくれば自然とできるようになってくるので、いつどのようなときでも大きな利益を狙うことができます。
取引の振り返りに役立たせるため
FXの上達に取引の振り返りは欠かせません。時間が許す限り振り返りをしてほしいのですが、感覚で取引をしていると何を振り返ればよいのか分からないと思います。しかし、根拠があれば、以下のように振り返りができるでしょう。
・今回の根拠が上手くいった・いかなかった理由は何か
・失敗した場合は、どのように取引をすればよかったのか
・今回の根拠を別の取引にも活かせないか
1週間に一度でも、上記のような振り返りをすれば、1年後は大きく成長しているでしょう。そのうち、根拠の共通点も見つけて精度の高い取引ができるようになるかもしれません。
他人の考えを取り入れるため
配信されている動画やSNSなどを活用すれば、他のトレーダーの考えを簡単に知ることができます。しかし、自分なりの根拠を持っていなければ、なぜ他のトレーダーがその考えになったのか理解できないでしょう。自分とは着眼点が違うということも気づかないと思います。
これでは有益な情報があっても有効活用することができません。他人の考え方を取り入れて成長するためにも、取引の根拠は持つようにしましょう。
FXで必要な根拠の見つけ方
FXで必要な根拠は、通貨ペアの特徴を理解すると見つけられるようになります。レジスタンスライン・サポートラインの活用や移動平均線の活用などでも、見つけられるでしょう。ここでは、そのようなFXで必要な根拠の見つけ方について説明します。
通貨ペアの特徴を把握する
ドル円や南アフリカランド円など、FXではさまざまな通貨ペアが用意されています。どれも同じ通貨ペアではありますが、それぞれで特徴が異なるので注意しましょう。全通貨ペアの特徴を把握するのは難しいと思うので、通貨ペアを大きく2種類に分けて特徴を覚えることをおすすめします。
通貨ペアの分け方 | 特徴 | 通貨の例 |
---|---|---|
メジャー通貨 | ・流動性が高く、値動きが安定している ・リスクは低〜中程度 |
・ドル ・円 ・ユーロ |
マイナー通貨 | ・流動性が低く、値動きが不安定 ・リスクは高い |
・トルコリラ ・ブラジルレアル ・人民元 |
特徴を理解すれば、その通貨ペアにあった根拠を考えられます。例えば、メジャー通貨のドル円は「値動きが落ち着いているため、中長期トレードのトレンドフォローと相性がよいのではないか」という根拠を持つことができます。
通貨ペアの特徴について詳しくはこちらをご参考ください。
>初心者が選ぶべき通貨ペアとは?通貨ペアの特徴と選び方を徹底解説!
レジスタンスラインとサポートラインを活用する
レジスタンスライン(上値抵抗線)とは、チャートの上値を押さえているラインのことです。一方で、チャートの下値を支えているラインのことをサポートライン(下値支持線)と言います。これらのラインは2つで1セットとして使います。レジスタンスラインとサポートラインを使った根拠の見つけ方の例を紹介するので、参考にしてください。
1.レンジ相場が形成されていることを確認する
2.チャートが大体同じ価格帯で2回以上反発している部分を見つける
3.上値にレジスタンスライン、下値にサポートラインを引く
4.レンジ相場が継続するならば、今後もレジスタンスラインとサポートライン付近でチャートが反発する可能性が高いという根拠を見つけることに成功
レジスタンスラインとサポートラインについて詳しくはこちらをご参考ください。
>サポートラインとレジスタンスラインとは?引き方や分析方法を徹底解説
移動平均線を活用する
移動平均線とは、ある期間における終値の平均値を1本の線にまとめたインジケーターのことです。移動平均線を見ると、相場の方向性を判断することができます。この特性を活用して、以下のように根拠を見つけましょう。
1.表示させた移動平均線の向きを見る
2.向きが上向きなら上昇トレンドが形成、下向きなら下落トレンドが形成されているという根拠を見つけることに成功
なお、移動平均線がほぼ真横に動いているならレンジ相場が形成されていると判断してください。
移動平均線について詳しくはこちらをご参考ください。
>移動平均線とは?見方や手法を海外FX初心者向けに解説
ボリンジャーバンドを活用する
ボリンジャーバンドとは、移動平均線を中心として上下にσ(シグマ)と呼ばれる2〜6つのラインがあるインジケーターのことです。以下のように、シグマと呼ばれるバンド内には以下の確率でチャートが収まると言われています。
・±1αに収まる確率:68.26%
・±2αに収まる確率:95.44%
・±3αに収まる確率:99.73%
この特徴を活用すれば、以下のように取引根拠を見つけられます。
1.チャートが±2σのライン付近を推移するまで待つ
