スポーツであっても料理であっても、始める前には基礎知識をしっかり頭に入れなければいけません。それはFXでも同じです。面倒臭いといった理由で基礎知識の取得を怠ると、大きく失敗し、大事なお金を失う可能性が高いので注意しましょう。それを防ぎたい人は、今回紹介する5つの基礎知識を確認してください。
FXの基礎知識①:基本用語
文章を覚えるためには、まずひらがなやカタカナを覚えなければいけないように、FXを覚えるためには、まず基本用語を覚える必要があります。レバレッジやスプレッドなど、初めに覚えておきたい基本用語を6つ紹介するので、参考にしてください。
円安・円高
通貨の価値は、相対評価で決定されます。チャートが上昇するかもしれない、下落するかもしれないという予測は円安・円高から分析できることもあるので、覚えておきましょう。
円安とは、日本円の価値が低くなることです。これまで100円を出せば1ドル購入できていたものが、200円出さないと購入できなくなった場合に「円安になった」と判断します。
円高とは円の価値が高くなることです。これまで100円で1ドル購入していたものが、50円で購入できるようになります。
円安・円高について詳しくはこちらをご参考ください。
>円高・円安はFXや株価に影響する?為替の覚え方のポイントとは
レバレッジ
レバレッジとは、預け入れた保証金(=証拠金)に倍率をかけて、自己資金以上の大きな金額を動かせるようになる制度のことです。例えば、5万円の保証金に100倍のレバレッジをかけたら、500万円分の取引ができるようになります。
レバレッジをかけるメリットは、少ない保証金で大きな利益を狙えることです。また、資金効率のよい取引ができるようになるといったメリットもあります。しかし、レバレッジは含み損にもかかります。むやみやたらに高いレバレッジをかけると大きく損をする恐れがあるので、計画的に利用しましょう
レバレッジについて詳しくはこちらをご参考ください。
>少ない資金で利益拡大!?FXのレバレッジとは?計算方法や制限もご紹介
スプレッド
FXの注文画面を開くと、売値(Bid)と買値(Ask)の2つが表示されます。よく見ると、売値と買値に少しの差が生じていると思いますが、この差のことをスプレッドと言います。例えば、売値が120.30円で買値が120.33円としましょう。この場合は、0.3銭のスプレッドが生じていると言います。
このスプレッドは統一されているわけではなく、利用するFX取引所や通貨ペアなどによって異なります。スプレッドが狭い方が利益を出しやすいので、できる限りスプレッド幅が狭いFX取引所や通貨ペアを選ぶようにしましょう。
スプレッドについて詳しくはこちらをご参考ください。
>スプレッドとは?計算方法や種類について徹底解説!
スワップポイント
スワップポイント(金利差額調整分)とは、2ヶ国間の金利差によって生じる損益のことです。金利は各国が政策金利というもので定めているため、国によって水準が異なります。スワップポイントのメリットは、売買をせずに利益を得られることです。
メキシコペソやトルコリラなどの高金利通貨を扱えば、特定のポジションを保有しているだけで大きな利益を得られるでしょう。なお、得られるスワップポイントは保有するポジションの量や扱う通貨ペアなどによって異なります。
スワップポイントについて詳しくはこちらをご参考ください。
>FXで得られるスワップポイントの計算方法を解説!生活はできる?
ロスカット
ロスカットとは、損失の拡大を防ぐ制度のことです。ロスカットが設けられていないと、チャートの暴騰・暴落によっては投資残高以上の損失を負う可能性があります。その場合、FX取引所に対してトレーダーが損失分を返済しなければいけません。
しかし、ロスカットがあることで最低限の資金は温存されます。そのため、トレーダーは安心して取引をすることができます。ただし、相場が急激に変動した場合はロスカットが間に合わず、投資残高以上の損失が発生する可能性もあるので注意しましょう。
ロスカットについて詳しくはこちらをご参考ください。
>ロスカットとは?仕組みや計算方法、回避方法について
pips(ピップス)
pipsとは、FXの中で使われる通貨ペアの値幅を表す単位のことです。円が絡む通貨ペアは0.001円で1pips、ドルストレートの通貨ペアは0.00001ドルで1pipsです。基本的に目標利幅や想定損切り幅などは、全てpipsで表されます。FXの基礎となる部分なので、必ず覚えておきましょう。
なお、1pipsの定義は利用するFX取引所によって異なる場合があります。詳細は、各FX取引所の公式サイトを確認してください。
pipsについて詳しくはこちらをご参考ください。
>FXで使う共通単位「pips」とは?計算方法や数え方について解説!
FXの基礎知識②:通貨ペア
FXでは、2つの通貨を交換して利益を狙います。この交換する2つの通貨の組み合わせのことを通貨ペアと言います。例えば、米ドルと日本円の組み合わせなら「米ドル/円」、英ポンドと米ドルの組み合わせなら「英ポンド/米ドル」というように表記されます。
通貨ペアについて詳しくはこちらをご参考ください。
>初心者が選ぶべき通貨ペアとは?通貨ペアの特徴と選び方を徹底解説!
基軸通貨と決済通貨
通貨ペアの中で左側に表記される通貨のことを基軸通貨、右側に表記される通貨のことを決済通貨と言います。例えば、「ユーロ/米ドル」であれば、ユーロが基軸通貨で米ドルが決済通貨です。FXでは、決済通貨を使って基軸通貨の売買を行います。「ユーロ/米ドルを購入する」という形であれば、米ドルを売ってユーロを買うというイメージです。
メジャー通貨とマイナー通貨
FXの世界にはたくさんの通貨がありますが、その通貨は大きく「メジャー通貨」と「マイナー通貨」の2種類に分けられます。メジャー通貨とは取引量が多くて流動性が高い通貨のことです。
一方で、取引量が少なく、流動性が低い通貨のことをマイナー通貨と言います。それぞれに明確な定義はありませんが、一般的にメジャー通貨とマイナー通貨は以下のように分類されます。
メジャー通貨の一例 | マイナー通貨の一例 |
---|---|
・米ドル ・日本円 ・ユーロ |
・ロシアルーブル ・南アフリカランド ・トルコリラ |
ドルストレートとクロス円
FXでは米ドル以外の通貨と日本円の組み合わせのことをクロス円と言います。豪ドル円やユーロ円などが代表的です。クロス円で取引をする際は、一旦米ドルと他通貨の交換レートを介した上でレートの算出が行われます。例えば、ユーロ円ならば「一旦日本円で米ドルを購入し、その米ドルでユーロを購入する」というイメージです。
一方で、米ドルと他の通貨の組み合わせのことをドルストレートと言います。ドル円やポンドドルなどが代表的です。こちらは直接米ドルとの交換を行うため、比較的簡単に計算ができます。
FXの基礎知識③:4大市場
FXは24時間取引ができるのですが、この24時間は「ウェリントン市場」「東京市場」「ロンドン市場」「ニューヨーク市場」と4つの市場に分けられます。それぞれの市場でチャートの動き方が異なるので、注意しましょう。ここでは、4大市場の特徴について説明します。
ウェリントン市場
ウェリントン市場とは、日本時間の5時〜15時まで開場する市場のことです。シドニー市場とも言われています。為替市場の中で最も早く動き始めるため、週末に大きなできごとがあると一番早く反応します。
しかし、ウェリントン市場の参加者は多くありません。そのため、値動きがほとんどなく、スプレッドが広がりやすいという特徴があります。FX初心者は利益を狙いにくい市場なので、避けた方がよいでしょう。
東京市場
東京市場とは、日本時間の8時〜17時まで開場する市場のことです。主に日本や中国、そしてオーストラリアなどのトレーダーが市場に参加します。午前9時55分には基準レートを決定する仲値が発表されるので、値動きが一時的に激しくなることがあります。
午前10時からは値動きが比較的落ち着く傾向があるので、FX初心者は午前10時以降から取引を開始した方がよいでしょう。
東京市場について詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのオセアニア時間と東京時間とは?特徴や取引手法について解説!
ロンドン市場
ロンドン市場とは、日本時間の16時〜26時まで開場する市場のことです。ヨーロッパ勢を中心に取引が行われるので、ポンドやユーロなどが絡む通貨ペアの値動きが活発になりやすいといった特徴があります。また、ロンドン市場からトレンドが形成されやすいと言われているので、順張りで取引をする人は準備をしておきましょう。
ロンドン市場について詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのロンドン時間とは?取引高世界第1位の市場を攻略しよう!