2.95.44%の確率でバンド内に収まる=反発する可能性が高いため、チャートが±2σ付近を推移するようになったら、逆張りで取引を行えば勝てる可能性が高いという根拠を見つけることに成功
ボリンジャーバンドについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのボリンジャーバンドとは?おすすめ分析手法や設定値などについて解説します
MACDを活用する
MACD(マックディー)とは、移動平均線の売買サインの精度を高めるために作られたインジケーターです。MACDを使う場合は、以下のようにゴールデンクロスを使って取引根拠を見つけましょう。
1. MACD線がシグナルを下から上に突き抜けたらゴールデンクロスが発生したと判断する
2.ゴールデンクロスはチャート上昇のサインなので、買いでエントリーをすれば勝てる可能性が高いという根拠を見つけることに成功
MACDについて詳しくはこちらをご参考ください。
>MACDの使い方!相性が良いテクニカル指標を海外FX初心者向けに紹介
RSIを活用する
RSI(アールエスアイ)とは、通貨ペアの過熱感を判断したい場合に役立つインジケーターです。0〜100%の間でチャートが変動し、0%に近いほど通貨ペアが売られ過ぎている、100%に近いほど買われ過ぎていると判断します。この特徴を利用して、以下のように取引根拠を見つけましょう。
1.RSIの中を推移しているチャートを見る
2.チャートが30%以下を割り込んだことを確認する
3.30%以下は通貨ペアが売られ過ぎているというサインなので、買いで逆張りエントリーをすれば勝てる可能性が高いという根拠を見つけることに成功
RSIについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのRSIとは?使い方や見方などを徹底解説!
ストキャスティクスを活用する
ストキャスティクスとは、%Kと%Dという2本のラインを使って通貨ペアの過熱感を把握するインジケーターです。%Kが75%以上に入っている場合は通貨ペアが買われ過ぎている、25%以下に入っている場合は売られ過ぎていると判断します。この特徴を利用して、以下のように取引根拠を見つけましょう。
1.%Kが75%以上に入っていることを確認する
2.%Kが%Dを上から下に抜けたことを確認する
3.%Kが買われ過ぎゾーンに入っていること、デッドクロスが発生していること、この2つの要素から勝率が高いのは売りエントリーの方という根拠を見つけることに成功
ストキャスティクスについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのストキャスティクスとは?逆張りを仕掛けたいトレーダー必見!
世界の経済情勢を確認する
FXのチャートは、トレーダーの心理や行動のみならず、世界の経済情勢でも動きます。そのため、テレビのニュースや新聞などを確認して世界の経済情勢をチェックしましょう。世界の経済情勢からは、以下のようなイメージで根拠を見つけることができます。
・ポジティブな内容が多い:該当する通貨の価格が上昇する可能性が高い
・ネガティブな内容が多い:該当する通貨の価格が下落する可能性が高い
FXの根拠に関する注意点
FXで根拠を見つける際は、以下のことに注意しましょう。
・根拠が強い場所=絶対ではない
・根拠が1つだけだと弱い
・初めは視覚的に分かりやすいかも確認する
・根拠はゾーンで捉えた方が分かりやすい
・長時間足の根拠が最優先
特に、「根拠が強い場所 = 絶対ではない」ということは覚えておいてください。FXに絶対は存在しません。根拠が強いからと高いリスクを取ると、大切な資産の大部分を失う恐れがあるので、いかなるときでも慎重に取引をしましょう。
FXで根拠を持つ際に意識したいこと
FXで根拠を持つ際は、以下のことを意識しましょう。
・根拠が抽象的なら取引はしない
・必ずルールを守って取引をする
・再現性が高い根拠かも確認する
・早すぎるエントリーは失敗しやすい
・多くのトレーダーが意識している部分を探す
特に、「その部分を多くのトレーダーが意識しているか」は考えてみてください。チャートはトレーダーの心理や行動でも動きます。多くのトレーダーが意識していなければ、いくら根拠があっても予想通りには動かない可能性の方が高いでしょう。
まとめ
今回は、FXで必要な根拠の見つけ方について説明しました。根拠は、勝率を安定させたり危険な取引を防いだりするために必要です。取引の振り返りにも役立つので、必ず根拠を持って取引を行いましょう。
根拠は、通貨ペアの特徴を覚えたりインジケーターを活用したりすると、比較的簡単に見つけられます。まずは簡単なものからでも構いませんので、自分なりの取引根拠を見つけてみてください。