ニューヨーク市場
ニューヨーク市場とは、日本時間の21時〜早朝6時まで開場する市場のことです。名前の通り、アメリカ勢を中心に取引が行われるため、ドル円やユーロドルなどのドルストレートの値動きが活発になりやすいといった特徴があります。
なお、24時はニューヨークオプションカットという通貨オプションの権利行使期限時刻となっています。これに合わせて売買が活発に行われ、チャートが激しく動く傾向があるので、取引をするFX初心者は十分注意してください。
ニューヨーク市場について詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXのニューヨーク時間とは?特徴や攻略法を徹底解説!
FXの基礎知識④:取引手法
FXでは、自由に取引ができます。しかし、手法があった方が取引の勝率は高くなりやすいと言えます。大きな損失を防げる可能性も高まるので、何か一つ手法を覚えましょう。ここではFX初心者でも覚えやすいシンプルな取引手法を2つ紹介するので、参考にしてください。
順張り
順張りとは、相場の流れに沿ってエントリーをする取引手法です。例えば、チャートが上昇しているのであれば買い、下落しているのであれば売りでエントリーをしていきます。決済は、相場の流れが変わったタイミングで行います。もしも、買いでエントリーをしているなら、相場が下落したタイミングで決済をするのが正解です。
非常にシンプルで迷わずエントリーと決済ができるとして、幅広い方から人気があります。
順張りについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXの順張りとは?メリット・デメリットや上手く使うコツなどを徹底解説!
逆張り
逆張りとは、トレンドの転換点を狙ってエントリーをする取引手法です。例えば、チャートが120円付近で複数回反発しているとします。この場合は、今後もその価格帯で反発する可能性が高いでしょう。
この分析を元に、次チャートが120円付近に近づいたら反発を狙って現在の動きとは逆方向にエントリーの注文を入れます。これが逆張りです。逆張りは短時間で大きな利益を狙える取引手法ですが、少しリスクが高いのでその点だけ注意してください。
逆張りについて詳しくはこちらをご参考ください。
>海外FXの逆張りとは?勝率を上げる取引手法や注意点などを紹介します
FXの基礎知識⑤:確定申告と税金
最後に忘れてはいけないのが、確定申告と税金です。本業と同じように、FXで稼いだお金にも税金がかかります。確定申告を忘れると、脱税を疑われる可能性があるので注意してください。ここでは、「FXの確定申告と税金」について説明します。
確定申告が必要な人
まず、FXで利益が出た全員が確定申告をしなければいけないわけではありません。以下に当てはまる人のみ、確定申告が必要です。
・給与所得者:給与所得以外の所得が年間20万円以上ある
・非給与所得者:年間所得が48万円以上ある
年間所得が48万円未満で確定申告が不要な場合でも、利益が出ていれば住民税の申告が必要です。
確定申告について詳しくはこちらをご参考ください。
>国内FXと海外FXの確定申告のやり方や違い、繰越控除の基本について
海外FXと国内FXの税金の違い
海外FXと国内FXは、同じFXでも税金のかかり方に違いがあるので注意しましょう。まず、海外FXは総合課税で税金がかかります。総合課税とは、全ての所得を合算した合計額に対して税金がかかる制度です。給与所得者は源泉徴収票を確認しながら、確定申告書を作成しましょう。
一方で、国内FXは申告分離課税で税金がかかります。申告分離課税とは、他の所得とは分けて、個別の利益に対して課税される制度のことです。それぞれの税率は、以下にまとめました。
・海外FX(総合課税):15〜55%
・国内FX(申告分離課税):一律20.315%
まとめ
今回は、「FXを始める前に覚えておきたい基礎知識」を幅広く紹介しました。FXは口座を開設すれば、誰でも始められます。その手軽さはメリットでもあるのですが、デメリットでもあります。簡単に始められるからこそ、適当に取引を開始し、大きな損失を負ってしまう人が後を絶ちません。
この記事を読んでいる人は、基礎知識をしっかり頭に入れて安全な取引をしましょう。なお、もう少し知識を蓄えたい人は以下の記事も参考にしてください。
FXのメリットやデメリットについてはこちらをご参考ください。
>FXとは?分かりやすくメリットやデメリットなどを解説!